脂質異常症のWHO分類とその原因の組合せで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
III型脂質異常症(広β病)は、カイロミクロンレムナントやVLDLレムナントのクリアランス障害によって、これらが血中に蓄積する病態です。このクリアランスにはアポリポ蛋白Eが重要な役割を果たしており、特にApoE2/E2ホモ接合体のような特定の遺伝子型が原因となることが多いです。したがって、III型とアポリポ蛋白Eの組み合わせが正しいです。
選択肢ごとの解説
- 1. I型脂質異常症は、リポ蛋白リパーゼ(LPL)またはその補助因子であるアポC-IIの欠損によって、カイロミクロンが血中に蓄積する病態です。正しくは:I型はリポ蛋白リパーゼ(LPL)の欠損または機能不全。選びやすい理由:脂質代謝に関わる酵素名なので、一見正しそうに思えるかもしれません。混同注意:LCATはHDLコレステロール代謝に関わる酵素であり、I型脂質異常症の直接の原因ではありません。
- 2. II型脂質異常症(特にIIa型)は、LDL受容体の機能低下や欠損が主な原因で、LDLコレステロールが血中に増加します。LPLはカイロミクロンやVLDLのトリグリセリドを分解する酵素であり、LPLの機能低下はI型またはV型の原因となります。正しくは:II型はLDL受容体の異常。選びやすい理由:LPLは脂質代謝の重要な酵素であり、選択肢1と同じく、脂質異常症の原因として連想されやすいです。混同注意:LPL異常はI型またはV型に関与し、II型(高LDLコレステロール血症)の主要な原因ではありません。
- 3. 正解。III型脂質異常症(広β病)は、カイロミクロンレムナントやVLDLレムナントが血中に蓄積する病態です。この病態の主な原因は、これらのレムナント粒子の肝臓への取り込みに関わるアポリポ蛋白Eの機能異常(特にApoE2/E2ホモ接合体)です。正しくは:この組み合わせは正しいです。選びやすい理由:特になし。正確な知識があれば正答にたどり着けます。混同注意:他のアポリポ蛋白(ApoA-I, ApoB, ApoC-IIなど)との区別が重要です。
- 4. IV型脂質異常症は、高トリグリセリド血症が主な特徴で、VLDLの過剰産生または異化能低下によってVLDLが血中に増加します。LDL受容体の異常は主にII型(高LDLコレステロール血症)の原因となります。正しくは:IV型はVLDLの過剰産生や異化能低下が原因であり、複数の遺伝的・環境要因が関与します。選びやすい理由:LDL受容体は重要な脂質代謝関連因子なので、どこかの型と関連するだろうと推測されがちです。混同注意:LDL受容体異常はII型の主要な原因であり、IV型ではありません。
- 5. V型脂質異常症は、カイロミクロンとVLDLの両方が血中に著しく増加する、混合型高脂血症です。原因はLPL活性の低下やVLDLの過剰産生など、複数の要因が関与します。CETPはコレステロールエステルをHDLからVLDLやLDLへ転送する役割を持ちますが、V型脂質異常症の直接的かつ主要な原因ではありません。正しくは:V型はリポ蛋白リパーゼ(LPL)の機能低下やVLDLの過剰産生など、複数の要因が複合的に関与します。選びやすい理由:CETPも脂質代謝に関わる重要なタンパク質であり、他の選択肢と同様に、関連を推測してしまう可能性があります。混同注意:CETPは主にHDL代謝と関連が深く、V型脂質異常症の主な原因とは異なります。
国試ポイント
本問は、脂質異常症のフレドリクソン分類(WHO分類)と、それぞれの病型に特徴的な原因因子や関連するリポ蛋白、酵素、アポリポ蛋白との対応関係を理解しているかを問う問題です。各病型の主要な脂質プロファイルだけでなく、その病態生理の根底にある分子メカニズム(酵素や受容体、アポリポ蛋白の異常)まで正確に把握していることが求められます。
混同注意
各型で異常が見られるリポ蛋白、酵素、受容体、アポリポ蛋白が多岐にわたるため、それぞれの関連性を混同しやすいです。特に、LPL、LDL受容体、ApoE、CETPなど、名称が似ていたり、機能が複雑に絡み合っていたりする因子は注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、各型の診断基準となる脂質プロファイル(カイロミクロン、VLDL、LDL、HDLの増減)や、それぞれの治療薬(スタチン、フィブラート、PCSK9阻害薬など)の作用機序との関連性も問われる可能性があります。
関連知識
フレドリクソン分類の各型の特徴(上昇するリポ蛋白、上昇する脂質)、遺伝性脂質異常症の主な病態(家族性高コレステロール血症、家族性高トリグリセリド血症、混合型高脂血症など)、各脂質代謝酵素(LPL、LCATなど)やアポリポ蛋白(ApoA-I、ApoB、ApoC-II、ApoEなど)の生理的役割。