下肢静脈血栓が原因で塞栓症が起こる動脈はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
下肢の深部静脈で形成された血栓(深部静脈血栓症、DVT)は、静脈系を通り、下大静脈、右心房、右心室を経て、最終的に肺動脈へと送り込まれます。この血栓が肺動脈に詰まることで肺塞栓症が発生します。したがって、下肢静脈血栓が原因で塞栓症を起こす動脈は肺動脈です。その他の選択肢は体循環の動脈であり、通常は左心系や動脈内で生じた血栓が原因となります(奇異性塞栓症のような特殊なケースを除く)。
選択肢ごとの解説
- 1. 下肢静脈由来の血栓は、右心系を経て肺動脈へと向かいます。下行大動脈は体循環の動脈であり、通常、静脈系の血栓が直接到達することはありません。正しくは:この動脈に塞栓が生じる場合、心臓の左心系や動脈内で形成された血栓、または奇異性塞栓症(心臓内の右左シャントを介して静脈系から動脈系へ移行)が原因となります。選びやすい理由:「動脈」というキーワードだけで、体循環の主要な動脈を選んでしまう可能性があります。混同注意:体循環と肺循環の経路が混同されることがあります。
- 2. 下肢静脈由来の血栓は、右心系を経て肺動脈へと向かいます。腎動脈は体循環の動脈であり、通常、静脈系の血栓が直接到達することはありません。正しくは:この動脈に塞栓が生じる場合、心臓の左心系や動脈内で形成された血栓、または奇異性塞栓症が原因となります。選びやすい理由:体循環の主要な臓器動脈として、選択肢に選びやすいかもしれません。混同注意:体循環と肺循環の経路、または動脈系と静脈系の流れが混同されることがあります。
- 3. 下肢静脈由来の血栓は、右心系を経て肺動脈へと向かいます。前大脳動脈は脳の動脈であり、体循環の一部であるため、通常、静脈系の血栓が直接到達することはありません。正しくは:この動脈に塞栓が生じる場合、心臓の左心系や頸動脈・椎骨動脈の病変、または奇異性塞栓症が原因となります。選びやすい理由:塞栓症の重篤な結果として脳梗塞を想起し、「脳の動脈」を選んでしまう可能性があります。混同注意:脳梗塞の原因としての血栓と、その血栓の発生源・移動経路が混同されることがあります。
- 4. 正解。下肢の深部静脈で発生した血栓は、下大静脈、右心房、右心室を経て肺動脈へと流れ込み、肺塞栓症を引き起こします。これが最も典型的な経路です。
- 5. 下肢静脈由来の血栓は、右心系を経て肺動脈へと向かいます。腹腔動脈は体循環の動脈であり、通常、静脈系の血栓が直接到達することはありません。正しくは:この動脈に塞栓が生じる場合、心臓の左心系や動脈内で形成された血栓、または奇異性塞栓症が原因となります。選びやすい理由:腹部の主要な動脈であるため、選びやすいかもしれません。混同注意:体循環と肺循環の経路、または動脈系と静脈系の流れが混同されることがあります。
国試ポイント
深部静脈血栓症(DVT)とそれに伴う肺塞栓症の基本的な病態生理学的な知識、特に血栓の移動経路を問う問題です。体循環と肺循環の経路、および静脈系と動脈系の流れの違いを正確に理解しているかが試されます。臨床検査技師として、塞栓症の原因と発生部位の関連性を理解することは非常に重要です。
混同注意
体循環の動脈(大動脈、腎動脈、脳動脈など)と肺動脈が混同されやすいです。特に「塞栓症」という言葉から、脳梗塞や心筋梗塞など、動脈系の閉塞を直感的に連想しがちですが、静脈由来の血栓はまず肺動脈に向かうという経路を理解する必要があります。また、奇異性塞栓症(paradoxical embolism)のような特殊なケースと一般的な経路を混同しないように注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、血栓の形成部位と塞栓が起こる部位の組み合わせ(例:左心房の血栓→脳動脈、頸動脈のプラーク破綻→脳動脈)、または奇異性塞栓症が成立する条件(卵円孔開存など)を問う問題が出される可能性があります。また、深部静脈血栓症の診断マーカー(Dダイマー)や治療法についても問われる可能性が高いです。
関連知識
深部静脈血栓症(DVT)の診断(Dダイマー測定、超音波検査)、肺塞栓症の診断(CT肺血管造影、肺シンチグラフィ)、抗凝固療法、血栓溶解療法、下肢静脈瘤、エコノミークラス症候群、心臓の構造と血液の流れ(右心系と左心系、大循環と肺循環)。