ホルモンで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Zollinger-Ellison症候群は、膵臓や十二指腸に発生するガストリン産生腫瘍(ガストリノーマ)によって引き起こされる疾患です。この腫瘍からガストリンが過剰に分泌されるため、血中ガストリン濃度は著しく高値を示します。高ガストリン血症により胃酸分泌が過度に促進され、難治性の消化性潰瘍や下痢などの症状が現れます。
選択肢ごとの解説
- 1. Basedow病は甲状腺機能亢進症であり、甲状腺ホルモン(T3, T4)が過剰に分泌されます。その結果、ネガティブフィードバックにより下垂体からのTSH分泌は抑制され、血中TSH濃度は低値を示します。正しくは:TSHはBasedow病で低値を示す。選びやすい理由:甲状腺疾患であるため、甲状腺関連ホルモンのTSHが変動することは正しいが、その変動の方向を誤解しやすい。混同注意:橋本病などの甲状腺機能低下症におけるTSH高値と混同しやすい。
- 2. Cushing病は下垂体腺腫によるACTH過剰分泌が原因で、副腎皮質ホルモンが過剰になる状態です。そのため、ACTHは高値を示します。正しくは:ACTHはCushing病で高値を示す。選びやすい理由:Cushing症候群全体とCushing病を混同し、異所性ACTH産生腫瘍や副腎腺腫によるCushing症候群ではACTHが低値を示す場合があるため、全体像で考えて誤答を選びやすい。混同注意:副腎腫瘍による原発性Cushing症候群と混同しやすい。原発性Cushing症候群では副腎からのコルチゾール過剰分泌によりACTHは低値を示す。
- 3. インスリノーマは膵臓のインスリン産生腫瘍であり、インスリンとその前駆体であるプロインスリンが過剰に分泌されます。プロインスリンがインスリンとC-ペプチドに分解されるため、インスリノーマではC-ペプチドも高値を示します。正しくは:C-ペプチドはインスリノーマで高値を示す。選びやすい理由:インスリン自己免疫症候群など、外因性インスリン投与を疑う病態でC-ペプチドが低値を示すことがあり、それと混同しやすい。混同注意:外因性インスリン投与による低血糖と内因性インスリン過剰分泌による低血糖の鑑別診断におけるC-ペプチドの役割と混同しやすい。外因性インスリン投与ではインスリンは高値だがC-ペプチドは低値となる。
- 4. 正解。Zollinger-Ellison症候群は、ガストリン産生腫瘍(ガストリノーマ)によってガストリンが過剰に分泌され、胃酸分泌が亢進し、多発性消化性潰瘍を引き起こす疾患です。そのため、ガストリンは著しく高値を示します。
- 5. SIADHは、ADHが不適切に過剰分泌されることで、腎臓での水の再吸収が促進され、希釈性低ナトリウム血症を来す病態です。したがって、ADHは高値を示します。正しくは:ADHは抗利尿ホルモン不適合分泌症候群〈SIADH〉で高値を示す。選びやすい理由:SIADHという病名から、ADHの分泌が「不適合」であることだけを捉え、そのレベルが「低い」と誤解しやすい。しかし「不適合」とは生体の状態に対して過剰であることを意味する。混同注意:尿崩症などのADH欠乏状態と混同しやすい。
国試ポイント
ホルモン関連疾患における主要なホルモンの変動パターン(高値か低値か)を正確に理解しているかが問われています。特に、フィードバック機構や、疾患名とホルモン分泌異常の直接的な関連性について知識が試されます。鑑別診断に用いられるホルモン値についても問われる傾向があります。
混同注意
各ホルモンと疾患の組み合わせにおいて、正常なフィードバック機構が働いている場合と、腫瘍などによる異常な分泌が原因である場合とを混同しやすい。また、疾患の病態生理を正確に理解していないと、ホルモン値の変動方向を逆にとらえてしまう可能性があります。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の問題が出た際には、まず疾患の病態生理を正確に把握し、その病態がどのホルモンの分泌異常に起因するのか、あるいはホルモン分泌異常が二次的に引き起こすのかを判断する。特にフィードバック機構が正常に働いているか、あるいは破綻しているかを考慮して、各ホルモンの血中濃度が上昇するか低下するかを判断します。
関連知識
甲状腺機能亢進症(Basedow病)、甲状腺機能低下症(橋本病)、Cushing病とCushing症候群の鑑別、インスリノーマと外因性インスリン投与、SIADHと尿崩症の病態生理および関連ホルモンの測定意義。