静肺コンプライアンスが上昇するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
肺気腫は、肺胞壁の破壊によって肺の弾性収縮力が低下し、肺が過度に伸展しやすくなる疾患です。このため、少量の圧変化で大きな肺容積の変化が生じ、静肺コンプライアンスが上昇します。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。肺気腫では、肺胞壁の破壊により肺の弾性収縮力が低下します。これにより肺が拡張しやすくなり、少量の圧変化で大きな容積変化が生じるため、静肺コンプライアンスは上昇します。
- 2. 高度肥満の場合、胸壁の脂肪沈着により胸壁コンプライアンスが低下し、肺の拡張が妨げられます。これにより静肺コンプライアンスはむしろ低下する傾向があります。正しくは:高度肥満は静肺コンプライアンスを低下させる要因です。選びやすい理由:肥満は呼吸機能に影響を与えるため、何らかの変化が起きると考えやすいかもしれませんが、コンプライアンスの具体的な方向性を理解している必要があります。混同注意:肺容量(機能的残気量など)の減少と混同しやすいですが、コンプライアンスは拡張しやすさの指標です。
- 3. 肺線維症では、肺胞間質の線維化により肺組織が硬くなり、伸展性が低下します。このため肺を拡張させるにはより大きな圧が必要となり、静肺コンプライアンスは著しく低下します。正しくは:肺線維症は静肺コンプライアンスを低下させます。選びやすい理由:線維化という変化があるため、肺の機能に影響が出るとはわかるが、具体的にコンプライアンスが上昇するのか低下するのか判断に迷う可能性があります。混同注意:肺の「異常」という漠然とした認識で、コンプライアンスの具体的な変化方向を誤解しやすいです。
- 4. 気管支喘息の急性発作時には気道狭窄が主症状であり、肺胞の過膨張が起こることはありますが、肺実質の伸展性自体が大きく変化するわけではありません。むしろ慢性的な過膨張が続くと、肺実質の弾性収縮力に影響が出ることもありますが、一般的に静肺コンプライアンスが顕著に『上昇』する疾患とはみなされません。重症発作時の気流制限により、肺の容積変化に対する圧変化が大きくなるため、コンプライアンスは低下することもあります。正しくは:気管支喘息は気道抵抗の増加が主な病態であり、静肺コンプライアンスが顕著に上昇する病態ではありません。むしろ重症発作では低下することもあります。選びやすい理由:気管支喘息で肺が過膨張するイメージがあるため、コンプライアンスが上昇すると錯覚しやすいかもしれません。しかし、これは気道抵抗の増加による空気のトラッピングが主な原因であり、肺実質自体の伸展性の変化とは異なります。混同注意:気道抵抗の上昇による肺の過膨張と、肺実質自体のコンプライアンスの変化を混同しやすいです。
- 5. 脊柱側弯症では、胸郭の変形により胸壁の動きが制限され、肺の拡張が妨げられます。これは肺実質よりも胸郭のコンプライアンスの低下に起因し、結果的に肺の換気能力が低下しますが、静肺コンプライアンス(肺実質自体の伸展性)が上昇するわけではありません。正しくは:脊柱側弯症は胸壁のコンプライアンスを低下させ、肺の拡張を制限します。選びやすい理由:呼吸機能が障害される疾患であるため、何らかのコンプライアンス変化があると考えがちですが、肺コンプライアンス自体の変化ではない点を区別する必要があります。混同注意:肺実質のコンプライアンスと胸壁(または呼吸器系全体の)コンプライアンスを混同しやすいです。
国試ポイント
静肺コンプライアンスの病態生理学的変化について、主要な呼吸器疾患における影響を正確に理解しているかを問う問題です。特に、肺の弾性収縮力の低下と上昇、その原因となる疾患との対応を把握していることが重要です。
混同注意
肺の硬さ(線維症で低下)と肺の弾性(気腫で低下)によるコンプライアンスの変化の方向性を混同しやすい。また、胸壁の異常による呼吸機能障害と、肺実質自体のコンプライアンスの変化を混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、各疾患が肺の弾性収縮力にどのような影響を与えるかを想起し、それがコンプライアンスの上昇または低下のどちらにつながるかを判断します。特に、『硬くなる』ことと『弾性を失う』ことの違いを明確に理解しているかを確認します。
関連知識
静肺コンプライアンスは、肺の容積変化を呼吸圧の変化で割った値(ΔV/ΔP)で表され、肺の伸展性(伸びやすさ)を示す指標です。肺線維症では弾性収縮力が増加するためコンプライアンスは低下し、肺気腫では弾性収縮力が低下するためコンプライアンスは上昇します。