脱灰で誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
プランクリクロ液は蟻酸を主成分とする脱灰液であり、硫酸は含まれていません。硫酸を成分とする脱灰液は強力ですが、組織損傷のリスクも高まります。各脱灰液の主成分と特性を正確に理解しておく必要があります。
選択肢ごとの解説
- 1. この記述は正しいです。脱灰は化学反応であるため、温度が高いほど反応速度は上昇し、脱灰にかかる時間が短縮されます。ただし、高温すぎると組織の変性リスクも高まるため注意が必要です。選びやすい理由:温度と化学反応速度の関係は一般的によく知られているため、正しい記述であると判断しやすいです。混同注意:高温での処理は組織損傷のリスクを伴うが、脱灰速度が上がるという事実とは別である。
- 2. この記述は正しいです。脱灰によって生じるカルシウム塩などの分解産物は重く、容器の底に沈殿しやすいです。これらの産物が組織表面に付着すると、脱灰の進行を妨げる可能性があるため、組織を上層や中層に置くことで新鮮な脱灰液との接触を保ち、効率的な脱灰を促します。選びやすい理由:脱灰液の交換や攪拌の重要性と関連付けて、適切な配置が求められると考えるのは自然です。混同注意:単に液体に浸かっていれば良いという誤解と区別する。
- 3. 正解。この記述は誤りです。プランクリクロ液は、主に蟻酸を主成分とする脱灰液であり、硫酸は含まれていません。蟻酸は比較的組織への損傷が少なく、迅速な脱灰が可能です。正しくは:プランクリクロ液は、蟻酸を主成分とする脱灰液です。(あるいは「プランクリクロ液には硫酸は含まれません」)選びやすい理由:様々な種類の脱灰液の成分が混同しやすく、強酸であれば硫酸が含まれていると誤解する可能性があります。混同注意:硫酸を主成分とする脱灰液(例: 硫酸脱灰液)や、塩酸などの他の強酸を主成分とする脱灰液と混同しやすいです。
- 4. この記述は正しいです。脱灰後には組織に酸が残存しているため、染色性の悪化や組織の脆弱化を防ぐために中和処理が必要です。中和には弱アルカリ性の溶液が用いられ、硫酸ナトリウムではなく、飽和炭酸リチウム溶液や水酸化リチウム溶液、あるいは重曹水などが一般的です。選びやすい理由:「中和」という言葉から、何らかの塩(ナトリウム塩など)が使われると推測するかもしれませんが、具体的な物質名が異なるため注意が必要です。混同注意:中和に用いる具体的な薬剤(飽和炭酸リチウム溶液、水酸化リチウム溶液、重曹水など)と硫酸ナトリウムを混同しやすいです。
- 5. この記述は正しいです。EDTAはカルシウムイオンをキレートすることで脱灰を行うため、酸性脱灰液に比べて組織抗原性が保持されやすいという利点があります。そのため、免疫組織化学染色のように抗原性が重要な染色法において推奨されます。選びやすい理由:EDTAによる脱灰が免疫組織化学染色に適しているという知識は、よく問われるポイントであり、正しい記述と判断しやすいです。混同注意:強酸性脱灰液が抗原性を損なうという欠点と対比して理解することが重要です。
国試ポイント
脱灰の基本的な原理(温度、液交換)、各脱灰液の主要成分とその特性(特に組織への影響)、そして脱灰後の処理(中和)について、正確な知識が問われています。特に、免疫組織化学染色など特殊な染色法に適した脱灰方法(EDTA)は頻出です。
混同注意
様々な脱灰液の名称とその主要成分、そしてそれぞれが組織に与える影響や適応(迅速性、抗原性の保持など)が混同されやすいです。特に、酸性脱灰液の種類と特徴、キレート剤による脱灰(EDTA)の違いを明確にしておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た際には、各脱灰液の主成分だけでなく、それぞれの脱灰液が組織抗原性や細胞形態に与える影響、脱灰速度についても注目して選択肢を評価する必要があります。また、脱灰後の適切な処理方法(中和剤の種類)も重要です。
関連知識
・主要な脱灰液とその主成分:ホルマリン固定、各種染色法(ヘマトキシリン・エオシン染色など)の基礎知識。・組織処理における各工程の意義と目的:固定、脱灰、中和、水洗、パラフィン包埋、薄切。