組織の固定について正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
組織を適切な状態で固定し、自己融解や腐敗を防ぐためには、固定液が組織全体に十分に行き渡ることが重要です。固定液の量が組織体積の10倍以上であれば、固定液が希釈されにくく、固定成分の濃度が保たれ、固定効果が安定的に得られます。
選択肢ごとの解説
- 1. ホルムアルデヒド(ホルマリン)は、特定第1類物質ではなく、特定第2類物質に分類されます。これは労働安全衛生法に基づく分類です。正しくは:ホルムアルデヒド(ホルマリン)は、特定第2類物質に分類されます。選びやすい理由:ホルマリンが有害物質であるという認識から、より危険度の高い「特定第1類物質」と誤解しやすいです。混同注意:特定第1類物質と特定第2類物質の分類(発がん性リスクの高さによる分類)
- 2. 正解。組織を固定する際、固定液が組織全体に十分浸透し、希釈されるのを防ぐために、固定液の量を組織体積の10倍以上にするのが適切とされています。これにより、固定効果が安定します。選びやすい理由:固定液の量が多い方が良いという常識的な考え方と一致するため。混同注意:他の固定条件(固定時間、温度など)
- 3. 遺伝子検査に用いる検体では、ホルマリン固定によってDNAが断片化したり、架橋結合によりPCR阻害が起こる可能性があるため、長時間の固定は避けるべきです。理想的には24〜48時間以内、短時間の方が望ましいとされています。正しくは:遺伝子検査に用いる検体の固定時間は、24〜48時間以内が理想的です。選びやすい理由:一般的な病理組織標本の固定時間が長いことから、遺伝子検査用検体も同様に長時間の固定が必要だと誤解しやすいです。混同注意:一般的な病理組織学的検査のための固定時間
- 4. ホルマリンの組織への浸透速度は、室温で1時間に約0.5 cm〜1.0 cm程度です。10 cmは非常に速すぎる数値です。正しくは:ホルマリンの組織への浸透速度は、室温で1時間に約0.5 cm〜1.0 cm程度です。選びやすい理由:固定液は速く浸透する方が良いというイメージから、現実よりも速い数値を選びやすいです。混同注意:グルタールアルデヒドなど他の固定液の浸透速度や、固定時間の全体的な長さ
- 5. グルタールアルデヒドの組織への浸透速度は、ホルマリンよりも遅く、1時間に約0.1 cm〜0.2 cm程度とされています。1 cmはホルマリンの浸透速度に近い、あるいはやや速い数値です。正しくは:グルタールアルデヒドの組織への浸透速度は、1時間に約0.1 cm〜0.2 cm程度です。選びやすい理由:ホルマリンの浸透速度と混同し、おおよその浸透速度として選びやすいです。グルタールアルデヒドも浸透するという点で正しそうに見えます。混同注意:ホルマリンの浸透速度
国試ポイント
組織固定における固定液の量、固定時間、浸透速度、および固定液の種類と危険物分類に関する知識が問われています。
混同注意
ホルムアルデヒドの特定第1類物質への分類と、実際の毒性や取扱上の注意点との混同。また、各固定液の浸透速度の数値の違い。
次に同じ論点が出たら
組織固定に関する問題が出た場合は、まず固定液の量(体積比)、浸透速度、固定時間(特に遺伝子検査用検体)、そして固定液の危険物分類の数値を正確に覚えているかを確認して判断します。
関連知識
ホルマリン固定の原理、自己融解と腐敗のメカニズム、固定液の種類(ホルマリン、グルタールアルデヒド、ブアン液など)とその用途。