尿沈渣の無染色標本(別冊No. 1A)とSternheimer染色標本(別冊No. 1B)を別に示す。この構造物はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
下に示す画像(特にSternheimer染色標本)には、円柱状の透明な基質(硝子円柱が基質となっていることが多い)の中に、核がなく、両面が窪んだ円盤状の細胞が多数取り込まれているのが確認できます。これらの細胞は赤血球の典型的な形態を示しており、尿中に赤血球円柱が認められることは、腎炎などの糸球体病変を示唆する重要な所見です。
選択肢ごとの解説
- 1. 硝子円柱は均一で透明な円柱であり、細胞成分を含みません。提示された画像には細胞成分がはっきりと確認できます。正しくは:硝子円柱は均一で透明な円柱であり、細胞成分を含みません。選びやすい理由:円柱構造である点は合っていますが、内部の顆粒や細胞の形態が異なります。混同注意:他の円柱の種類(顆粒円柱、細胞円柱)と混同しやすいです。
- 2. 顆粒円柱は、変性した細胞やタンパク質由来の顆粒を多数含みますが、明確な細胞の形態は通常認められません。提示された画像には、顆粒ではなく明確な細胞が確認できます。正しくは:顆粒円柱は不均一な顆粒状物質で構成されており、個々の細胞の形態は通常不明瞭です。選びやすい理由:円柱構造で内部に何らかの成分があるという点で選択肢として考えられますが、成分が顆粒状ではありません。混同注意:細胞円柱(赤血球円柱、白血球円柱、上皮円柱)と混同しやすいです。
- 3. 上皮円柱は、尿細管上皮細胞を複数含みます。画像に示されている細胞は、核がなく、両面が窪んだ円盤状の形態をしており、これは赤血球の特徴です。正しくは:上皮円柱は、楕円形や多角形の核を持つ尿細管上皮細胞を内包しています。選びやすい理由:細胞を含む円柱という点で候補になるかもしれませんが、細胞の形態が上皮細胞とは明らかに異なります。混同注意:赤血球円柱や白血球円柱と混同しやすいです。
- 4. 正解。画像(特に右のSternheimer染色標本)では、円柱状の透明な基質の中に、核がなく、両面が窪んだ円盤状の細胞が多数認められます。これらの形態的特徴は赤血球に一致し、特に円柱内に存在する状態であるため赤血球円柱と判断されます。正しくは:正答のため修正不要です。選びやすい理由:正答のため該当しません。混同注意:正答のため該当しません。
- 5. 白血球円柱は、多核白血球(好中球など)を多数含みます。画像中の細胞は核を持たないため、白血球ではありません。正しくは:白血球円柱は、核を持つ好中球などの白血球を内包しています。選びやすい理由:細胞を含む円柱という点で選択肢として考えられますが、細胞の形態が白血球とは異なります(特に核の有無)。混同注意:赤血球円柱や上皮円柱と混同しやすいです。
国試ポイント
尿沈渣の基本的な鑑別能力、特に円柱の種類とその構成成分(赤血球、白血球、上皮細胞など)の形態的特徴を正確に識別できるかが問われています。無染色標本と染色標本それぞれの見え方の違いも理解しておく必要があります。
混同注意
硝子円柱、顆粒円柱、上皮円柱、白血球円柱といった他の種類の円柱や、遊離した赤血球との鑑別が混同しやすいポイントです。特に、円柱内の細胞の有無、核の有無、細胞の形状が鑑別の鍵となります。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出た場合、まず円柱の有無を確認し、次に円柱内部に含まれる成分(細胞、顆粒、結晶など)の形態的特徴(核の有無、大きさ、形、色調)を詳細に観察することで、鑑別を進めることができます。
関連知識
尿沈渣検査は腎疾患の診断に不可欠であり、各種円柱は病態を反映します。赤血球円柱は糸球体腎炎に特異的な所見として重要です。Sternheimer染色(やトルイジンブルー染色)は細胞成分の核や細胞質を染色し、無染色では見えにくい構造を明瞭にするために用いられます。