グルカゴンによって促進するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
グルカゴンは膵臓のランゲルハンス島A細胞から分泌されるペプチドホルモンで、血糖値が低下した際にその上昇を促す主要なホルモンです。その作用機序として、肝臓におけるグリコーゲン分解(グリコーゲンホスホリラーゼ活性化)と糖新生(ピルビン酸カルボキシラーゼ、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼなどの誘導)を強力に促進します。これにより、グルコースが血中に供給され、血糖値が維持されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。グルカゴンは血糖値が低下した際に分泌されるホルモンで、肝臓での糖新生(非糖質前駆体からのグルコース合成)を強く促進し、血糖を上昇させます。
- 2. 乳酸産生は主に解糖系の亢進や酸素不足の状況下で起こり、グルカゴンは直接的に乳酸産生を促進するホルモンではありません。むしろグルカゴンは糖新生を促進する過程で、乳酸を糖新生の基質として利用する場合があります。正しくは:乳酸は糖新生の基質となりえますが、グルカゴンは乳酸の「産生」ではなく「利用」を促します。選びやすい理由:乳酸が糖代謝に関連する物質であるため、関連があるように感じられるかもしれません。混同注意:糖新生の基質としての乳酸の「利用」と、乳酸の「産生」が混同される可能性があります。
- 3. グルカゴンは血糖値を上昇させるホルモンであり、インスリンのように細胞(特に筋肉や脂肪細胞)への糖の取り込みを促進する作用はありません。むしろインスリンが糖の取り込みを促進します。正しくは:グルカゴンは、インスリンとは異なり、細胞への糖の取り込みを抑制する方向に働きます。血糖上昇作用を持つホルモンです。選びやすい理由:糖代謝に関連する作用であるため、血糖値の調整に関与すると誤解されるかもしれません。混同注意:血糖降下作用を持つインスリンの作用と混同される可能性があります。
- 4. グリコーゲン合成(グリコーゲン生成)は、血糖値が高いときにインスリンによって促進され、過剰なグルコースを肝臓や筋肉に貯蔵するプロセスです。グルカゴンは血糖値が低いときに分泌され、グリコーゲン分解を促進して血糖を上昇させます。正しくは:グルカゴンはグリコーゲンの「分解」を促進し、グリコーゲンの「合成」は抑制します。選びやすい理由:グリコーゲンが糖代謝の貯蔵形態であるため、関連があるように感じられるかもしれませんが、その作用は逆です。混同注意:グリコーゲンの「分解」と「合成」が混同される可能性があります。
- 5. グルカゴンは脂肪組織において脂肪分解(リパーゼ活性化)を促進し、遊離脂肪酸の放出を促します。これはエネルギー源として利用するためであり、細胞への取り込みを直接促進する作用ではありません。正しくは:グルカゴンは脂肪組織からの遊離脂肪酸の「放出」を促進します。選びやすい理由:脂質代謝に関連するホルモンであるため、何らかの作用があると推測されるかもしれません。混同注意:遊離脂肪酸の「放出」と「取り込み」が混同される可能性があります。
国試ポイント
この問題は、グルカゴンの主要な生理作用、特に肝臓における糖代謝への影響を理解しているかを問うものです。ホルモンの機能と、それがどのような生化学的経路を制御するかについて正確な知識が求められます。特にインスリンとの拮抗作用を理解しているかが重要です。
混同注意
インスリンの作用(糖の取り込み促進、グリコーゲン合成促進、脂肪合成促進)と混同しやすい。また、グリコーゲンの合成と分解、脂肪酸の放出と取り込みといった、逆の作用を持つプロセスが選択肢に含まれているため、それぞれのホルモンがどのプロセスを促進・抑制するかを正確に把握しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、グルカゴンが『血糖値を上昇させる』ホルモンであるという大前提を思い出し、その作用に合致する経路(糖新生、グリコーゲン分解)を選ぶことが重要です。また、インスリンの作用と混同しないよう注意が必要です。
関連知識
グルカゴンの作用部位は主に肝臓、脂肪組織。インスリンは肝臓、筋肉、脂肪組織。グルカゴンは脂肪分解を促進し、遊離脂肪酸を増加させる。ケトン体生成も促進する。インスリンとグルカゴンは血糖調節において拮抗的に働く。グルカゴン分泌は低血糖だけでなく、アミノ酸の摂取によっても促進される。