PAS反応で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
PAS反応でグリコーゲンを検出する際、グリコーゲンは水溶性で組織標本から溶出する可能性があるため、セロイジン被膜法により組織を被膜で保護することで溶出を防ぎ、良好な染色結果を得ることができます。特に固定が不十分な場合や、水溶性の高い物質を対象とする場合に有効です。
選択肢ごとの解説
- 1. シッフ試薬の調整には濃塩酸が必要です。濃硫酸は使用しません。正しくは:シッフ試薬の調整には濃塩酸が必要です。選びやすい理由:酸性の試薬を添加することから、硫酸も選択肢として考えやすい。しかし、塩酸が一般的です。混同注意:他の組織化学染色液の調整試薬。
- 2. シッフ試薬の主成分は塩基性フクシンを亜硫酸で還元・脱色したものです。酸性フクシンではありません。正しくは:シッフ試薬の主成分は塩基性フクシンを亜硫酸で還元・脱色したものです。選びやすい理由:フクシンという名前から色素の一種であることは正しいが、塩基性フクシンと酸性フクシンの区別が曖昧だと誤りやすい。混同注意:各種フクシン色素の種類と用途(例: マッソン・トリクローム染色に用いられる酸性フクシンなど)。
- 3. シッフ試薬の染色能力の確認には、アルデヒド基を含む水溶液(例: フォルムアルデヒド溶液)や、既知のPAS陽性組織標本を使用します。95%エタノールは試薬の純度や濃度確認には適しません。正しくは:シッフ試薬の染色能力の確認には、アルデヒド基を含む水溶液や既知のPAS陽性組織標本を使用します。選びやすい理由:エタノールが一般的な脱水・洗浄溶媒であるため、何らかの確認作業に使用されると誤解しやすい。混同注意:組織処理におけるエタノールの役割。
- 4. 正解。グリコーゲンは水溶性であるため、PAS反応の際に水系操作で組織標本から溶出する可能性があります。セロイジン被膜法は、組織の表面をセロイジンで被膜することでグリコーゲンの溶出を防ぎ、良好な染色結果を得るために効果的な方法です。選びやすい理由:正しい記述であるため、適切な知識があれば迷わず選択できる。混同注意:特別な処理なしに染色できる他の成分(例:基底膜など)との区別。
- 5. ボイルドシッフ試薬(加温シッフ試薬)は、コールドシッフ試薬(常温シッフ試薬)に比べて、一般的に反応が促進されるため染色力が向上します。したがって、コールドシッフ試薬が劣るという記述は誤りです。正しくは:ボイルドシッフ試薬に比べて、コールドシッフ試薬は染色力が劣ります、あるいはボイルドシッフ試薬はコールドシッフ試薬より染色力が優れます。選びやすい理由:「ボイルド」という言葉から、試薬の劣化を連想し、染色力が劣ると誤解する可能性がある。しかし、加温は反応促進を目的とします。混同注意:試薬の劣化条件と、反応促進条件。
国試ポイント
PAS反応の原理、試薬成分、操作上の注意点(特にグリコーゲンの水溶性と対策)を理解すること。
混同注意
PAS反応で検出される物質と、それぞれの検出における注意点(例:グリコーゲンは水溶性、ムチンは粘液性)。
次に同じ論点が出たら
PAS反応に関する問題が出た場合、まず試薬の主要成分と役割、そして検出対象物質の特性(特に水溶性かどうか)に注目して判断する。
関連知識
PAS反応は、アルデヒド基を生成する糖鎖(グリコーゲン、ムチン、基底膜など)の検出に用いられる。シッフ試薬はフクシン色素を亜硫酸で脱色したものであり、アルデヒド基と反応して赤紫色を呈する。