自動血球計数器法で赤血球ヒストグラム(別冊No. 11)を別に示す。赤血球125万/μL、Hb 7.5 g/dL、Ht 15%で矢印の所見が認められた。 可能性があるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
自動血球計数器において、赤血球が凝集していると個々の赤血球としてはカウントされず、大きな粒子として検出されるため、赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値が実際よりも低値を示し、赤血球ヒストグラムでは凝集塊による異常な高容量側にピークが出現します。寒冷凝集素症では低温で赤血球凝集が起こるため、採血時の温度条件によっては同様の所見を呈します。本症例の赤血球数125万/µL、ヘモグロビン濃度7.5g/dL、ヘマトクリット値15%という極端な低値も、この偽性異常の可能性を示唆しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 高血糖自体は赤血球の容積に直接的な影響を与えず、ヒストグラムに異常なピークを形成する原因とはなりません。正しくは:高血糖は通常、HbA1cなどの血糖関連指標に異常を示し、赤血球のヒストグラムに特徴的な変化はもたらしません。選びやすい理由:糖尿病など、赤血球の変形能に影響を与える疾患は存在するため、血糖値が関連する可能性を考えるかもしれませんが、ヒストグラムのピーク形成とは直接関係ありません。混同注意:糖尿病性ケトアシドーシスなどで細胞内脱水が起こると赤血球容積が変化する可能性もありますが、ヒストグラムに今回のような異常ピークは示しません。
- 2. 巨大血小板は血小板ヒストグラムに影響を与えますが、赤血球ヒストグラムに今回のような高容量側の異常なピークを形成することはありません。赤血球と血小板は別のヒストグラムで評価されます。正しくは:巨大血小板は、自動血球計数器の血小板ヒストグラムにおいて、正常血小板よりも右側にピークがシフトしたり、赤血球ヒストグラムの左側に一部オーバーラップする形で検出されることがあります。選びやすい理由:血球のサイズに関する異常であるため、ヒストグラムの変化と関連付けやすいですが、赤血球と血小板のヒストグラムは異なる領域を評価します。巨大血小板が赤血球として誤ってカウントされる場合もありますが、それは通常、赤血球ヒストグラムの左側(低容量側)のノイズとして現れるか、赤血球数の誤った低値につながります。混同注意:巨大血小板は血小板減少症の原因として考えられることがあり、赤血球の凝集とは異なる病態です。
- 3. 破砕赤血球は、微小血管障害性溶血性貧血などで見られ、正常赤血球よりも小さく、不規則な形態をしています。自動血球計数器のヒストグラムでは、正常赤血球のピークよりも左側(低容量側)に小さな異常ピークとして現れることがあります。本図の矢印は高容量側のピークを示しています。正しくは:破砕赤血球による異常は、赤血球ヒストグラムの低容量側に小さなピークを形成します。また、赤血球数の偽性高値やMCVの偽性低値につながることもあります。選びやすい理由:赤血球の形態異常であり、ヒストグラムの異常と関連付けやすいですが、そのピークが出現する位置が本問の画像とは逆方向です。混同注意:溶血性貧血の他の形態異常(球状赤血球など)によってもヒストグラムの異常が見られますが、破砕赤血球は低容量側にピークが出現します。
- 4. 正解。寒冷凝集素症では、低温下で赤血球が自己凝集を起こします。自動血球計数器で測定する際、この凝集塊が個々の赤血球としてカウントされず、大きな粒子として検出されるため、赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値が実際よりも低値を示します。ヒストグラム上では、凝集塊が高容量側に異常なピークとして現れることがあります。これは本図の矢印が示す所見と一致し、提示された極端な低値も説明できます。選びやすい理由:凝集が肉眼で確認できない場合でも、機器が異常を検出することはあり、このグラフの特徴的な形状は寒冷凝集素症の代表的な所見です。混同注意:他の凝集を起こす疾患や、測定エラーによる異常値と混同しやすいですが、低温での凝集という特異な機序を理解していれば区別できます。
- 5. 高ビリルビン血症は、主に肝機能障害や溶血性疾患などでビリルビン値が上昇する状態であり、赤血球の形態や容積に直接影響を与え、自動血球計数器のヒストグラムに今回のような異常なピークを形成することはありません。ビリルビンは血漿成分であり、赤血球の粒子計測とは直接関係ありません。正しくは:高ビリルビン血症は黄疸の原因となり、肝機能検査や溶血マーカーの異常として検出されますが、赤血球ヒストグラムには特徴的な異常ピークを生じません。選びやすい理由:溶血性疾患の合併症として高ビリルビン血症が起こることはありますが、直接ヒストグラムの異常を引き起こすわけではありません。貧血と関連する疾患であるため、選択肢として考慮するかもしれません。混同注意:溶血性貧血自体が赤血球の形態異常(球状赤血球など)や測定値の異常を引き起こすことがありますが、高ビリルビン血症がヒストグラムの異常を引き起こすわけではありません。
国試ポイント
自動血球計数器における赤血球ヒストグラムの異常波形と、それが示す疾患および測定への影響を理解しているか。
混同注意
偽性低値を示す病態として希釈効果や採血誤差と混同しやすいが、本問はヒストグラムという機械的な検出結果の異常を問うている点が異なる。また、巨大血小板や破砕赤血球といった物理的な大きさの変化を伴う病態によるヒストグラム変化と混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
自動血球計数器の検査値に極端な異常があり、特に赤血球数とヘマトクリット値が乖離している場合や、ヒストグラムに異常なピークが見られる場合は、凝集や溶血などの偽性異常の可能性を考慮して判断する。
関連知識
寒冷凝集素症の診断には、血液を37℃に加温して再測定を行い、赤血球数やMCVが正常化するかを確認する加温試験が有用です。また、網状赤血球数やクームス試験の結果も参考になります。