骨髄塗抹標本の鉄染色像(別冊No. 11)を別に示す。考えられる疾患はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
下に示す鉄染色像では、赤芽球の核を囲むように鉄顆粒がリング状に沈着した『環状鉄芽球』が特徴的に見られます。この環状鉄芽球の出現は、骨髄異形成症候群(MDS)の中でも特に環状鉄芽球性骨髄異形成(MDS-RS)の重要な診断基準であり、MDS全体の診断にも寄与します。他の選択肢の疾患は、このような鉄染色像を通常呈しません。
選択肢ごとの解説
- 1. 真性多血症は赤血球増加症であり、通常は鉄欠乏を伴うか、鉄過剰とは関係がありません。正しくは:真性多血症は骨髄系の過形成を特徴としますが、鉄染色で異常な鉄蓄積を直接示す疾患ではありません。選びやすい理由:骨髄疾患全般に関する知識があれば、鑑別疾患の一つとして思いつくかもしれませんが、鉄染色像の所見とは直結しません。混同注意:他の骨髄増殖性疾患と混同する可能性があります。
- 2. 悪性リンパ腫はリンパ系の腫瘍であり、骨髄の鉄染色像において環状鉄芽球などの鉄代謝異常を直接的に示すことは稀です。正しくは:悪性リンパ腫が骨髄に浸潤することはありますが、鉄染色像の主要な異常所見とはなりません。選びやすい理由:骨髄検査で診断される悪性疾患の一つですが、画像所見(鉄染色)とは関連が薄いです。混同注意:他の骨髄の悪性疾患と混同する可能性があります。
- 3. 多発性骨髄腫は形質細胞の腫瘍であり、鉄染色像で環状鉄芽球などの所見を呈することは通常ありません。正しくは:多発性骨髄腫では骨髄に異常形質細胞の増加が見られますが、鉄代謝異常が直接の原因ではありません。選びやすい理由:骨髄検査で診断される悪性疾患の一つですが、鉄染色像の所見とは関連が薄いです。混同注意:他の骨髄の悪性疾患と混同する可能性があります。
- 4. 巨赤芽球性貧血はビタミンB12または葉酸の欠乏によるもので、骨髄では巨赤芽球が出現し、核の成熟遅延と細胞質の成熟促進の乖離が見られますが、環状鉄芽球の出現は特徴ではありません。むしろ鉄が利用されにくい状態のため、鉄芽球は減少傾向にあることがあります。正しくは:巨赤芽球性貧血では骨髄に巨赤芽球が出現しますが、鉄染色で環状鉄芽球が増加することはありません。選びやすい理由:貧血疾患の一つであり、骨髄検査が重要であるため、鑑別疾患の一つとして考えられるかもしれませんが、鉄染色の特徴的な所見とは異なります。混同注意:他の貧血性疾患や骨髄疾患と混同する可能性があります。
- 5. 正解。骨髄異形成症候群(MDS)の一部、特に環状鉄芽球性骨髄異形成(MDS-RS)では、赤芽球のミトコンドリア周囲に鉄が異常に沈着し、環状鉄芽球(下に示す画像のような、核の周囲に鉄顆粒がリング状に沈着した赤芽球)が5個以上の顆粒を持つ赤芽球の15%以上を占めることが特徴的です。これは造血幹細胞の機能不全を示しており、MDSの診断基準の一つです。正しくは:この疾患では、骨髄塗抹標本の鉄染色で環状鉄芽球の増加が認められます。選びやすい理由:MDSは幅広い病型を含むため、環状鉄芽球性MDS以外の病型もMDSと診断されますが、画像所見から最も特徴的な疾患として正しく選ぶ必要があります。混同注意:再生不良性貧血や他の骨髄増殖性疾患と混同する可能性がありますが、環状鉄芽球はMDS-RSに特徴的な所見です。
国試ポイント
骨髄塗抹標本の鉄染色像を提示し、そこから特徴的な所見(特に環状鉄芽球)を読み取り、関連する疾患名を正確に結びつける知識が問われています。特に骨髄異形成症候群(MDS)の主要な病型の一つである環状鉄芽球性MDSの診断的特徴を理解しているかが重要です。
混同注意
環状鉄芽球が見られる疾患としては、MDS-RSの他に、先天性鉄芽球性貧血や薬剤性、鉛中毒などがありますが、国家試験ではMDSが最も頻繁に問われる典型例です。他の貧血や骨髄疾患との鑑別点を明確に理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の問題が出題された場合、まず提示された画像が鉄染色であるかを確認し、赤芽球の形態、特に核周囲の鉄顆粒の有無とその分布(環状か否か)に注目します。環状鉄芽球が見られた場合は、骨髄異形成症候群、特に環状鉄芽球性MDSを第一に疑う判断が求められます。また、顆粒の数や割合(15%以上)もポイントになります。
関連知識
骨髄異形成症候群のWHO分類(特にMDS-RSの診断基準)、鉄染色で評価される細胞(鉄芽球、組織球の鉄)、鉄代謝異常と関連する貧血(鉄欠乏性貧血、鉄芽球性貧血など)、プルシアンブルー反応の原理。