軸索変性時の複合筋活動電位の変化として特徴的なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
軸索変性とは、神経細胞の軸索が損傷を受け、最終的に変性・消失する病態です。これにより、軸索が支配している筋線維への神経支配が失われるため、電気刺激に対する筋の応答が減少します。複合筋活動電位(CMAP)は、複数の筋線維の活動電位の総和として記録されるため、機能する軸索が減少すれば、それに応じて誘発されるCMAPの振幅は低下します。これは、CMAPの振幅が有効な運動単位の数と相関するためです。
選択肢ごとの解説
- 1. 多相化は、脱髄性病変や神経再生不全時にしばしば見られますが、軸索変性そのものの直接的な特徴ではありません。軸索変性では、活動単位の脱落によってCMAPの波形が単純化するか、消失に向かいます。正しくは:多相化は、主に神経線維の伝導速度のばらつきや、不均一な再支配によって生じる現象であり、軸索変性ではCMAPの構成要素が減少するため、多相化は一般的に起こりにくいです。選びやすい理由:神経障害全般でCMAPの変化を考える際に、多相化もよく出てくる選択肢のため、関連があるように感じられるかもしれません。混同注意:脱髄性ニューロパチーにおけるCMAPの変化(多相化、伝導速度低下)と混同しやすいです。
- 2. 正解。軸索変性では、筋を支配する神経線維自体が減少・消失するため、筋線維の活動が減少し、結果として誘発される複合筋活動電位(CMAP)の振幅は低下します。
- 3. CMAPの持続時間の延長は、主に脱髄性病変や、神経線維の伝導速度のばらつきが大きい場合に見られます。軸索変性では、活動単位の脱落によってむしろCMAPの構成要素が減るため、延長は起こりにくいです。正しくは:CMAPの持続時間は、神経線維の伝導速度のばらつきや、活動単位の同期性に関係します。軸索変性では、機能する神経線維が減少するため、持続時間自体が延長することは稀です。選びやすい理由:伝導速度の低下と混同し、持続時間も影響を受けると考えてしまうかもしれません。混同注意:脱髄性病変によるCMAPの変化(持続時間延長)と混同しやすいです。
- 4. 伝導速度の低下は、主に神経線維のミエリン鞘の障害(脱髄)が原因で起こります。軸索そのものの変性では、伝導速度は比較的保たれるか、活動が完全に消失するため、明確な速度低下がCMAPとして観察されることは主要な特徴ではありません。ただし、重度の軸索変性が生じると伝導可能な軸索が減少し、見かけ上伝導速度が低下する可能性もゼロではありませんが、主な特徴としては脱髄との鑑別に用いられます。正しくは:伝導速度の低下は、主にミエリン鞘の障害(脱髄)によって引き起こされます。軸索変性では、伝導可能な軸索が減少し、CMAPの振幅が低下することが主徴です。選びやすい理由:神経障害全般で伝導速度の低下もよく見られるため、選択肢として選びやすいです。混同注意:脱髄性ニューロパチーの主要な特徴である伝導速度低下と混同しやすいです。
- 5. 被刺激閾値の上昇は、神経線維の興奮性が低下している場合に起こりますが、軸索変性そのものの直接的なCMAPの変化ではありません。むしろ、神経線維が完全に機能しなくなるため、閾値が上昇するというよりは反応が得られなくなる方向に働きます。正しくは:被刺激閾値の上昇は、イオンチャネルの機能不全などによる神経線維の興奮性の低下を示唆しますが、軸索変性では神経線維そのものが物理的に失われることが主要な病態であり、閾値の変化よりも振幅の低下が直接的な指標となります。選びやすい理由:神経の機能低下全般を考えると、刺激に対する反応が悪くなるという意味で閾値上昇が関連するように思われるかもしれません。混同注意:末梢神経疾患全般における神経興奮性の変化や、活動電位の発生機序と混同しやすいです。
国試ポイント
神経伝導検査における脱髄性病変と軸索変性病変の鑑別は、臨床検査技師国家試験で頻繁に出題される重要なポイントです。特に、CMAPの振幅低下が軸索変性、伝導速度の低下や持続時間の延長が脱髄性病変の主要な特徴であることを正確に理解しているかが問われます。
混同注意
脱髄性ニューロパチーの神経伝導検査所見(伝導速度低下、遠位潜時延長、F波潜時延長、伝導ブロック、時間的分散、多相化など)と軸索変性の所見(CMAP振幅低下、SNAP振幅低下)が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず『軸索変性』と『脱髄性病変』のどちらに焦点を当てているかを確認し、それぞれの病態に特徴的な神経伝導検査所見を識別できるかがポイントとなります。特にCMAPの『振幅』と『伝導速度』の変化に注目しましょう。
関連知識
神経伝導速度検査は、運動神経伝導速度(MCV)と感覚神経伝導速度(SCV)に分けられます。MCVではCMAP、SCVでは感覚神経活動電位(SNAP)を測定します。軸索変性ではCMAPおよびSNAPの振幅が低下し、脱髄性病変では伝導速度の低下や、F波潜時の延長、伝導ブロックなどが認められます。これらの違いを理解することが重要です。