血中アンモニア濃度で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
消化管出血時、血液中のタンパク質が腸内細菌によって分解され、大量のアンモニアが産生・吸収されるため、血中アンモニア濃度は上昇します。これは特に、肝機能が低下している患者(肝硬変など)では顕著な所見であり、肝性脳症の悪化要因となることもあります。
選択肢ごとの解説
- 1. 血中アンモニア濃度に成人における明確な性差は通常認められません。肝臓の機能や筋肉量によって変動することはありますが、一般的な臨床診断で考慮されるほどの性差は強調されません。正しくは:成人では通常、アンモニア濃度に臨床上大きな性差はありません。選びやすい理由:ホルモンや筋肉量などの影響で、性差があると思い込んでしまう可能性があるため。一般的な検査項目の中には性差が顕著なものも多く、それらと混同しやすいです。混同注意:クレアチニンやヘモグロビンなど、多くの検査項目が性差を示すため、アンモニアも性差があると誤解する可能性があります。
- 2. 溶血検体では、赤血球内に含まれるアンモニアが血漿中に放出されるため、実際よりも高い値を示すことになります。正しくは:溶血した検体では測定値が高くなります。選びやすい理由:多くの検査項目では溶血が測定値に影響を与えますが、その影響の方向性(高値か低値か)を間違えやすいです。混同注意:溶血によって測定値が低くなる他の検査項目(例:ビリルビン)と混同することがあります。
- 3. 正解。消化管内で出血が起こると、血液中のタンパク質が腸内細菌によって分解され、大量のアンモニアが産生されます。このアンモニアが吸収されることで、血中アンモニア濃度が上昇します。特に肝機能障害がある場合は、アンモニアの代謝能力が低下しているため、より顕著に上昇します。
- 4. 採血後、検体を室温で放置すると、赤血球や白血球、あるいは検体中の細菌による代謝活動により、アンモニアが生成され続けるため、血中アンモニア濃度は時間とともに上昇します。正しくは:採血後に検体を室温で放置すると値が上昇します。選びやすい理由:時間経過で成分が分解されると考えてしまい、低下すると誤解する可能性があります。特定の検査項目では時間が経つと低下するものもあるため、その記憶と混同することがあります。混同注意:血糖値のように解糖によって時間経過で測定値が低下する項目と混同することがあります。
- 5. 一般的に、動脈血のアンモニア濃度は末梢静脈血よりも低いか、同程度であるとされています。これは、組織でのアンモニア産生が静脈血中に放出されるためです。肝臓でのアンモニア代謝を考慮すると、動脈血はアンモニアが除去された後の血液が全身に送られるため、高いということはありません。正しくは:動脈血中のアンモニア濃度は静脈血よりも低いか、同程度です。選びやすい理由:動脈血は全身の臓器に栄養を供給する「きれいな」血液というイメージから、アンモニアのような老廃物が少ないと連想するかもしれませんが、末梢組織での産生を考慮すると一概には言えません。ただし、高くなることは稀です。混同注意:動脈血と静脈血でガス分析(酸素分圧など)やpHに明確な差があることと混同し、アンモニアも同様に動脈血が「きれい」なため低値と判断しがちですが、高いことは通常ありません。
国試ポイント
血中アンモニア濃度に関する検体取り扱い上の注意点、生理的変動要因、および病態時の変動(特に肝疾患との関連)について理解しているかを問う問題です。溶血や採血後の検体放置による影響、消化管出血との関連、動静脈差は頻出の論点であり、臨床検査技師として正確な測定値を得るための知識が求められます。
混同注意
溶血がアンモニア値に与える影響(高値か低値か)、採血後の時間経過がアンモニア値に与える影響(上昇か低下か)、性差や動静脈差の有無など、他の代謝物(グルコース、カリウムなど)における同様の変動要因と混同しやすい点が複数含まれています。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出た場合、アンモニアの主要な産生源(消化管、腎臓、筋肉など)、主要な代謝臓器(肝臓)、肝機能との関連性、および検体管理における注意点(特に時間、温度、溶血)を再確認することが重要です。
関連知識
アンモニアは主に肝臓で尿素に変換され、解毒されます。血中アンモニア高値は肝性脳症の病態形成に関与します。検体は採血後速やかに血漿分離し、冷却保存または凍結保存することが重要です。喫煙や激しい運動もアンモニア値に影響を与える可能性があります。