脱灰について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
脱灰は、組織からカルシウムを除去するプロセスであり、その反応性は脱灰液中のカルシウム濃度に依存します。反応によって脱灰液中のカルシウム濃度が上昇すると、脱灰反応の速度が低下するため、定期的に新鮮な脱灰液に交換することで、効率的かつ均一な脱灰を維持し、過脱灰による組織損傷を防ぎます。一日に数回の交換は、迅速で良好な脱灰を促すための標準的な手順です。
選択肢ごとの解説
- 1. 過脱灰は組織構造を破壊し、抗原性を低下させるため不適切です。診断に必要な抗原性が損なわれることで、免疫組織化学染色などの検査に支障をきたします。正しくは:過剰な脱灰は、組織の抗原性を低下させる効果があります。選びやすい理由:「増強させる」という表現が、何らかの良い効果を示唆しているように聞こえるかもしれませんが、脱灰においては不適切です。混同注意:組織固定や脱灰の目的と効果について正確に理解していない場合に間違えやすいです。
- 2. 酸性脱灰液は脱灰の過程で二酸化炭素ガスを発生させます。容器を密閉するとガスが蓄積し、破裂の危険性があるため開放状態で処理します。正しくは:酸性脱灰法を実施する際は、容器を密閉せず開放状態で処理します。選びやすい理由:多くの化学実験や保存では密閉が推奨されるため、一般常識と混同しやすいです。混同注意:脱灰液の化学反応で発生するガスについての知識が不足していると、密閉が正しいと思い込むことがあります。
- 3. 正解。脱灰液は、カルシウムイオンが溶け出すにつれて徐々に飽和し、反応性が低下します。効率的な脱灰と組織の損傷防止のため、頻繁な交換が推奨されます(通常、一日に数回)。選びやすい理由:特になし。正しい選択肢です。
- 4. 脱灰液の濃度は、基本的に一定を保ちます。濃度を高くしすぎると脱灰が早まる一方で、組織の損傷を招きやすくなるため、適切な濃度で使用することが重要です。正しくは:脱灰液は、適切な濃度で使用し、交換時に濃度を変える必要はありません(あるいは、使用目的に応じて濃度は固定されます)。選びやすい理由:反応効率を上げようとして濃度を上げる、という発想は化学反応一般でありがちですが、組織処理においては組織損傷のリスクがあるため不適切です。混同注意:反応速度を上げるための手段として濃度調整があることは知っていても、生体組織への影響を考慮しないと間違えやすいです。
- 5. 脱灰液は組織体積の20〜50倍量程度を用います。5〜10倍量では脱灰液がすぐに飽和し、脱灰が進みにくくなります。
国試ポイント
脱灰の原理、方法、注意点に関する基本的な知識が問われています。特に、脱灰液の交換頻度、液量、脱灰時のガスの発生、および過脱灰による影響は、実務においても重要なポイントです。
混同注意
固定液の量(組織体積の約10倍)と脱灰液の量(組織体積の20~50倍)を混同しやすい。また、脱灰液の種類(酸性、キレート)による特性(ガス発生の有無など)も区別が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、脱灰液の種類ごとの特性(酸性脱灰液とキレート脱灰液のメリット・デメリット、脱灰速度、組織への影響)、脱灰が不十分な場合の影響、脱灰終了の判断方法(X線撮影、物理的検査)などが問われる可能性があります。
関連知識
組織固定(固定液の種類、作用機序、適切な液量)、包埋、薄切などの一連の組織処理プロセスと、それぞれの工程における注意点や目的。特に、免疫組織化学染色における抗原性の保持の重要性。