末梢血のWright-Giemsa染色標本(別冊No. 9)を別に示す。考えられるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
下に示すWright-Giemsa染色標本の画像は、末梢血中に様々な成熟段階の顆粒球系細胞(骨髄球、後骨髄球、桿状核球、分葉核球など)が著しく増加している様子を示していると推測されます。このような細胞像は、慢性骨髄性白血病(CML)の典型的な特徴です。CMLは、造血幹細胞レベルでの異常により、骨髄系細胞、特に顆粒球系の細胞が過剰に増殖する疾患であり、末梢血に成熟顆粒球の左方移動が見られます。芽球の割合は比較的低く、好塩基球や好酸球の増加も伴うことがあります。
選択肢ごとの解説
- 1. 急性骨髄性白血病(AML)では、骨髄芽球が20%以上を占め、顆粒球系の幼若細胞が主体となりますが、慢性骨髄性白血病で見られるような様々な成熟段階の顆粒球系細胞の著しい増加は特徴的ではありません。また、Ph染色体陰性の場合が多いです。正しくは:急性骨髄性白血病では、芽球の増加が顕著で、さまざまな成熟段階の顆粒球系細胞の増加は通常見られません。選びやすい理由:白血病である点では共通しますが、病態や細胞像のパターンが異なります。骨髄系細胞の異常増殖という点で誤解しやすいかもしれません。混同注意:慢性骨髄性白血病(CML)と急性骨髄性白血病(AML)の違い、特に細胞の成熟度と芽球比率の違い。
- 2. 急性リンパ性白血病(ALL)では、リンパ芽球が20%以上を占め、形態学的に未熟なリンパ系細胞が主体となります。画像で示唆されるような成熟段階の顆粒球系細胞の多様な増加は見られません。正しくは:急性リンパ性白血病では、リンパ芽球の増加が顕著で、骨髄系細胞の増加は見られません。選びやすい理由:白血病である点では共通しますが、細胞系列が異なります。急性という点で、芽球が目立つというイメージから誤解しやすいかもしれません。混同注意:急性骨髄性白血病(AML)との鑑別、特に細胞の系統(骨髄系かリンパ系か)の違い。
- 3. 成人T細胞白血病(ATL)は、HTLV-1感染に関連するT細胞由来のリンパ系腫瘍で、末梢血中には通常、核が切れ込んだり分葉したりする特徴的な異型リンパ球(flower cell)が出現します。画像で示唆されるような顆粒球系細胞の著しい増加は特徴ではありません。正しくは:成人T細胞白血病では、特徴的な異型リンパ球(flower cell)の出現が見られ、顆粒球系細胞の増加は通常ありません。選びやすい理由:これも白血病の一種ですが、リンパ系であり、特にT細胞由来である点が異なります。白血病細胞の形態が特徴的であるため、それを知らないと鑑別が難しいかもしれません。混同注意:他のリンパ系白血病(CLLなど)との鑑別、特に細胞形態の差異。
- 4. 正解。慢性骨髄性白血病(CML)では、末梢血中に顆粒球系の細胞(骨髄球、後骨髄球、桿状核球、分葉核球など)が様々な成熟段階で著しく増加しているのが特徴です。また、骨髄芽球の割合は比較的低く、好塩基球や好酸球の増加もよく見られます。Wright-Giemsa染色でこの所見が観察された場合、CMLが強く疑われます。
- 5. 慢性リンパ性白血病(CLL)では、成熟した小型リンパ球が著しく増加するのが特徴で、顆粒球系細胞の増加は通常見られません。また、スメア細胞(basket cell)が見られることもあります。画像で示唆されるような様々な成熟段階の顆粒球系細胞の増加とは異なります。正しくは:慢性リンパ性白血病では、成熟した小型リンパ球の著しい増加が見られ、顆粒球系細胞の増加は通常ありません。選びやすい理由:慢性という点でCMLと共通しますが、細胞系列が異なります。慢性的な経過をたどる白血病という点で混同しやすいかもしれません。混同注意:慢性骨髄性白血病(CML)との鑑別、特に細胞の系統(骨髄系かリンパ系か)の違い。
国試ポイント
本問は、末梢血のWright-Giemsa染色標本から、白血病の病型を鑑別する能力を問う問題です。特に、慢性骨髄性白血病(CML)の末梢血塗抹標本の典型的な細胞像(様々な成熟段階の顆粒球系細胞の著しい増加、好塩基球の増加など)を正確に認識できるかがポイントとなります。各白血病の病型ごとの特徴的な細胞形態とその比率を理解しておく必要があります。
混同注意
急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)といった他の白血病の形態学的特徴と混同しやすいです。特に、急性白血病との違い(芽球の比率)、リンパ性白血病との違い(細胞系統)を明確に区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が問われた場合、画像の所見から以下の点を特に確認します。1. 増殖している主要な細胞が骨髄系かリンパ系か。2. 細胞の成熟度(幼若細胞の割合、左方移動の有無)。3. 特定の異常細胞(例: 花弁状核細胞、スメア細胞)の有無。4. 好酸球や好塩基球の増加の有無。
関連知識
白血病のWHO分類、FAB分類。各白血病の診断基準(芽球比率など)。骨髄穿刺標本との比較。染色体異常(例: Ph染色体/BCR-ABL融合遺伝子)の関連。Wright-Giemsa染色以外の特殊染色(例: ペルオキシダーゼ染色、エステラーゼ染色、PAS染色)やフローサイトメトリーによる細胞表面抗原解析による鑑別診断。