脱灰法の中和に用いる試薬はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
脱灰処理に用いる酸(例:硝酸、塩酸、ギ酸)が組織内に残留すると、その後の染色性に悪影響を及ぼしたり、組織を損傷させたりする可能性があります。そのため、脱灰処理後は組織を水洗し、さらにアルカリ性の試薬を用いて残存酸を中和する必要があります。硫酸ナトリウムは弱アルカリ性であり、組織に与える影響を最小限に抑えながら残存酸を穏やかに中和するのに適しています。
選択肢ごとの解説
- 1. アンモニアは強アルカリ性であり、脱灰後の組織に対して急激なpH変化を引き起こす可能性があり、組織損傷のリスクがあるため、中和には適しません。組織学的処理では、より穏やかなアルカリが推奨されます。正しくは:脱灰後の中和には、炭酸リチウム水溶液のような弱アルカリ性の緩衝液を使用します。選びやすい理由:アルカリ性であるため、酸の中和剤として候補に挙がりやすいです。混同注意:他の一般的な酸の中和剤と混同する可能性があります。
- 2. エタノールはアルコールであり、酸性溶液を中和する化学的性質はありません。主に脱水処理に用いられます。正しくは:エタノールは組織脱水剤として使用されます。選びやすい理由:組織処理の工程で頻繁に使用される試薬であるため、選択肢として選びやすいです。混同注意:固定や脱水といった他の処理工程と混同する可能性があります。
- 3. 炭酸リチウムは、脱灰液の中和に広く用いられる試薬ですが、本問題ではより穏やかな中和剤である硫酸ナトリウムが正答とされています。炭酸リチウムは中和能力がやや強いため、組織への影響を考慮して硫酸ナトリウムが選ばれる場合があります。正しくは:炭酸リチウムは、ホルマリン固定後の組織のpH調整や脱灰後の残存酸の中和に用いられるアルカリ性試薬です。特に硝酸などの強酸を用いた脱灰後によく使われます。選びやすい理由:炭酸リチウムは脱灰後の中和に実際に使用される試薬であるため、非常に選びやすいです。混同注意:脱灰後の中和に用いられる他のアルカリ性試薬、特に硝酸脱灰後の中和剤として炭酸リチウムがよく挙げられるため混同しやすいです。
- 4. 正解。硫酸ナトリウムは弱アルカリ性を示すため、脱灰液に残存する酸を穏やかに中和し、組織への急激なpH変化による損傷を防ぎます。特に酸による脱灰後の残存酸を除去する目的で用いられることがあります。正しくは:硫酸ナトリウム水溶液は、脱灰処理後の組織に残った酸を穏やかに中和し、組織のpHを調整するために用いられます。これは、組織の染色性を保持し、後の処理工程への影響を最小限にするためです。選びやすい理由:一般的に強アルカリのような明確な中和剤として認識されにくいかもしれませんが、組織学的な中和には穏やかな作用が求められるため、この選択肢が適切です。混同注意:中和剤というと強アルカリを連想しがちですが、組織への優しさが求められる点で他のアルカリ性物質と異なります。
- 5. 硫酸アルミニウムは、酸性を示す塩であり、中和剤としては機能しません。むしろ、組織の固定や媒染剤として用いられることがあります。正しくは:硫酸アルミニウムは媒染剤や一部の固定液の成分として使用されます。選びやすい理由:「硫酸」という言葉から、何らかの化学反応に関与すると連想されるかもしれませんが、中和剤ではありません。混同注意:脱灰液や固定液など、組織処理の他の工程で用いられる化学物質と混同する可能性があります。
国試ポイント
この問題は、組織学検査における脱灰処理後の適切な中和剤の知識を問うものです。単に「中和剤」を知っているだけでなく、組織に対する影響を考慮した選択肢の中から最適なものを選ぶ能力が試されます。特に、広く用いられる炭酸リチウムではなく、硫酸ナトリウムが正答である点がポイントです。
混同注意
脱灰後の残存酸の中和には、炭酸リチウム水溶液も一般的に用いられるため、受験生は炭酸リチウムを選択しがちです。しかし、問題の意図や選択肢の組み合わせによっては、より穏やかな作用を持つ硫酸ナトリウムが求められる場合があることに注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、使用される脱灰液の種類(例:硝酸、ギ酸)と、それぞれの脱灰液に適した中和剤、および中和の目的(組織損傷の防止、染色性の維持)に注目して選択肢を検討します。
関連知識
脱灰の種類(酸脱灰、キレート脱灰、電気泳動脱灰)とそれぞれの特徴、および各脱灰法後の適切な水洗・中和方法。特に、硝酸脱灰後の炭酸リチウム水溶液による中和は一般的な知識です。ギ酸脱灰は、中和が不要な場合もあります。また、脱灰が組織の染色性(特に核染色)に与える影響についても理解しておく必要があります。