プロトロンビン時間が正常で活性化部分トロンボプラスチン時間が延長しているときに考えられるのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・5番
解説
PT(プロトロンビン時間)は外因系と共通系の凝固経路を評価し、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)は内因系と共通系の凝固経路を評価します。問題の「PT正常でAPTT延長」という条件は、内因系経路に特異的な異常を示唆します。血友病Bは内因系凝固因子である第IX因子の欠乏症であるため、この条件に合致します。抗リン脂質抗体症候群で見られるループスアンチコアグラントは、in vitro(試験管内)ではAPTTを延長させますが、in vivo(生体内)では血栓傾向を示す点で特徴的です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。血友病Bは内因系凝固因子の第IX因子の欠乏症であり、内因系の異常を反映するAPTTは延長しますが、外因系を反映するPTは正常です。したがって、この検査結果パターンと一致します。
- 2. 劇症肝炎では、肝臓で産生される多くの凝固因子(外因系、内因系、共通系)の合成が著しく低下するため、PTとAPTTの両方が延長します。PTのみが正常であるという条件には合いません。正しくは:PTもAPTTも延長する。選びやすい理由:肝疾患が凝固系に影響を与えることは知られているため、選択肢として考慮しやすい。混同注意:肝機能障害による凝固異常全般と、特定のPT正常・APTT延長パターン。
- 3. 第VII因子は外因系凝固因子であるため、その欠乏症ではPTが延長しますが、内因系を反映するAPTTは正常または軽度延長にとどまります。問題の条件(PT正常、APTT延長)とは逆のパターンを示します。正しくは:PTが延長し、APTTは正常または軽度延長する。選びやすい理由:凝固因子の欠乏症という点で、血友病と関連付けて選びやすい。混同注意:外因系と内因系に属する凝固因子の分類。
- 4. ビタミンKは第II、VII、IX、X因子の合成に関与しています。したがって、ビタミンK欠乏症では、外因系(VII因子)と内因系(IX因子)の両方の凝固因子が影響を受けるため、PTとAPTTの両方が延長します。PTが正常という条件には合いません。正しくは:PTもAPTTも延長する。選びやすい理由:凝固異常の原因として一般的なため、選びやすい。混同注意:凝固因子欠乏症とビタミンK欠乏症の関係。
- 5. 正解。抗リン脂質抗体症候群で検出されるループスアンチコアグラントは、in vitroのAPTT測定系においてリン脂質依存性の凝固反応を阻害するため、APTTを延長させることがあります。しかし、in vivoでは血栓傾向を示し、外因系のPTには影響を与えません。したがって、この検査結果パターンと一致します。
国試ポイント
凝固検査(PT, APTT)の結果パターンから、具体的な疾患を鑑別できるかどうかが問われています。特に、各凝固因子が外因系・内因系・共通系のどこに属するか、また特定の疾患がどの検査に影響するかを正確に理解していることが重要です。
混同注意
各凝固因子が外因系、内因系、共通系のどの経路に関与しているか。また、ビタミンK依存性凝固因子の種類とその影響。肝疾患やDICのようなPTとAPTT両方延長する病態。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まずPTとAPTTがそれぞれ外因系・内因系と共通系を反映することを思い出す。各選択肢の疾患が、どの凝固因子に関与しているか、それがどの凝固経路に属するかを特定し、PTとAPTTのどちらに影響を与えるかを判断する。特に「PT正常、APTT延長」は内因系単独の異常を強く示唆するため、内因系凝固因子の欠乏症をまず考える。
関連知識
・凝固カスケードの理解(内因系、外因系、共通系)。 ・各凝固因子の生理的役割と、欠乏症や異常による検査値変動。 ・PT、APTTの測定原理と、それぞれの検査が評価する凝固経路。 ・血友病A(第VIII因子欠乏)も同様にAPTT延長を示す。 ・抗リン脂質抗体症候群の病態生理と検査所見(特にループスアンチコアグラントによるAPTT延長とin vivoの血栓傾向の乖離)。 ・第V因子、第X因子、プロトロンビン、フィブリノーゲン欠乏症はPTとAPTTの両方が延長する(共通系異常)。 ・第XII因子、プレカリクレイン、高分子キニノゲン欠乏症もAPTT延長を示すが、臨床的には出血傾向を伴わないことが多い。