大腸癌で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
家族性大腸腺腫症(FAP)は、APC遺伝子変異に起因し、大腸内に数え切れないほどの腺腫性ポリープを形成する遺伝性疾患です。これらの腺腫は時間の経過とともに悪性化するリスクが極めて高く、未治療の場合、ほぼ100%の確率で大腸癌へと進行します。そのため、FAPは大腸癌の最も強力なリスク因子の一つであり、定期的な内視鏡検査や予防的切除が推奨されます。この選択肢は、FAPと大腸癌発生の関係性について正しく述べています。
選択肢ごとの解説
- 1. 大腸癌の組織型で最も頻度が高いのは、管状腺癌や絨毛腺癌といった高分化~中分化の腺癌です。低分化腺癌は全体の約5%程度と少数派です。正しくは:大腸癌の組織型は、高分化腺癌や中分化腺癌が最も多く見られます。選びやすい理由:「癌」という言葉の重さから、悪性度の高い低分化腺癌が多いのではないか、と誤解する可能性があります。混同注意:他の臓器の癌で低分化腺癌の比率が高い場合と混同したり、悪性度と頻度を混同したりすることがあります。
- 2. 大腸癌は直腸とS状結腸に好発します。これらの部位で約70%を占めます。上行結腸での発生頻度は、比較的低いとされています。正しくは:大腸癌は直腸とS状結腸に好発する傾向があります。選びやすい理由:大腸は広いので、どこかに好発部位がある、という思考から、適当な部位を選んでしまう可能性があります。混同注意:盲腸や上行結腸など、右側大腸癌の割合が近年増加傾向にあるという情報と混同して、好発部位だと誤解するかもしれません。しかし、依然として直腸・S状結腸が最多です。
- 3. 正解。家族性大腸腺腫症(FAP)は、APC遺伝子の生殖細胞系列変異によって引き起こされる遺伝性疾患で、多数の大腸ポリープ(腺腫)が発生します。これらの腺腫は高頻度で悪性化し、放置すればほぼ100%大腸癌に進行するため、大腸癌の高リスク群とされています。
- 4. 大腸癌は消化器癌の中でも非常に発生頻度が高く、日本において癌罹患数、死亡数ともに上位を占めます。一方、小腸癌は全消化管悪性腫瘍の1~3%程度と非常に稀な癌です。したがって、大腸癌の方が小腸癌より発生頻度ははるかに高いです。正しくは:大腸癌は小腸癌と比較して発生頻度が高いとされています。選びやすい理由:小腸癌の具体的な発生頻度を知らない場合に、なんとなく選んでしまう可能性があります。混同注意:消化器癌全体の発生頻度のイメージが曖昧だと、稀な小腸癌と一般的な大腸癌を混同しやすいです。
- 5. Borrmann分類は、進行癌の肉眼分類に用いられます。早期癌の肉眼分類には、主に「パリ分類(Paris分類、旧称日本分類)」が使用されます。Borrmann分類は、主に胃癌の進行度分類で用いられ、大腸癌でも進行癌に適用されることがありますが、早期癌ではありません。正しくは:早期大腸癌の肉眼分類には、主にパリ分類(Paris分類)が用いられます。選びやすい理由:癌の分類法としてBorrmann分類という名称を知っているため、それが早期癌にも適用されると誤解する可能性があります。癌の分類法は多様であり、それぞれの適用対象を正確に覚えていないと間違いやすいです。混同注意:胃癌のBorrmann分類と、大腸癌のパリ分類や他の分類法( Dukes分類やTNM分類など)の適用範囲を混同しやすいです。
国試ポイント
本問題は、大腸癌に関する基本的な知識、特に疫学、好発部位、組織型、リスク因子、および診断・分類方法について理解しているかを問うものです。個々の知識の正確性だけでなく、主要な消化器癌との比較や、分類法の適用範囲の区別が求められます。
混同注意
大腸癌の組織型(高分化vs低分化)、好発部位(直腸・S状結腸vs右側結腸)、他の消化器癌との頻度比較(大腸癌vs小腸癌)、癌の分類法(Borrmann分類vsパリ分類、早期癌vs進行癌)など、複数の知識が混同しやすいポイントとして挙げられます。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、大腸癌の好発部位、疫学的な特徴、遺伝性症候群、および早期癌・進行癌の分類法の区別について、より詳細な知識が問われる可能性があります。
関連知識
大腸癌のスクリーニング(便潜血検査)、診断(大腸内視鏡検査、生検)、治療(手術、化学療法、放射線療法)、リスク因子(食生活、炎症性腸疾患)、遺伝性大腸癌症候群(FAP、HNPCC/Lynch症候群)など。