広範な皮下出血とAPTT延長が認められたのでAPTTの交差混合試験を実施した。結果を表に示す。 考えられるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
APTTの交差混合試験において、患者血漿に正常血漿を混合してもAPTTが正常化せず、さらに37℃2時間後に延長が顕著になることから、時間依存性のインヒビター(阻害物質)の存在が強く示唆されます。これは後天性血友病Aで産生される第VIII因子インヒビターの典型的なパターンです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。患者血漿に正常血漿を混合してもAPTTが正常化せず、特に37℃2時間後にAPTTの延長がより顕著になっていることから、時間依存性のインヒビターの存在が示唆されます。後天性血友病Aは、自己抗体(インヒビター)が第VIII因子を阻害することでAPTTが延長する病態であり、この検査結果と合致します。選びやすい理由:正しい選択肢であるため、選択肢全体が合理的です。混同注意:ビタミンK欠乏症やvon Willebrand病などの因子欠乏症。これらは正常血漿との混合でAPTTが正常化します。
- 2. ビタミンK欠乏症では、第II、VII、IX、X因子の活性が低下します。APTT延長を伴う場合、正常血漿を混合すればAPTTは正常化します(凝固因子の補充により)。本症例の交差混合試験結果とは一致しません。正しくは:正常血漿を混合するとAPTTは正常化する。選びやすい理由:APTT延長を呈する凝固異常症の一つであるため、知識が曖昧だと誤って選択する可能性があります。混同注意:インヒビターを伴う凝固障害。因子欠乏症は凝固因子補充により改善するが、インヒビターは阻害物質があるため改善しない。
- 3. von Willebrand病では、von Willebrand因子(VWF)の欠損または機能異常により第VIII因子が分解されやすくなりAPTTが延長することがあります。しかし、これは凝固因子の量的・質的異常であり、正常血漿を混合すればAPTTは正常化します。正しくは:正常血漿を混合するとAPTTは正常化する。選びやすい理由:APTT延長を呈する凝固異常症の一つであり、血小板機能異常も伴うため、皮下出血の症状と結びつきやすい点が魅力的に映るかもしれません。混同注意:インヒビターを伴う凝固障害。因子欠乏症は凝固因子補充により改善するが、インヒビターは阻害物質があるため改善しない。
- 4. アレルギー性紫斑病(IgA血管炎)は、血管炎による血小板減少を伴わない紫斑病であり、凝固系に異常をきたすものではありません。APTTは通常正常です。正しくは:APTTは正常である。選びやすい理由:広範囲の皮下出血という症状から、紫斑病を選択肢として考えるかもしれませんが、APTT延長という検査所見と結びつかないため誤りです。混同注意:血小板機能異常症や血管性紫斑病。これらはAPTT延長を伴わない。
- 5. 播種性血管内凝固〈DIC〉では、凝固因子の消費亢進と線溶亢進により、APTTを含む複数の凝固検査項目が異常値を示します。しかし、交差混合試験で時間依存性のAPTT延長がみられるのは典型的ではありません。DICでは凝固因子が消費されているため、正常血漿を混合するとAPTTは一時的に短縮する可能性があります。正しくは:APTTは短縮または延長するが、正常血漿との混合でインヒビターのような時間依存性の異常は示さない。選びやすい理由:広範囲の皮下出血はDICの症状でもあり、APTT延長もDICで認められることがあるため、鑑別が難しいと感じるかもしれません。混同注意:因子欠乏症やインヒビターによる凝固障害。DICは消費性凝固障害であり、因子欠乏とは異なるメカニズムでAPTT延長を示す。
国試ポイント
APTT交差混合試験の結果から凝固異常の原因(因子欠乏症かインヒビターか)を判断すること。
混同注意
凝固因子欠乏症とインヒビターによる凝固障害の鑑別。
次に同じ論点が出たら
今後APTT延長を認める問題が出た場合、交差混合試験の結果が提示されたら「混和直後のAPTTが正常化するか」「37℃2時間後にAPTTが延長するか」を確認して、因子欠乏症かインヒビターかを判断します。
関連知識
インヒビターの多くはIgG型抗体であり、時間・温度依存性に凝固因子を阻害します。先天性血友病では遺伝子異常による凝固因子欠乏が原因であり、インヒビターは通常ありません(治療による抗体産生を除く)。