体表からの超音波検査において観察に用いる周波数が最も低い臓器はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
超音波検査において、周波数が低いほど超音波の深達度は増しますが、分解能は低下します。心臓は胸郭内部の比較的深部に位置し、肋骨などの骨性構造による減衰も大きいため、深部まで超音波が到達し、広い範囲を一度に描出できる低周波数のプローブ(2~5MHz程度)が選択されます。他の臓器は、甲状腺のように体表近くで高分解能が必要な場合は高周波数、脾臓や膵臓、前立腺のように腹部にある程度深達度が必要な場合は中程度の周波数(3.5~6MHz程度)が用いられます。心臓は特に深達度が最優先される臓器の一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. 甲状腺は体表に近いが小さく詳細な構造を見る必要があるため、比較的高い周波数(7~15MHz程度)が用いられる。正しくは:甲状腺の観察には、高周波数プローブ(7~15MHz程度)が適している。選びやすい理由:体表に近く、深部臓器ではないため、低周波数と誤解する可能性がある。混同注意:深達度と分解能の関係。体表近くでも詳細な描出には高周波数が必要。
- 2. 正解。心臓は動きが速く、深部に位置しており、また胸郭という骨性の構造を隔てて描出する必要があるため、深達度を優先して最も低い周波数(2~5MHz程度)のプローブが選択される。
- 3. 脾臓は比較的深部にあるが、心臓ほど深いわけではなく、また肋骨の隙間から観察することが多いため、心臓よりは高い周波数(3.5~6MHz程度)が用いられる。肝臓と同じくらいの周波数帯。正しくは:脾臓の観察には、心臓よりは高い周波数(3.5~6MHz程度)が用いられる。選びやすい理由:腹部臓器であり、深達度が必要なため低周波数帯と考えやすい。混同注意:肝臓や腎臓などの腹部臓器と心臓の周波数の違い。
- 4. 膵臓は胃の裏側など、比較的深い位置にあるが、腹部臓器としての標準的な周波数(3.5~6MHz程度)が用いられる。心臓ほど深達度を要する特殊な状況ではない。正しくは:膵臓の観察には、標準的な腹部プローブの周波数(3.5~6MHz程度)が用いられる。選びやすい理由:深部臓器であるため、最も低い周波数と誤解しやすい。混同注意:腹部臓器の深達度と心臓の特殊性。
- 5. 体表からの検査の場合、前立腺は膀胱の尾側に位置し、ある程度の深達度が必要だが、心臓ほど低い周波数は用いない。通常は経腹壁からの検査で3.5~6MHz程度、より詳細な評価や生検では経直腸プローブ(高周波数)が用いられる。正しくは:体表からの前立腺観察には、心臓よりは高い周波数(3.5~6MHz程度)が用いられる。選びやすい理由:骨盤腔内の深部臓器であるため、低い周波数と考える可能性がある。混同注意:経直腸超音波検査の際の高周波数プローブと、体表からの検査の周波数の違い。
国試ポイント
超音波検査における周波数と深達度・分解能の関係、および各臓器の観察に適切な周波数帯を理解しているかが問われる。特に心臓は深達度が要求される代表的な臓器であることを知っているかが重要。
混同注意
深部に位置する他の腹部臓器(膵臓、脾臓など)も深達度が必要だが、心臓のように胸骨・肋骨を介して描出する特殊性や動きの速さから、最も低い周波数が選択される点で区別される。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、各臓器の解剖学的位置(深さ)、描出する際の障害物(骨、ガスなど)、必要とされる分解能(詳細な構造か、全体像か)を考慮して、深達度が最も必要とされる臓器を選ぶ。
関連知識
超音波の周波数と深達度・分解能のトレードオフ関係。高周波数は分解能が高いが深達度が低い。低周波数は深達度が高いが分解能が低い。各臓器(体表臓器、腹部臓器、心臓など)で要求される深達度と分解能の違い。