末梢血のWright-Giemsa染色標本(別冊No. 10A)とエステラーゼ二重染色標本(別冊No. 10B)を別に示す。最も考えられるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
下図A2のWright-Giemsa染色標本では、大型で核形不整な細胞が多数認められます。下図B2のエステラーゼ二重染色標本では、青染している顆粒球系細胞とは異なり、赤染している細胞(非特異的エステラーゼ陽性)が多数確認できます。これは単球系細胞(特に芽球)が非特異的エステラーゼに強く反応する特徴と一致するため、急性単球性白血病(AML-M5)が最も考えられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 急性赤白血病(M6)は、赤芽球が50%以上を占め、かつ非赤芽球系細胞のうち芽球が20%以上を占める病態です。エステラーゼ二重染色では、非特異的エステラーゼ陽性反応を伴う単球系細胞も認められますが、本問のエステラーゼ染色の結果とは異なります。正しくは:急性赤白血病では、エステラーゼ二重染色における単球系の反応とは異なる細胞群が主に見られます。選びやすい理由:芽球の出現という共通点がありますが、エステラーゼ染色のパターンが異なります。混同注意:M6は赤芽球の増加が特徴であり、単球系細胞の所見とは直接結びつきにくいです。
- 2. 正解。急性単球性白血病(AML-M5)は、非特異的エステラーゼ陽性反応を示す芽球が骨髄および末梢血中に多数出現することが特徴です。Wright-Giemsa染色で大型の核形不整な細胞(単球系芽球)が認められ、エステラーゼ二重染色で非特異的エステラーゼ(α-ナフチル酢酸エステラーゼ)が陽性、特異的エステラーゼが陰性または弱陽性を示す単球系細胞が多数認められる場合、本疾患が強く疑われます。提示された二重染色の所見がM5の特徴と一致します。正しくは:提示された画像のエステラーゼ二重染色で、非特異的エステラーゼが強く陽性を示す単球系芽球の存在が、急性単球性白血病の診断を支持します。選びやすい理由:他の急性白血病でも芽球は出現しますが、エステラーゼ染色パターンがM5に特異的です。混同注意:他の急性骨髄性白血病のサブタイプと混同しやすいですが、エステラーゼ染色で鑑別が可能です。
- 3. 急性巨核芽球性白血病(AML-M7)は、巨核芽球の増殖を特徴とします。これらの細胞はWright-Giemsa染色で特徴的な形態を示しますが、エステラーゼ染色では通常陰性または非特異的な反応を示し、本問のエステラーゼ二重染色のパターンとは異なります。正しくは:急性巨核芽球性白血病では、エステラーゼ染色とは異なる免疫組織化学的染色(例:CD41, CD61)が診断に用いられます。選びやすい理由:珍しいタイプの白血病として選択肢に入っていますが、エステラーゼ染色による鑑別が重要です。混同注意:巨核芽球の形態的特徴を理解していれば鑑別は容易ですが、他の非リンパ性白血病と混同しやすいです。
- 4. 急性前骨髄球性白血病(AML-M3)は、異常な前骨髄球の増殖を特徴とし、多数のAuer小体や微細な顆粒を認めます。特異的エステラーゼ(クロロ酢酸エステラーゼ)が強陽性を示すのが特徴であり、非特異的エステラーゼが陽性となる単球系白血病とは異なります。正しくは:急性前骨髄球性白血病は、特異的エステラーゼが強く陽性となる点で、本問のエステラーゼ染色の結果と一致しません。選びやすい理由:顆粒球系の細胞が主体の白血病であり、鑑別が必要です。混同注意:顆粒球系白血病と単球系白血病は、エステラーゼ染色で鑑別できます。
- 5. 急性リンパ芽球性白血病(ALL)は、リンパ芽球の増殖を特徴とします。これらの細胞はエステラーゼ染色(特異的・非特異的ともに)で通常陰性を示します。本問のエステラーゼ二重染色で陽性反応を示す細胞が多数観察されることから、リンパ系疾患である可能性は低いです。正しくは:急性リンパ芽球性白血病では、エステラーゼ染色が陰性であるため、本問のエステラーゼ染色の結果とは一致しません。選びやすい理由:最も一般的な急性白血病の一つですが、エステラーゼ染色で容易に鑑別できます。混同注意:急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病は、細胞形態と特殊染色、免疫学的形質で鑑別します。
国試ポイント
本問題は、急性白血病の鑑別において、末梢血塗抹標本のWright-Giemsa染色による形態観察と、エステラーゼ二重染色(特異的エステラーゼおよび非特異的エステラーゼ)を用いた細胞化学的特徴の理解が問われています。特に、単球系細胞が非特異的エステラーゼに陽性を示すという特徴を把握しているかが重要です。
混同注意
急性骨髄性白血病の他のサブタイプ(M1, M2, M3, M4など)と混同しやすいですが、エステラーゼ二重染色では顆粒球系と単球系の反応性の違いが明確に現れるため、重要な鑑別点となります。M4(急性骨髄単球性白血病)も単球系細胞が増加しますが、エステラーゼ二重染色のパターンや芽球の比率で鑑別が可能です。
次に同じ論点が出たら
提示された画像が、Wright-Giemsa染色で大型の単核細胞、エステラーゼ二重染色で非特異的エステラーゼ陽性細胞の増加を示唆していることを正確に読み取る。
関連知識
エステラーゼ二重染色は、特異的エステラーゼ(クロロ酢酸エステラーゼ)と非特異的エステラーゼ(α-ナフチル酢酸エステラーゼ)を同時に染色することで、顆粒球系細胞と単球系細胞を鑑別するために用いられます。特異的エステラーゼは顆粒球系細胞(前骨髄球以降)に陽性、非特異的エステラーゼは単球系細胞に陽性を示します。この染色パターンが、FAB分類における急性骨髄性白血病のサブタイプ分類に役立ちます。