糞便の性状と疾患の組合せで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
アメーバ赤痢は、赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)の感染によって引き起こされ、腸管に潰瘍を形成します。この潰瘍からの出血と壊死した組織、多量の粘液が混ざり合い、「イチゴゼリー状」と形容される特徴的な粘血便を呈します。これは、純粋な便成分が少なく、血液と粘液が主体である状態を示す重要な所見です。
選択肢ごとの解説
- 1. 総胆管結石では、胆汁の流れが阻害されるため、便に色がほとんどつかず、「灰白色便(粘土便)」が見られるのが典型的です。緑色便は、胆汁が十分に分解されずに急速に排泄された場合や、摂取した食品・薬剤が原因で生じることがあります。正しくは:「灰白色便」と「総胆管結石」選びやすい理由:便の色が疾患と関連するという点は合っていますが、具体的な色が異なります。混同注意:胆汁の色素代謝と便色の変化の関係性。
- 2. MRSA腸炎では、主に水様性下痢や粘血便が見られることがあります。灰白色便は、胆汁の排泄障害(胆道閉塞など)が原因で、便に色がつかなくなることで発生します。正しくは:「水様便または粘血便」と「MRSA腸炎」、あるいは「灰白色便」と「胆道閉塞」選びやすい理由:何らかの腸炎なので、便の異常が出ること自体は正しいという点で選択しやすいかもしれません。混同注意:特定の便の性状と、一般的な感染性腸炎による下痢症状。
- 3. コレラは、大量の「米の研ぎ汁様便」を特徴とする激しい水様性下痢を引き起こします。タール便は、上部消化管からの出血(胃潰瘍や十二指腸潰瘍など)により、血液が胃酸で酸化されて黒く変色した便を指します。正しくは:「米の研ぎ汁様便」と「コレラ」、あるいは「タール便」と「上部消化管出血」選びやすい理由:どちらも消化器系の病気であり、便の性状が著しく変化するという点で共通しているため、混同されやすいです。混同注意:出血源による便の色(上部消化管出血による黒色便と下部消化管出血による鮮血便)と、特定の感染症に特有の便の性状。
- 4. カンピロバクター腸炎では、水様性下痢の後に粘血便や血便が見られることが一般的です。「米の研ぎ汁様便」は、コレラに非常に特徴的な便の性状です。正しくは:「粘血便または血便」と「カンピロバクター腸炎」、あるいは「米の研ぎ汁様便」と「コレラ」選びやすい理由:どちらも細菌性腸炎なので、特定の便の異常があるという点で関連があるように見えやすいです。混同注意:特定の細菌性腸炎と、それと強く関連する特徴的な便の性状。
- 5. 正解。アメーバ赤痢は、赤痢アメーバが腸粘膜に潰瘍を形成することで、出血や壊死組織、多量の粘液が混じり合った「イチゴゼリー」のように見える特徴的な粘血便を呈します。これはアメーバ赤痢の典型的な所見です。
国試ポイント
便の性状と原因疾患の典型的な組み合わせを問う問題は頻出です。特に、特定の感染症に非常に特徴的な便の性状(例:コレラの米の研ぎ汁様便、アメーバ赤痢のイチゴゼリー状便、上部消化管出血のタール便など)は鑑別診断の基礎となるため、確実に覚えておく必要があります。
混同注意
赤痢菌による細菌性赤痢の「粘血便」と、アメーバ赤痢の「イチゴゼリー状便」は、どちらも血便を伴うため混同しやすいですが、アメーバ赤痢の方が便の成分が少なく、粘液と血液が主体である点で異なります。また、各種感染性腸炎における「水様便」「血便」「粘液便」の具体的な違いと、それぞれの原因菌との関連も理解しておくべきです。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、主要な便の性状(色、固さ、内容物、量)とその原因疾患(感染症、出血、吸収不良、肝胆膵疾患など)の典型例を、正確にペアで覚えているかを確認する。特に、特徴的な名前がついている便(例:タール便、米の研ぎ汁様便、イチゴゼリー状便)は最優先で覚えるべき。
関連知識
緑色便:急速な腸管通過、未変化胆汁、食品(ホウレンソウなど)、薬剤(鉄剤など)。灰白色便(白色便):胆道閉塞(総胆管結石、膵頭部癌など)、バリウム服用後。タール便(黒色便):上部消化管出血(胃・十二指腸潰瘍、食道静脈瘤破裂など)、鉄剤服用。鮮血便:下部消化管出血(痔、大腸憩室出血、大腸癌、炎症性腸疾患など)。米の研ぎ汁様便:コレラ。粘血便:細菌性赤痢、サルモネラ腸炎、カンピロバクター腸炎、腸管出血性大腸菌感染症、潰瘍性大腸炎。脂肪便:膵外分泌機能不全、吸収不良症候群。