病理解剖で誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
病理解剖は、死因の究明や疾患の病態解明を目的として行われます。そのため、解剖所見を正確に評価し、病態生理を総合的に理解するためには、生前の臨床情報(病歴、症状、検査データ、治療内容など)の把握が不可欠です。臨床経過を無視して解剖所見のみで結論を出すことは、病理解剖の目的に反します。
選択肢ごとの解説
- 1. 病理解剖は医療行為であり、人体の尊厳を損なうものではありません。故人への敬意は常に必要とされます。
- 2. 正解。病理解剖の主要な目的は、死因の特定、病態の解明、治療効果の評価などです。これらの目的を達成するためには、生前の臨床情報(病歴、症状、検査データ、治療内容など)が解剖所見と照合され、病態を総合的に理解するための極めて重要な手がかりとなります。臨床経過なしに正確な診断や評価を行うことはできません。正しくは:故人の生前の臨床経過を詳細に把握することは極めて重要である。選びやすい理由:解剖は死後の身体を調べる行為であるため、生前の情報が直接的な「手技」には関わらないと誤解する可能性があります。しかし、解剖の「目的達成」には不可欠な情報です。混同注意:解剖の手技そのものと、その結果を解釈する上で必要な情報とを混同することがあります。手技そのものは肉眼的な観察や組織学的な評価ですが、その意味付けには臨床情報が不可欠です。
- 3. 解剖を行う際には、被検者から術者や周囲に病原体が伝播する危険性が常に伴います。そのため、標準予防策を徹底し、個人防護具の着用、適切な器具の使用、安全な廃棄物処理など、厳重な感染管理に努める必要があります。
- 4. 解剖までの間に遺体の腐敗や死後変化(自己融解など)が進行すると、病変の評価が困難になるため、適切な温度管理下(一般的には冷蔵)で保存し、状態を良好に保つことが重要です。
- 5. 死後時間が経過するにつれて、組織の自己融解や腐敗が進行し、正確な病理診断が難しくなります。そのため、死後変化による影響を最小限に抑え、より正確な所見を得るためには、可能な限り早期に解剖を実施することが推奨されます。
国試ポイント
病理解剖の目的、実施上の原則、倫理的配慮、安全管理に関する基本的な知識が問われています。特に、臨床情報との連携の重要性は頻出テーマです。
混同注意
「解剖」という行為自体が死後の遺体を扱うものであるため、生前の情報(臨床経過)の重要性を見落としがちですが、死因究明の目的からすると極めて重要です。また、法医解剖との違いを混同しないように注意が必要です。法医解剖は死因の法的な側面を重視するのに対し、病理解剖は病気の診断と治療、医学研究が主目的です。
次に同じ論点が出たら
病理解剖の目的とそれに付随する倫理的・実務的側面を問う問題が出題された場合、以下のようなポイントに注意して判断します。(1) 遺体に対する倫理的配慮(尊厳、インフォームド・コンセント)。(2) 解剖の実施における安全性(感染対策、適切な器具)。(3) 解剖所見の解釈に必要な情報(臨床経過、画像診断、生化学検査など)。(4) 解剖後の手続き(報告書の作成、遺体の返還)。
関連知識
病理解剖の目的(死因究明、病態解明、治療評価、医学教育)、実施手順(遺族の承諾、記録、検体の採取・保存)、倫理的配慮、安全管理(感染対策、個人防護具)、法規(死体解剖保存法)。