免疫グロブリンで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
IgMは、通常五量体として存在し、抗原と結合することでその立体構造が変化します。この構造変化により、補体成分C1qがIgM分子に結合しやすくなり、補体の古典経路を効率的に活性化させることができます。特に、単独の抗体分子で最も強力な古典経路活性化能を持つことで知られています。
選択肢ごとの解説
- 1. IgAの重鎖(α鎖)は通常3つの定常ドメイン(Cドメイン)と1つの可変ドメイン(Vドメイン)から構成されます。4つのCドメインを持つのはIgMの重鎖(μ鎖)です。正しくは:IgAの重鎖は3つの定常ドメイン(Cドメイン)から構成されています。選びやすい理由:IgMや分泌型IgAの構造が複雑なため、ドメイン数について誤解しやすいかもしれません。特に分泌型IgAにはJ鎖や分泌成分が付加されるため、全体像が把握しにくいことがあります。混同注意:IgMのμ鎖のCドメイン数(4つ)と混同しやすいです。
- 2. 胎盤を通過できる免疫グロブリンはIgGのみです。IgDは胎盤通過性を持っていません。正しくは:IgGは胎盤を通過する性質があります。選びやすい理由:免疫グロブリンの様々な機能の中で、胎盤通過性という特徴がどのIgに限定されるか曖昧な場合に選んでしまう可能性があります。混同注意:IgGの主要な機能である胎盤通過性と混同しやすいです。
- 3. IgEは単量体であり、五量体構造をとるIgMの方が分子量が最も大きいです。IgMの分子量は約900,000ダルトンであるのに対し、IgEは約190,000ダルトンです。正しくは:IgMは、すべての免疫グロブリンの中で分子量が最も大きいです。選びやすい理由:アレルギー反応など強力な生物活性を持つため、分子量も大きいと錯覚するかもしれません。混同注意:五量体であるIgMの分子量と混同しやすいです。
- 4. ヒトのIgGにはIgG1、IgG2、IgG3、IgG4の4つのサブクラスが存在します。正しくは:ヒトのIgGには4つのサブクラスが存在します。選びやすい理由:IgMやIgAにサブクラスがあること、またはサブクラスの概念自体が曖昧な場合に、適当な数値を選んでしまうかもしれません。混同注意:IgAにもサブクラス(IgA1, IgA2)があるため、混同しやすいです。
- 5. 正解。IgMは五量体構造を持ち、抗原と結合すると構造が変化し、C1qを結合して補体の古典経路を非常に効率よく活性化する能力があります。これはIgMの重要な機能の一つです。
国試ポイント
免疫グロブリンの各クラス(IgG, IgA, IgM, IgD, IgE)について、それぞれの特徴的な構造(単量体、二量体、五量体、Cドメイン数)、主要な機能(胎盤通過性、粘膜免疫、補体活性化、アレルギー反応、B細胞表面受容体など)、および生理的役割(分子量、半減期など)を正確に理解しているかが問われます。特に、どのIgがどの機能を担うか、またその機能がなぜ可能になるか(例:IgMの五量体構造と補体活性化)を関連付けて覚えることが重要です。
混同注意
各免疫グロブリンの機能と構造は非常に混同しやすいです。特に、胎盤通過性(IgGのみ)、補体活性化能(IgM, IgG)、粘膜免疫(IgA)、アレルギー(IgE)、B細胞表面受容体(IgD, IgM)といった主要な役割は、それぞれがどのIgと結びつくかを正確に覚える必要があります。また、分子量や重鎖のCドメイン数など、数字に関する知識も混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
この論点が出題された場合、次に確認すべきは、各免疫グロブリンがどの免疫機構(液性免疫、細胞性免疫、自然免疫)と連携しているか、またそれぞれの抗体が関与する疾患(例:アレルギー、自己免疫疾患)についてです。さらに、補体経路の種類(古典経路、代替経路、レクチン経路)と、それらを活性化する条件についても理解を深めることが重要です。
関連知識
- IgG: 血中濃度が最も高く、唯一胎盤を通過し、補体古典経路を活性化する(IgMよりは効率が低い)。遅延型アレルギーにも関与。オプソニン作用。 - IgA: 主に分泌型として粘膜免疫に関与(消化管、呼吸器、泌尿生殖器、涙、唾液、母乳など)。二量体構造が特徴。補体を活性化しない。 - IgM: 初期の免疫応答を担い、抗原への最初の抗体産生。五量体構造で、補体古典経路を最も効率よく活性化する。B細胞表面受容体としても機能する(単量体)。 - IgD: B細胞の表面に存在し、抗原受容体として機能。血中濃度は低い。機能はまだ完全には解明されていないが、B細胞の活性化に関与。 - IgE: 肥満細胞や好塩基球の表面に結合し、I型アレルギー(即時型アレルギー)反応を媒介する。寄生虫感染防御にも関与。