血清クレアチニンが上昇するのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・4番
解説
血清クレアチニンは主に腎臓から排泄されるため、腎機能の低下や腎血流量の減少を伴う病態で上昇します。1. 脱水では腎血流が減少し、腎前性腎不全の状態となりクレアチニンが上昇します。4. うっ血性心不全も同様に心機能低下により腎血流が減少し、腎前性腎不全を来すためクレアチニンが上昇します。一方、2. 妊娠中は糸球体ろ過量が増加し、3. 尿崩症は脱水は伴うものの直接的な腎機能障害によるクレアチニン上昇は起こりにくく、5. 筋ジストロフィでは筋量減少によりクレアチニン産生量が減るため、これらはクレアチニン上昇の主要因ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。脱水状態では、腎臓への血流量が減少するため、糸球体ろ過量が低下し、クレアチニンの排泄が不十分となり血清クレアチニン値が上昇します。
- 2. 妊娠中は糸球体ろ過量(GFR)が増加するため、血清クレアチニン値はむしろ低下する傾向にあります。正しくは:妊娠中は血清クレアチニン値が低下する傾向にある。選びやすい理由:体液量の変化に伴う腎機能への影響を誤解し、クレアチニンが上昇すると考えてしまう可能性がある。混同注意:腎機能が低下する病態と混同しやすい。
- 3. 尿崩症は抗利尿ホルモン(ADH)の作用不全により大量の希釈尿が排泄される病態で、直接的にクレアチニン排泄を阻害するものではありません。重度の脱水が続けば腎前性腎不全により上昇する可能性もありますが、直接的な主要な原因ではありません。正しくは:尿崩症は直接的に血清クレアチニンを上昇させる主要な原因ではない。選びやすい理由:脱水症状を伴うため、脱水によるクレアチニン上昇と関連付けてしまいやすい。混同注意:脱水に関連する病態と、クレアチニン上昇の直接的な原因を混同しやすい。
- 4. 正解。うっ血性心不全では、心臓のポンプ機能が低下し、腎臓への血流が減少します(腎前性腎不全)。これにより糸球体ろ過量が低下し、クレアチニンの排泄が滞り、血清クレアチニン値が上昇します。
- 5. 筋ジストロフィでは、筋組織が破壊され筋量が減少するため、クレアチニンの産生量が減少し、血清クレアチニン値はむしろ低下する傾向にあります。ただし、病態が進行し腎臓に影響を及ぼす場合は異なる。正しくは:筋ジストロフィでは血清クレアチニン値が低下する傾向にある。選びやすい理由:筋肉関連の疾患であるため、クレアチニン(筋肉由来の代謝物)との関連で何らかの変化があると考えやすい。混同注意:クレアチニンキナーゼ(CK)のような、筋破壊で上昇する酵素と混同しやすい。
国試ポイント
本問題は、血清クレアチニン値の変動に影響を与える生理的・病理的要因について理解しているかを問うものです。特に腎機能との関連性が重要で、腎前性腎不全の原因となる病態を把握しているか、またクレアチニンの産生量や排泄量に影響を与える他の因子(筋量、GFRなど)を混同せず理解しているかが問われます。複数選択肢問題のため、正確な知識が必要です。
混同注意
血清クレアチニン値の上昇要因と低下要因、またクレアチニンキナーゼ(CK)のような筋肉関連の他の検査項目との混同、さらに直接的な腎機能障害と腎血流低下による腎機能低下(腎前性)の区別が混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、血清クレアチニン値が上昇する病態として、腎前性腎不全を来す疾患(脱水、心不全、ショックなど)、腎性腎不全(急性・慢性腎炎、腎硬化症など)、腎後性腎不全(尿路閉塞など)を識別できるか、また筋肉量の減少(筋ジストロフィ、廃用萎縮)や妊娠によるGFR増加など、クレアチニンが低下する要因と明確に区別できるかが問われます。
関連知識
血清クレアチニンは、筋肉の代謝産物であり、腎臓の糸球体でろ過され、尿細管からはわずかに分泌されることで排泄されます。血中濃度は腎機能の指標として用いられますが、年齢、性別、筋肉量、食事(肉食)などによっても変動します。腎前性腎不全、腎性腎不全、腎後性腎不全の病態生理と、それぞれのクレアチニン変動パターンを理解することが重要です。