HPLC法によるHbA1c測定値が低下する要因はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
HPLC法によるHbA1c測定値が低下する要因は、主に赤血球の寿命が短縮する病態です。溶血性貧血では赤血球の寿命が短くなるため、ヘモグロビンが糖化される期間が短縮し、結果としてHbA1cの値が実際よりも低く測定されます。これにより、血糖コントロールの評価が過小評価される可能性があるため、注意が必要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 尿毒症では、赤血球寿命が短縮することに加え、高血糖状態が継続することが多いため、HPLC法によるHbA1c測定値は、見かけ上は低下しにくい、あるいは高値を示すことがあります。特にカルバミル化ヘモグロビンが増加し、高値になることがあります。正しくは:尿毒症ではHbA1c測定値は高値となる傾向があります。選びやすい理由:赤血球寿命の短縮という点では溶血性貧血と似ていますが、尿毒症による高血糖の影響やカルバミル化ヘモグロビンの影響があるため、一概に低下するとは限りません。混同注意:溶血性貧血による赤血球寿命短縮と混同し、HbA1c低下要因と考えてしまうかもしれません。
- 2. 乳び血症は、血液中のトリグリセリド(中性脂肪)が高濃度になる状態を指しますが、これはHPLC法によるHbA1cの測定値に直接的な影響を与えることはほとんどありません。特にHbA1cは、赤血球中のヘモグロビンの糖化の割合を示すため、血清中の脂質濃度は通常、影響しません。正しくは:乳び血症はHbA1c測定値に影響しません。選びやすい理由:検体が白濁するため、他の検査項目に影響が出ることがあるため、HbA1cにも影響があるのではと誤解しやすいかもしれません。混同注意:他の検査項目における測定誤差(特に吸光度測定系の項目)と混同しやすいです。
- 3. 正解。溶血性貧血では、赤血球の寿命が通常よりも短くなります。HbA1cは、赤血球の寿命(約120日間)にわたる血糖値の平均を反映するため、赤血球寿命が短縮すると、糖化ヘモグロビンが形成される期間も短くなり、結果としてHbA1cの測定値が見かけ上低く報告されます。これは、血糖コントロールが悪い場合でも、HbA1cが低値を示す可能性があるため、注意が必要です。選びやすい理由:貧血自体がHbA1cに直接影響するわけではないという誤解があるかもしれませんが、溶血による赤血球寿命の短縮が本質的な要因です。
- 4. アスピリン(アセチルサリチル酸)の大量摂取は、ヘモグロビン分子のアミノ基にアセチル基が結合することで、HbA1cの測定に影響を与える可能性が指摘されていますが、一般的にはHPLC法での測定値はむしろ高値を示すか、見かけ上高値として測定されることがあります。これは糖化ヘモグロビン以外の部分へのアセチル化によるものです。しかし、国試の文脈では、アスピリンの大量摂取は主にHbA1cを高値とする因子として認識されています。正しくは:アスピリンの大量摂取は、HbA1c測定値を見かけ上、高値にすることがあります。選びやすい理由:薬物の影響は複雑で、アスピリンが他の検査値に影響を与えることが知られているため、HbA1cにも何らかの影響があるだろうと予測しやすいです。混同注意:特定の薬剤がHbA1cに影響を与えるという知識と、具体的な影響(高値か低値か)が混同しやすいです。
- 5. アスコルビン酸(ビタミンC)の大量摂取は、主にグリコヘモグロビン測定の比色法や免疫比濁法において、還元作用により測定値を低くする可能性が報告されています。しかし、HPLC法はヘモグロビン分子の電荷の違いを利用するため、アスコルビン酸の影響はほとんど受けないとされています。そのため、HPLC法におけるHbA1c測定値の低下要因としては適切ではありません。正しくは:アスコルビン酸の大量摂取は、HPLC法によるHbA1c測定値にほとんど影響しません(他の測定法では低下させる場合があります)。選びやすい理由:アスコルビン酸がHbA1cの他の測定法に干渉し、低値を示すことがあるため、その知識と混同してHPLC法でも同様の影響があると考えてしまうかもしれません。混同注意:アスコルビン酸によるHbA1c測定値への干渉は、主に比色法などの化学反応を利用する測定法で起こる現象であり、HPLC法とは原理が異なるため混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、HbA1c測定における「HbA1cに影響を与える病態生理学的要因」を理解しているかを問うものです。特に、赤血球の寿命がHbA1c値にどのように影響するかという点が重要です。各選択肢の病態がHbA1c測定値に与える影響(高値化、低値化、影響なし、または測定法による影響の違い)を正確に把握している必要があります。
混同注意
HbA1c測定値に影響を与える様々な病態や薬剤(高値化要因、低値化要因、測定法による影響の違い)が混同されやすいです。特に、赤血球寿命の短縮がもたらす影響を正確に理解しておくことが重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、各病態や薬剤が「HPLC法によるHbA1c測定値に対して高値化、低値化、あるいは影響なし」のいずれをもたらすのか、その理由とともに確認する。特に、赤血球寿命の短縮・延長がどう影響するかを判断の軸とする。
関連知識
溶血性貧血以外のHbA1c低下要因としては、出血、輸血、サラセミア、慢性腎臓病の一部(エリスロポエチン製剤投与時など)が挙げられます。逆に、HbA1cが高値を示す要因としては、鉄欠乏性貧血、脾臓摘出後、慢性腎臓病の一部(赤血球寿命延長を伴う場合)、特定の薬剤(ステロイドなど)があります。また、測定法による干渉物質の違い(例:アスコルビン酸は比色法に影響するがHPLC法には影響しにくい)も重要です。