血液型検査の結果を以下に示す。オモテ試験ウラ試験抗A抗BA1血球B血球4+000最も考えられるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
新生児のA抗原の発現は成人に比べて弱いため、オモテ試験で抗A血清との凝集反応が陰性または弱いことがあります。また、新生児は自身のABO抗体を産生する能力が未熟であり、ウラ試験で抗体が検出されないか、母親由来の抗体が検出されることがあります。設問の状況は、A型新生児における未熟なA抗原発現を最もよく説明しています。
選択肢ごとの解説
- 1. A亜型の場合、オモテ試験で抗A血清と凝集が弱かったり、ウラ試験で抗Aを検出したりすることがあるが、設問のパターン(オモテで抗Aと凝集なし、ウラで抗Bのみ)とは異なる。A亜型では、A抗原の発現が弱いか量が少ないため、抗A血清との反応が弱くなることが多い。また、一部のA亜型では抗A1抗体を産生することもある。選びやすい理由:A抗原の発現が弱い状態を指すため、凝集が弱い、あるいは見られないケースを想像してしまうかもしれない。混同注意:A亜型は抗原の質や量の異常であり、新生児の一過性の抗原発現の弱さとは異なる概念である。
- 2. キメラは同一人物内に異なる血液型系統の赤血球が混在する状態を指す。例えば、AB型とO型の細胞が混在する場合、オモテ試験ではAB型とO型の両方の反応が混在するか、一部の抗体としか反応しないなどの複雑なパターンを示す。設問のようにオモテ試験で抗A血清との反応が見られず、ウラ試験で抗B抗体のみが検出されるパターンはキメラでは説明しにくい。選びやすい理由:複数の血液型が存在するという特殊な状態であるため、通常とは異なる反応を示すケースとして選択肢に含められやすい。混同注意:キメラは主に骨髄移植後や双胎妊娠などで見られ、赤血球集団の混在が特徴である。新生児の未熟な抗原発現とは異なる。
- 3. 後天性B型は、A型またはAB型の患者が特定の疾患(消化器がん、敗血症など)により腸内細菌の酵素の影響を受けて、A抗原の一部がB抗原と類似した構造に変化し、B型として誤判定される現象である。この場合、オモテ試験で抗B血清と凝集が見られるか、あるいは抗Aと抗Bの両方と反応するなどのパターンを示す。設問の「抗A血清と凝集なし」の所見とは合致しない。選びやすい理由:通常とは異なる血液型表現として知られているため、特殊なケースとして選んでしまいやすい。混同注意:後天性BはA抗原の修飾によるものであり、新生児の抗原の未熟性とは異なる機序である。
- 4. 正解。新生児の赤血球は、ABO抗原の発現が未熟であり、特にA抗原は成人よりも量が少ないため、オモテ試験(血球検査)で抗A血清と凝集が弱く、あるいは見られないことがある。しかし、ウラ試験(血清検査)で産生される抗体は母親由来のものが主であり、新生児自身が抗体を産生することは稀であるため、通常は抗A抗体、抗B抗体ともに検出されない。ただし、設問の選択肢では「抗Bのみ検出」となっている。これは問題文の前提が限定的である可能性、あるいは新生児であっても母親由来の抗B抗体が検出された状況を想定している可能性が考えられる。しかし、オモテ試験でA抗原の発現が弱いという点、かつ新生児の抗体産生が未熟であるという点はA型新生児の特徴と合致する。設問の選択肢と照らし合わせた場合、最も説明しやすいのがこの選択肢である。正しくは:A型新生児では、赤血球のA抗原の発現が未熟なため、抗A血清との反応が弱いか、または凝集が認められないことがある。ウラ試験では通常抗体が検出されないが、母体からの移行抗体が検出される場合もある。選びやすい理由:新生児の血液型は抗原の発達が未熟であるという知識が直接当てはまるため。混同注意:新生児の血液型判定では、オモテ試験とウラ試験の結果が成人とは異なる特徴を示すことを理解しているかが問われる。特に抗体産生能が未熟である点と、母体由来の抗体が検出されうる点を混同しないよう注意が必要である。
- 5. 汎血球凝集反応は、自己抗体(特に寒冷凝集素症などで自己赤血球に対する抗体)や、異常蛋白などによってすべての試験管で赤血球が凝集する状態を指す。オモテ試験の抗A血清だけでなく、抗B血清、抗AB血清、自己血清など、あらゆる試薬との間で凝集が見られるのが特徴である。設問のように特定の抗体とのみ反応しない、または特定の抗体のみ検出されるという限定的なパターンでは説明できない。選びやすい理由:通常の血液型とは異なる凝集パターンを示す特殊な状態であるため、原因を推測する際に考慮されやすい。混同注意:汎血球凝集反応は、試験管内のすべての項目で凝集が見られる、または溶血を伴うなど、広範囲な反応が特徴である。
国試ポイント
新生児の血液型検査における特徴、特にABO抗原の未熟な発現と抗体産生能力の欠如について理解しているかが問われる。
混同注意
A亜型や後天性B型も通常とは異なる血液型表現を示すが、それぞれの病態と検査結果の特徴を正確に区別する必要がある。
次に同じ論点が出たら
この結果を受けて、確定診断のために追加で実施すべき検査(例:抗A1レクチン試験、吸着解離試験、遺伝子検査など)について考察する。
関連知識
ABO血液型抗原の発達段階、新生児の免疫学的特徴(母体由来抗体)、特殊な血液型(亜型、キメラ、後天性B)の鑑別診断。