H-E染色標本(別冊No. 11)を別に示す。この臓器はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
標本には重層扁平上皮と真皮、そして毛包、皮脂腺、汗腺といった皮膚付属器が明瞭に認められる。特に毛包とそれに付随する皮脂腺の存在は皮膚に特有の組織学的特徴であり、これらの所見から皮膚組織であると判断できる。
選択肢ごとの解説
- 1. 気管は多列線毛上皮(呼吸上皮)であり、杯細胞や粘液腺を伴う。本標本の重層扁平上皮とは明らかに異なる。正しくは:気管は多列線毛上皮であり、杯細胞や粘液腺を伴う。選びやすい理由:特になし。上皮の種類が大きく異なるため混同しにくい。混同注意:気管支
- 2. 食道は重層扁平上皮を持つが、本標本に見られる毛包や皮脂腺といった皮膚付属器は存在しない。食道固有の粘膜筋板が発達している。正しくは:食道は重層扁平上皮を持つが、毛包や皮脂腺といった皮膚付属器は存在しない。粘膜筋板が発達している。選びやすい理由:重層扁平上皮という共通点があるため、付属器を見落とすと誤って選択しやすい。混同注意:皮膚、口腔粘膜
- 3. 大腸は単層円柱上皮であり、多数の杯細胞を含む腺構造(リーベルキューン腺)が特徴的である。重層扁平上皮である本標本とは異なる。正しくは:大腸は単層円柱上皮であり、リーベルキューン腺が特徴である。選びやすい理由:特になし。上皮の種類が大きく異なるため混同しにくい。混同注意:小腸
- 4. 正解。標本には表皮(重層扁平上皮)と真皮、そして毛包、皮脂腺、汗腺といった皮膚付属器が明確に観察できる。これらの特徴は皮膚に特有のものである。
- 5. 膀胱の粘膜は移行上皮(多層上皮)であり、重層扁平上皮とは形態が異なる。また、皮膚に特有の付属器は存在しない。膀胱の移行上皮は、尿の貯留状態に応じて細胞の形状が変化する特徴がある。正しくは:膀胱は移行上皮であり、皮膚付属器は存在しない。選びやすい理由:重層扁平上皮と移行上皮を混同しやすい場合や、上皮以外の付属器の有無を見落とすと誤って選択しやすい。混同注意:食道、皮膚
国試ポイント
各臓器の組織学的特徴、特に上皮の種類と付属器の有無を識別する能力が問われている。重層扁平上皮を持つ臓器は複数あるため、皮膚に特有の付属器(毛包、皮脂腺、汗腺)の有無が鑑別の鍵となる。
混同注意
食道や膀胱も重層扁平上皮を持つため混同しやすいが、皮膚には毛包、皮脂腺、汗腺などの皮膚付属器が存在する点で区別できる。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合は、まず上皮の種類を確認し、重層扁平上皮であった場合は、その下層にどのような付属器(腺、毛包など)が存在するかを詳細に観察し、臓器を特定する。
関連知識
重層扁平上皮は、物理的刺激に耐える保護機能を持つため、皮膚、口腔、食道、肛門、膣、膀胱など、体の表面や開口部、または摩擦を受ける部位に広く分布する。各部位に特有の構造(例えば、食道の粘膜筋板、膀胱の移行上皮の特徴的な形態、皮膚の付属器)を合わせて覚えることが重要。