骨髄塗抹標本で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
単球系の細胞は非特異的エステラーゼ(NSE)活性が強く、この酵素活性はフッ化ナトリウム(NaF)によって特異的に阻害されます。この特性は、骨髄像における単球系細胞の同定や、急性単球性白血病(M5)と他の型の白血病(特に顆粒球系)を鑑別する上で非常に重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正常赤芽球はPAS染色陰性です。PAS染色陽性を示すのは、主に顆粒球系細胞や巨核球系細胞、リンパ球、単球など、または異常な赤芽球(M6型赤白血病の赤芽球)です。正しくは:正常な赤芽球はPAS染色で陰性を示す。選びやすい理由:PAS染色が造血細胞の鑑別に使われるため、何かしらの細胞が陽性を示すことは知っているが、具体的な細胞型と結果を混同している場合に選びやすい。混同注意:異常な赤芽球(M6型赤白血病の赤芽球)がPAS陽性を示すことや、他の造血細胞(顆粒球系など)がPAS陽性を示すことと混同しやすい。
- 2. 健常成人の骨髄では、少数の鉄芽球(鉄を含む赤芽球)が認められるのが正常です。通常は赤芽球の20~60%程度に認められます。正しくは:健常成人の骨髄像では鉄芽球が少数認められる。選びやすい理由:鉄芽球という言葉から「鉄が異常に蓄積している状態」を連想し、異常な状態でのみ出現すると誤解する可能性がある。混同注意:リング状鉄芽球(異常な鉄芽球)や、鉄芽球性貧血などの病的な状態と、正常な骨髄における少数の鉄芽球の存在を混同しやすい。
- 3. 前骨髄球は、細胞質にアズール顆粒を豊富に持ち、これらの顆粒にはミエロペルオキシダーゼ(MPO)が含まれているため、ペルオキシダーゼ染色で強い陽性を示します。正しくは:前骨髄球はペルオキシダーゼ染色で強い陽性を示す。選びやすい理由:顆粒球系細胞の分化段階と酵素活性の関連性を曖昧に理解している場合。あるいは、骨髄芽球や単球系細胞との染色性の違いを混同している場合。混同注意:骨髄芽球(MPO陰性または弱陽性)や単球系細胞(MPO弱陽性)との染色性を混同しやすい。あるいは、リンパ球系細胞(MPO陰性)と混同しやすい。
- 4. 健常成人のM/E比は通常2:1から4:1程度です。10以上という値は、骨髄球系細胞の相対的増加(例: 慢性骨髄性白血病、感染症)または赤芽球系細胞の相対的減少(例: 赤芽球癆)を示唆する異常な値です。正しくは:健常な成人の骨髄像では、M/E比は通常2:1から4:1程度である。選びやすい理由:M/E比が「MがEより多い」という大まかな認識はあっても、具体的な正常値の範囲を覚えていない場合。混同注意:M/E比の正常範囲とその病的な変動(増加または減少)が示す疾患を混同しやすい。特に、CMLなどでM/E比が著しく増加することを知識として持っている場合、その極端な値を正常と誤解する可能性がある。
- 5. 正解。単球は非特異的エステラーゼ(NSE)活性が強く、この酵素活性はフッ化ナトリウム(NaF)によって特異的に阻害されます。これは単球系白血病の診断に用いられる重要な特徴です。
国試ポイント
骨髄塗抹標本の細胞形態学的特徴、特殊染色(PAS染色、ペルオキシダーゼ染色、エステラーゼ染色)、および骨髄像の基準値(M/E比、鉄芽球の割合)に関する知識が問われています。特に、各特殊染色の陽性・陰性パターンや、特異的阻害剤による反応の違いを正確に理解しているかが重要です。
混同注意
各種血液細胞の特殊染色での反応性(PAS, MPO, エステラーゼの有無、陽性度、阻害剤への反応)、正常骨髄の細胞比率(M/E比)と細胞成分の正常範囲(鉄芽球の存在)。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、各特殊染色の対象細胞(顆粒球系、単球系、リンパ球系、赤芽球系、巨核球系)と陽性度、および各染色の目的と臨床的意義を再確認する。特にエステラーゼ染色の特異性(NaFによる阻害)は頻出なので注意する。
関連知識
造血幹細胞の分化、各段階の細胞形態、血液細胞の機能、白血病分類(FAB分類、WHO分類)における特殊染色の役割、貧血の鑑別診断における鉄芽球の意義。