血清総蛋白5.0 g/dL、血清アルブミン2.5 g/dL、尿蛋白500 mg/dLであった。考えられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
ネフローゼ症候群は、腎臓からの大量の蛋白喪失(主にアルブミン)により、血清アルブミンが著しく低下し、それに伴い血清総蛋白も低下する病態です。設問のデータ(血清総蛋白5.0g/dL、血清アルブミン2.5g/dL、尿蛋白500mg/dL)は、血清総蛋白の低値、血清アルブミンの著明な低値、そして尿蛋白の増加というネフローゼ症候群の主要な診断基準と完全に一致します。
選択肢ごとの解説
- 1. 肝硬変では血清アルブミン値は低値を示すことが多いですが、通常はγ-グロブリンを含むグロブリン画分が増加するため、総蛋白は正常または高値を示すこともあります。また、尿蛋白の増加は必ずしも肝硬変の主要な特徴ではありません。正しくは:肝硬変の場合、アルブミンは低下するが、グロブリン(特にγ-グロブリン)は上昇傾向にあり、総蛋白の低下は今回の設問ほど顕著ではないことが多いです。また、尿蛋白の大量排泄は典型的ではありません。選びやすい理由:低アルブミン血症という点で共通するため。混同注意:低アルブミン血症を呈する他の疾患と混同しやすいです。
- 2. 慢性炎症では血清アルブミンは低値になることがありますが、同時に炎症性蛋白(急性期反応物質)であるα1-グロブリンやγ-グロブリンなどが増加するため、血清総蛋白は正常値または高値を示すことが一般的です。また、尿蛋白の大量排泄は通常認められません。正しくは:慢性炎症ではアルブミンは低下することがありますが、グロブリン(特に急性期蛋白やγ-グロブリン)が上昇するため、総蛋白は正常または高値になることが一般的です。尿蛋白の顕著な増加は通常見られません。選びやすい理由:低アルブミン血症を呈するため。混同注意:低アルブミン血症を示す他の疾患と混同しやすいです。
- 3. 多発性骨髄腫では、異常な免疫グロブリン(M蛋白)が産生され血中に増加するため、血清総蛋白は高値を示すことがほとんどです。アルブミンは相対的に低値を示すこともありますが、総蛋白の高値が特徴的です。また、Bence Jones蛋白尿として尿蛋白が陽性になることもありますが、今回の提示された数値のような総蛋白とアルブミンのバランスとは異なります。正しくは:多発性骨髄腫はM蛋白の増加により血清総蛋白が高値となるのが特徴です。尿蛋白はBence Jones蛋白として見られることはありますが、今回の血清所見とは整合しません。選びやすい理由:腎機能障害や尿蛋白が関与する疾患として誤解しやすいかもしれません。混同注意:蛋白尿を呈する疾患という点で、ネフローゼ症候群と誤解しやすい可能性がありますが、血清総蛋白とアルブミンの関係が大きく異なります。
- 4. 正解。ネフローゼ症候群は、大量の蛋白尿(3.5g/日以上が典型的)を特徴とし、これにより血清アルブミンが著しく低下します。総蛋白もアルブミンの低下に伴い低値を示します。今回の検査結果(血清総蛋白5.0g/dL、血清アルブミン2.5g/dL、尿蛋白500mg/dL)は、血清アルブミンと総蛋白の顕著な低下、および尿蛋白の増加というネフローゼ症候群の典型的な所見と一致します。正しくは:正解のため修正不要。選びやすい理由:正答のため。
- 5. 無γ-グロブリン血症では、γ-グロブリンが極めて低値となるため、血清総蛋白も低下しますが、アルブミン値は通常正常範囲内です。また、尿蛋白の増加は直接的な特徴ではありません。正しくは:無γ-グロブリン血症ではγ-グロブリンが欠如するため総蛋白は低下しますが、アルブミンは通常正常です。したがって、総蛋白とアルブミンが共に低値であり、尿蛋白が大量に出る今回の状況とは合いません。選びやすい理由:総蛋白が低値になるという点で誤解しやすいかもしれません。混同注意:総蛋白の低値と、低アルブミン血症を混同しやすいです。
国試ポイント
ネフローゼ症候群の診断基準である、低蛋白血症(特に低アルブミン血症)と大量蛋白尿の特徴的な検査所見を理解しているか問う問題です。他の疾患でも低アルブミン血症を呈することがあるため、総蛋白、アルブミン、および尿蛋白の各数値の関係性を正確に把握しているかが重要となります。
混同注意
低アルブミン血症を呈する他の疾患(肝硬変、慢性炎症、無γ-グロブリン血症など)との鑑別がポイントになります。それぞれの疾患での血清蛋白分画(特にグロブリンの変動)や尿蛋白の有無・程度を理解しておく必要があります。特に多発性骨髄腫はM蛋白による血清総蛋白高値が特徴であり、容易に鑑別できます。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず血清アルブミンと総蛋白の値に注目し、その比率(A/G比)や他の蛋白分画の変動を考慮します。次に尿蛋白の量を確認し、これら複数の指標がネフローゼ症候群の診断基準に合致するかどうかを判断します。
関連知識
ネフローゼ症候群の診断基準:①尿蛋白1日1.0g/m²以上または3.5g/日以上、②血清総蛋白6.0g/dL以下、③血清アルブミン3.0g/dL以下、④高コレステロール血症。これらの主要な所見を総合的に判断することが求められます。