術中迅速組織標本作製で最初に行うのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
術中迅速組織標本作製は、手術中に採取された組織を速やかに病理診断に供するための特殊な方法です。この方法では、まず提出された新鮮な組織から診断に最も適した部位を「切り出し」ます。その後、切り出された組織は直ちに凍結され、ミクロトームを用いて薄い切片が作製されます。これらの切片は染色され、顕微鏡で観察されることで、迅速な診断が提供されます。固定や脱水といった通常のパラフィン包埋法で時間を要する工程は、迅速性を確保するために省略されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 固定は組織の自己融解や腐敗を防ぎ、形態を保つための重要な工程ですが、術中迅速診断では、組織を凍結させて切片を作成するため、通常のパラフィン包埋標本のような液浸固定は最初に行われません。凍結自体が物理的な固定の役割を兼ねることもありますが、液浸固定は凍結切片作成の前に通常行われません。正しくは:通常の組織標本作製における初期段階の一つですが、術中迅速診断では凍結切片作製が優先されるため、液浸固定は最初には行われません。選びやすい理由:病理検査の基本的な工程として固定が重要であると認識しているため、選びやすいかもしれません。混同注意:通常の組織標本作製(パラフィン包埋法)における最初の工程と混同しやすいです。
- 2. 脱灰は骨組織など、硬組織を切片化する際に石灰成分を除去するために行う工程です。術中迅速診断の対象となる組織は骨組織に限られず、また脱灰には時間を要するため、迅速診断の目的に合いません。正しくは:脱灰は硬組織の処理に必要な工程であり、術中迅速診断では一般的ではありません。選びやすい理由:特殊な組織処理の知識がある場合に、可能性の一つとして考えるかもしれません。混同注意:特殊な組織処理(骨など)と一般的な組織処理・迅速診断を混同しやすいです。
- 3. 脱脂は脂肪組織を処理する際に行われることがありますが、術中迅速診断の最初の工程として普遍的に行われるものではありません。特に、組織から水分を抜き取る「脱水」とは異なる工程です。正しくは:脱脂は特定の組織処理で考慮されることがありますが、術中迅速診断の一般的な最初の工程ではありません。選びやすい理由:組織処理の工程の一つとして記憶しているため、選んでしまうかもしれません。混同注意:組織処理の多様な工程の中での位置づけを混同しやすいです。
- 4. 脱水は通常のパラフィン包埋標本作製において、固定された組織から水分を除去し、アルコールやキシレンなどの有機溶媒で置換する工程です。術中迅速診断では、凍結切片を作成するため、この脱水工程は通常行いません。正しくは:脱水は通常のパラフィン包埋標本作製に必要な工程ですが、術中迅速診断の凍結切片作製では省略されます。選びやすい理由:組織処理の基本的な工程として記憶しているため、選びやすいです。混同注意:通常の組織標本作製(パラフィン包埋法)の工程と混同しやすいです。
- 5. 正解。術中迅速組織標本作製では、手術で採取された新鮮な組織から診断に必要な部分を素早く選んで採取する「切り出し」が最初に行われます。その後、選択された組織は直ちに凍結され、薄切されます。この工程により、診断に適した部位を正確に選択し、迅速に次の工程へ進めることができます。正しくは:この選択肢は正しいため、修正の必要はありません。選びやすい理由:組織の受け入れ後、最初に診断に適した部分を選び取ることは直感的にも理解しやすいです。混同注意:標本作製のどの段階で組織の選択が行われるかという点について、迷う可能性は低いでしょう。
国試ポイント
術中迅速診断における組織処理の初期工程に関する知識が問われています。通常のパラフィン包埋法とは異なる、迅速性を重視した工程の特徴を理解しているかが重要です。
混同注意
通常の病理組織標本作製(パラフィン包埋法)の各工程と、術中迅速診断(凍結切片法)の工程を混同しやすいです。特に、固定や脱水といった基本的な工程が、迅速診断では省略されたり、異なる方法が取られたりする点を理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出た場合、術中迅速診断の『各工程の順番』や『通常の病理組織標本作製との違い』、あるいは『各工程の具体的な方法』が問われる可能性があります。
関連知識
術中迅速診断の目的(手術方針の決定支援)、凍結切片法の原理、凍結ミクロトーム(クリオスタット)、ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色、免疫染色などの特殊染色が術中迅速診断で応用されるケース。