ダイオキシン類について誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
ダイオキシン類は発がん性や免疫毒性、生殖毒性、催奇形性など多様な毒性を示すことが知られていますが、その発がんメカニズムはDNAを直接損傷する「遺伝毒性」によるものではなく、アリール炭化水素受容体(AhR)を介した遺伝子発現の変化や細胞増殖の促進など「非遺伝毒性」によるものと考えられています。したがって、直接的なDNA障害作用があるという記述は誤りです。
選択肢ごとの解説
- 1. ダイオキシン類には催奇形性があることが知られています。特に動物実験で確認されており、ヒトへの影響も懸念されています。正しくは:この記述は正しいです。ダイオキシン類には催奇形性があります。選びやすい理由:一般的な毒性作用として知られているため、正しい記述と判断しやすいです。混同注意:催奇形性と発がん性、変異原性などの他の毒性作用と混同する可能性は低いですが、ダイオキシン類の多様な毒性作用の一つとして認識しておく必要があります。
- 2. ダイオキシン類は神経毒性を示すことが報告されています。特に発達期の曝露によって神経発達に影響を与える可能性が指摘されています。正しくは:この記述は正しいです。ダイオキシン類には神経毒性があります。選びやすい理由:多岐にわたるダイオキシン類の毒性作用の一つとして認識しやすいです。混同注意:他の臓器毒性(肝臓、免疫系など)と混同することはありませんが、ダイオキシン類の広範な影響の一つとして捉えられます。
- 3. ダイオキシン類は脂溶性が高く、環境中で分解されにくいため、食物連鎖を通じて高次の生物に移行し、体内に高濃度で蓄積される「生物濃縮」を起こします。これがダイオキシン類が問題視される主要な理由の一つです。正しくは:この記述は正しいです。ダイオキシン類は生物濃縮を起こします。選びやすい理由:ダイオキシン類の環境汚染としての最も特徴的な側面であるため、正しいと判断しやすいです。混同注意:生物濃縮と生体蓄積、食物連鎖という用語は関連が深く、混同は少ないでしょう。
- 4. 正解。ダイオキシン類の発がん性や変異原性は、直接的なDNA損傷(DNA障害作用)によるものではなく、アリール炭化水素受容体(AhR)を介した遺伝子発現の変化や細胞増殖の促進、免疫抑制、ホルモン作用への影響などが主なメカニズムとされています。これらは「非遺伝毒性発がん物質」に分類されます。正しくは:ダイオキシン類の発がん性は直接的なDNA障害作用によるものではなく、AhRを介した間接的な作用と考えられています。選びやすい理由:発がん性物質の多くはDNAを直接損傷するため、ダイオキシン類もそうだと誤解しやすいです。また、多くの毒性作用を持つため、DNA障害もその一つだろうと推測しがちです。混同注意:「遺伝毒性発がん物質」と「非遺伝毒性発がん物質」の区別を混同しやすいです。発がん性があることとDNAを直接損傷すること(遺伝毒性)は同義ではないという理解が必要です。
- 5. ダイオキシン類は、内分泌攪乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)の一つであり、体内のホルモン作用(特に甲状腺ホルモンや性ホルモン)に影響を与え、正常な内分泌機能をかく乱することが知られています。正しくは:この記述は正しいです。ダイオキシン類には内分泌攪乱作用があります。選びやすい理由:「環境ホルモン」という言葉とともに、ダイオキシン類が内分泌攪乱物質であることは広く知られているため、正しいと判断しやすいです。混同注意:内分泌攪乱作用と他の毒性作用(免疫毒性、発がん性など)とは明確に区別して理解しておく必要があります。
国試ポイント
ダイオキシン類の多岐にわたる毒性作用について正確に理解しているかを問う問題です。特に、発がん性メカニズムが直接的なDNA損傷ではない(非遺伝毒性)という点が重要です。
混同注意
「発がん性がある」ことと「DNA障害作用がある(遺伝毒性である)」ことの区別。多くの発がん物質は遺伝毒性を示しますが、ダイオキシン類は非遺伝毒性発がん物質の代表例です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合、ダイオキシン類以外の環境汚染物質(PCB、重金属、内分泌攪乱化学物質など)についても、それぞれの主な毒性、作用機序(遺伝毒性/非遺伝毒性など)、環境中での挙動(生物濃縮の有無など)を正確に理解しているかを確認しましょう。
関連知識
ダイオキシン類は、ポリ塩化ジベンゾ-p-ダイオキシン(PCDDs)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)、コプラナーPCB(Co-PCB)の総称であり、環境中で難分解性、高脂溶性を示し、生物濃縮・食物連鎖による人体への蓄積が問題となります。主な毒性として、催奇形性、神経毒性、免疫毒性、肝毒性、生殖毒性、内分泌攪乱作用、発がん性などがあります。