骨髄穿刺液のWright-Giemsa染色標本(別冊No. 10)を別に示す。考えられるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
下に示す骨髄刺液のライト・ギムザ染色標本画像は、核が偏在し、核周囲明庭(ハロー)を有する形質細胞が多数認められます。これは、形質細胞の異常増殖を示唆しており、多発性骨髄腫の典型的な細胞像です。
選択肢ごとの解説
- 1. 赤白血病(急性赤芽球性白血病)は、異常な赤芽球の増殖が特徴であり、骨髄刺液では赤芽球系の著しい増加と異形成が認められます。画像からは、形質細胞の著しい増加が示唆されるため、赤白血病とは異なります。正しくは:赤白血病の場合、骨髄に未熟な赤芽球が20%以上を占め、異形成を伴います。選びやすい理由:骨髄穿刺検査の鑑別疾患の一つではあるため、知識が曖昧だと選択肢として検討してしまうかもしれません。混同注意:他の急性白血病や骨髄異形成症候群の病態と混同する可能性があります。
- 2. 骨髄線維症は、骨髄の線維化が進行し、造血機能が低下する疾患です。骨髄穿刺ではdry tap(乾燥穿刺)が多く、線維化により細胞成分が少なくなるのが特徴です。画像は細胞密度が保たれ、特定の細胞が異常増殖しているように見えるため、骨髄線維症の所見とは異なります。正しくは:骨髄線維症では、線維化の進行により骨髄穿刺液の採取が困難になり、造血細胞の減少と異形成がみられます。選びやすい理由:骨髄疾患全般の鑑別として認識している場合、誤って選択する可能性があります。混同注意:他の骨髄増殖性腫瘍(真性多血症や本態性血小板血症の線維化期)と混同する可能性があります。
- 3. 正解。下に示す画像(ライト・ギムザ染色)では、骨髄中に核が偏在し、核周囲明庭(ハロー)を持つ形質細胞が多数認められます。これは形質細胞の異常増殖を示しており、多発性骨髄腫の典型的な所見です。選びやすい理由:形質細胞の形態的特徴を正確に把握していれば、比較的容易に正答できます。
- 4. 血球貪食症候群は、マクロファージや組織球が赤血球、白血球、血小板などの血球成分を貪食する病態です。骨髄穿刺では血球を貪食している組織球が認められますが、画像からはそのような所見は確認できません。むしろ形質細胞の増殖が顕著です。正しくは:血球貪食症候群では、貪食像を示す組織球が骨髄中に認められます。選びやすい理由:骨髄検査で診断される疾患の一つであるため、他の疾患との区別がついていないと誤答しやすいです。混同注意:他の反応性組織球増殖症や、骨髄増殖性腫瘍と誤って混同する可能性があります。
- 5. ホジキンリンパ腫は、骨髄への浸潤は認められることがありますが、診断にはリード・シュテルンベルグ細胞(Reed-Sternberg cell)の同定が必須であり、リンパ節生検が主体です。骨髄像に多数の形質細胞を認める本画像とは異なります。正しくは:ホジキンリンパ腫の骨髄浸潤では、リード・シュテルンベルグ細胞やその変異細胞が認められます。選びやすい理由:リンパ系腫瘍の一つであるため、骨髄の異常所見からリンパ腫を疑うことはあるかもしれません。混同注意:非ホジキンリンパ腫の骨髄浸潤像や、他のリンパ形質細胞性疾患と混同する可能性があります。
国試ポイント
本問題は、骨髄細胞の形態的特徴をライト・ギムザ染色標本画像から正確に識別し、主要な血液疾患(特に多発性骨髄腫)の診断に結びつける能力を問うものです。特に形質細胞の異常増殖が示唆される画像所見から、多発性骨髄腫を鑑別できるかどうかがポイントとなります。
混同注意
多発性骨髄腫の骨髄像は、他の形質細胞性疾患(反応性形質細胞増多症など)や、他の血液腫瘍(リンパ腫など)の骨髄浸潤像と混同されやすいことがあります。形質細胞の形態的特徴(核の偏在、核周囲明庭、クロマチンの性状)を正確に理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題された場合、骨髄刺液の染色標本画像から、特定の細胞(未熟細胞、異型細胞、特定の顆粒など)の形態学的特徴を正確に把握し、それがどのような血液疾患に特徴的であるかを判断することが求められます。特に白血病、リンパ腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性腫瘍、形質細胞性疾患の鑑別が重要です。
関連知識
多発性骨髄腫の診断基準(M蛋白、骨髄形質細胞比率、溶骨性病変など)、形質細胞の成熟段階における形態学的特徴、ライト・ギムザ染色以外の免疫組織化学的染色(CD138など)やフローサイトメトリーによる形質細胞の解析。