免疫組織化学染色で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
選択肢2が正しい。免疫組織化学染色において、酵素抗体法(特にHRP標識抗体を使用する場合)では、組織内に存在する内因性ペルオキシダーゼが非特異的な染色を引き起こす可能性があります。これを防ぎ、特異的な染色のみを観察するために、反応前に過酸化水素加メタノールなどを用いて内因性ペルオキシダーゼの活性を阻害する処理(ブロッキング)が必須です。
選択肢ごとの解説
- 1. ホルマリン固定パラフィン包埋切片は、最も一般的に免疫組織化学染色に用いられる検体です。ただし、ホルマリン固定によって抗原性がマスクされることがあるため、抗原賦活化処理が必要です。正しくは:ホルマリン固定パラフィン包埋切片は、抗原賦活化処理を行うことで使用できます。選びやすい理由:固定や包埋が抗原性を変化させるため、そのままでは使えないという誤解から選んでしまうかもしれません。混同注意:新鮮凍結切片など、他の固定・処理法との使い分けや、抗原賦活化の必要性について混同している可能性があります。
- 2. 正解。組織内に存在する内因性ペルオキシダーゼは、酵素抗体法で発色試薬としてペルオキシダーゼ(HRP)を使用した場合に非特異的な染色を引き起こします。これを防ぐために、過酸化水素加メタノール処理でその活性を阻害することが一般的です。
- 3. 抗体反応ステップの途中で標本を乾燥させると、組織構造が破壊されたり、非特異的な吸着が生じやすくなったり、次の抗体が均一に反応しにくくなったりするため、完全に乾燥させてはいけません。洗浄後は余分な水分を取り除く程度に留めます。正しくは:一次抗体反応後は洗浄し、軽く水分を切る程度にして、乾燥させないように二次抗体を反応させます。選びやすい理由:染色過程の途中で乾燥させる工程があると思い込んでいる場合や、標本を清潔に保つために乾燥が必要だと誤解している場合。混同注意:プレパラート作製時の乾燥工程や、免疫染色以外の染色プロトコルと混同している可能性があります。
- 4. 二次抗体は、一次抗体の動物種(例:マウス由来一次抗体であれば、抗マウスIgG抗体)を認識するように作製されたものでなければなりません。同じ動物種由来では、一次抗体と二次抗体間の特異的結合が起こりません。正しくは:二次抗体は、一次抗体が作製された動物種に対する抗体(例:一次抗体がマウス由来であれば、ヤギ抗マウスIgG抗体など)を用います。選びやすい理由:「同じ」という言葉から、何か関連性が必要だと考えてしまうかもしれませんが、認識する対象が「一次抗体」であり、その由来動物種ではありません。混同注意:一次抗体の由来動物種と、二次抗体が認識する動物種の関係について理解が曖昧な場合。
- 5. ジアミノベンジジン (DAB) は、ペルオキシダーゼの発色基質として一般的に用いられ、酵素反応によって褐色に発色します。赤色に発色する基質としては、アミノエチルカルバゾール (AEC) などがあります。正しくは:ジアミノベンジジン (DAB) を用いると、褐色に発色されます。選びやすい理由:免疫染色で使用される様々な発色基質があるため、色を混同しやすいです。混同注意:DABとAECなど、異なる発色基質とそれらが示す色を混同している可能性があります。
国試ポイント
免疫組織化学染色の基本的な原理と手順、および各ステップの目的(特に、ホルマリン固定切片の利用、内因性酵素のブロッキング、抗体の種類と作用、発色基質と発色)を理解しているかを問う問題です。基本的な知識が網羅的に問われています。
混同注意
固定方法と抗原賦活化の必要性、洗浄と乾燥の区別、一次抗体と二次抗体の動物種の関係、発色基質とその発色の色の対応などが混同しやすい点です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、免疫組織化学染色の各工程(固定、包埋、切片作成、抗原賦活化、ブロッキング、抗体反応、発色、対比染色、封入)の具体的な目的と試薬、注意点を詳細に把握しているかを確認する必要があります。特に、なぜその処理が必要なのか、その処理を怠るとどのような問題が生じるのかを理解することが重要です。
関連知識
抗原賦活化の種類(熱処理、酵素処理)、非特異反応の抑制方法(血清ブロッキング、内因性酵素ブロッキング)、間接法と直接法、ABC法などの免疫染色の方法、様々な発色基質とその特徴(DAB, AEC, BCIP/NBTなど)、蛍光抗体法と酵素抗体法の違い。