ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉について正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・4番
解説
HIVは逆転写酵素を持つレトロウイルスであり(選択肢1)、その酵素はウイルスの増殖に不可欠です。また、HIVは血液を介して感染するため、医療現場での針刺し事故は重要な感染経路となります(選択肢4)。CD4陽性Tリンパ球が主要な標的細胞であり(選択肢2は誤り)、イムノクロマト法はスクリーニング検査には用いられますが確認検査ではありません(選択肢3は誤り)。ノイラミニダーゼ阻害薬はインフルエンザ治療薬であり、HIVには効果がありません(選択肢5は誤り)。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。HIVはレトロウイルスの一種であり、そのゲノムであるRNAをDNAに変換するために逆転写酵素を必須とします。この酵素はウイルスの複製サイクルにおいて中心的な役割を担います。
- 2. HIVの主要な標的細胞はCD4陽性Tリンパ球、マクロファージ、樹状細胞などです。CD4分子を介して細胞に侵入します。正しくは:HIVの主要な標的細胞はCD4陽性Tリンパ球です。選びやすい理由:リンパ球が標的細胞であることは正しいですが、CD4とCD8の区別があいまいだと誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:CD4陽性T細胞とCD8陽性T細胞の機能およびHIV感染における役割について混同している可能性があります。CD8陽性T細胞は細胞傷害性T細胞としてウイルス感染細胞を排除する役割を持ちます。
- 3. イムノクロマト法は迅速スクリーニング検査として用いられることがありますが、確認検査としては一般的にウェスタンブロット法や核酸増幅検査(NAT)などが用いられます。確認検査はより特異度が高く、偽陽性を排除するためのものです。正しくは:スクリーニング検査としてイムノクロマト法が使用されることがあります。選びやすい理由:イムノクロマト法がHIV検査で用いられること自体は事実なので、確認検査かスクリーニング検査かの区別があいまいだと選びやすいです。混同注意:スクリーニング検査と確認検査の役割および検査法の特性(感度・特異度)について混同している可能性があります。
- 4. 正解。HIVは血液や体液を介して感染するため、感染者の血液が付着した針による刺傷(針刺し事故)は医療従事者における重要な感染経路の一つです。これは職業感染の代表例です。
- 5. ノイラミニダーゼ阻害薬はインフルエンザウイルスの治療薬であり、HIVの治療薬ではありません。HIVの治療には、逆転写酵素阻害薬、プロテアーゼ阻害薬、インテグラーゼ阻害薬など、異なる作用機序を持つ抗HIV薬が用いられます。正しくは:治療には抗HIV薬(例:逆転写酵素阻害薬)が有効です。選びやすい理由:ウイルス感染症の治療薬であることは正しいですが、特定のウイルスに対する特異性を無視すると誤って選んでしまいます。タミフルなどのCMで名称を聞く機会が多い薬であるため、知識の関連付けが誤りやすいです。混同注意:抗ウイルス薬全般と、特定のウイルスに対する特異的な作用機序を持つ薬物の知識を混同している可能性があります。特に、インフルエンザウイルスとHIVは全く異なるウイルスです。
国試ポイント
HIVの基本的なウイルス学的特徴(逆転写酵素の有無、レトロウイルスの分類)、主要な標的細胞、検査法の種類と目的(スクリーニングと確認)、主な感染経路、および治療薬の作用機序について正しく理解しているかを問う問題です。他のウイルス(特にインフルエンザウイルス)との区別も重要です。
混同注意
HIVの標的細胞(CD4陽性T細胞とCD8陽性T細胞)、HIV検査法におけるスクリーニングと確認の区別、抗ウイルス薬の種類と作用機序(特にHIV薬とインフルエンザ薬)。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、HIVの具体的な抗ウイルス薬の種類と、それぞれの作用機序(例:逆転写酵素阻害薬、プロテアーゼ阻害薬、インテグラーゼ阻害薬)について問われる可能性があります。また、日和見感染症の種類や、AIDS発症の診断基準なども重要です。
関連知識
レトロウイルスの特徴、HIVのライフサイクル、CD4陽性T細胞の機能、日和見感染症、HAART(多剤併用療法)、針刺し事故後の曝露後予防(PEP)。