Masson trichrome染色が診断に適さないのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
マッソントリクローム染色は、組織中の膠原線維(コラーゲン)を青色または緑色に、筋線維や赤血球を赤色に、核を黒色に染め分ける特殊染色です。主に線維化の有無や程度を評価するために用いられ、肝硬変、間質性肺炎、糸球体腎炎、陳旧性心筋梗塞など、結合組織の増加や線維化を伴う病態の診断・評価に非常に有効です。一方、神経内分泌腫瘍の診断は、腫瘍細胞の形態学的特徴や、特異的なホルモン産生・神経内分泌顆粒を示す免疫組織化学染色(例: クロモグラニンA、シナプトフィジン、NSEなど)によって行われます。マッソントリクローム染色は腫瘍自体の特性を評価する目的には適していません。
選択肢ごとの解説
- 1. 肝硬変では、肝臓内の線維化(コラーゲン増加)を評価するためにマッソントリクローム染色が広く用いられます。正しくは:マッソントリクローム染色が適しています。選びやすい理由:線維化の代表例なので、適切な選択肢として判断しがちです。混同注意:他の臓器の線維化と混同し、適さないと誤解する可能性があります。
- 2. 間質性肺炎では、肺の間質組織における線維化の程度や分布を評価するのにマッソントリクローム染色が有用です。正しくは:マッソントリクローム染色が適しています。選びやすい理由:肺の病変ではあるが、線維化の評価であるため、適していると判断しやすいです。混同注意:肺の炎症性疾患であるため、炎症を評価する他の染色法と混同する可能性があります。
- 3. 糸球体腎炎では、糸球体や間質の線維化(コラーゲンの沈着)を観察し、病気の進行度を評価するためにマッソントリクローム染色が用いられます。正しくは:マッソントリクローム染色が適しています。選びやすい理由:腎臓の病変であっても、線維化の評価という点で適していると判断しやすいです。混同注意:腎臓の病変における他の病理学的変化(例:免疫複合体沈着)を評価する染色法と混同する可能性があります。
- 4. 正解。神経内分泌腫瘍の診断には、腫瘍細胞そのものの特徴や神経内分泌マーカー(例:クロモグラニンA、シナプトフィジン)を検出する免疫組織化学染色が主に用いられます。マッソントリクローム染色は結合組織の線維成分を染めるため、腫瘍細胞の特定や分化度評価には直接適していません。選びやすい理由:腫瘍細胞の周りの結合組織を染めることはありますが、腫瘍自体の診断には直接的ではないため、誤りやすいかもしれません。混同注意:特定の腫瘍の周囲に線維化が見られることがありますが、それが腫瘍の診断に不可欠な染色法であると誤解する可能性があります。
- 5. 陳旧性心筋梗塞では、壊死した心筋組織が線維性結合組織(瘢痕組織)に置き換わるため、その線維化の範囲や程度を評価するのにマッソントリクローム染色が非常に有用です。正しくは:マッソントリクローム染色が適しています。選びやすい理由:心臓の病変であるため、線維化の評価に適していると直感的に判断しやすいです。混同注意:急性期の心筋梗塞における炎症反応や細胞壊死を評価する他の染色法と混同する可能性があります。
国試ポイント
特殊染色の目的と、それが診断に有用な疾患の組み合わせを正確に理解しているかが問われています。特に、線維化の評価に用いられるマッソントリクローム染色と、細胞の性質を評価する免疫組織化学染色など、異なる目的の染色法との区別が重要です。
混同注意
線維化を示す染色法(マッソントリクローム、ワンギーソン、レチクリンなど)と、それ以外の細胞成分や微生物などを染める特殊染色(PAS、グロコット、チール・ネルゼンなど)が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、疾患名を見たときに、それが結合組織の線維化を伴う病態であるかどうかを判断し、その上でマッソントリクローム染色が適しているかを検討する必要があります。また、腫瘍診断においてどのような染色法が主に用いられるか(形態、免疫組織化学、遺伝子など)という視点も重要です。
関連知識
・マッソントリクローム染色の原理と染色性状(膠原線維:青/緑、筋線維/赤血球:赤、核:黒) ・各臓器における線維化を伴う代表的な疾患 ・神経内分泌腫瘍の診断に用いられる主要な免疫組織化学マーカー(クロモグラニンA、シナプトフィジン、NSEなど) ・他の主要な特殊染色とその目的(例:PAS染色、Gomori-methenamine silver染色、チール・ネルゼン染色、グラム染色など)