疾患と心電図所見の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・5番
解説
心筋梗塞では、壊死心筋部の電気的活動消失により異常Q波が出現します。心房細動では、心房の無秩序な興奮が不規則に心室に伝わるため、RR間隔が完全に不規則になります。これらは典型的な心電図所見です。一方、Ⅱ度房室ブロックの主所見はQRS波の脱落でありQRS幅延長ではありません。完全右脚ブロックはQRS幅延長を伴いますがPR時間短縮は関連しません。WPW症候群はPR時間短縮とデルタ波が特徴でありQT時間短縮は直接的な所見ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。心筋梗塞では、壊死した心筋部位で電気的活動が消失するため、異常Q波(幅が広く、深さのあるQ波)が出現します。これは心筋梗塞の診断に非常に重要な所見です。
- 2. Ⅱ度房室ブロックの主な特徴は、房室伝導障害によりP波に続いてQRS波が脱落することです。QRS幅延長は、脚ブロックや心室内伝導障害で見られる所見であり、Ⅱ度房室ブロック自体を直接示すものではありません。正しくは:Ⅱ度房室ブロックでは、P波に続くQRS波の脱落が特徴的です。QRS幅延長は脚ブロックなどで見られます。選びやすい理由:房室ブロックが伝導障害であるため、なんとなくQRS幅が延長しそうだと考えるかもしれません。混同注意:脚ブロックや心室内伝導障害によるQRS幅延長と混同しやすいです。
- 3. 完全右脚ブロックでは、右脚の伝導遅延によりQRS波の幅が延長し、V1誘導でrSR'型、V6誘導で幅広いS波などの特徴的なQRS波形を呈します。PR時間短縮はWPW症候群などの副伝導路を持つ場合にみられる所見であり、完全右脚ブロックとは関連しません。正しくは:完全右脚ブロックでは、QRS幅延長と特徴的なQRS波形(V1でrSR'型など)が認められます。PR時間短縮はWPW症候群などで見られます。選びやすい理由:心電図の各波形や時間との関連が曖昧だと、間違った組み合わせを選んでしまう可能性があります。混同注意:WPW症候群やその他の疾患によるPR時間異常と混同しやすいです。
- 4. WPW症候群では、副伝導路による心室の早期興奮(デルタ波)とPR時間の短縮が特徴的な心電図所見です。QT時間の異常は、WPW症候群の直接的な特徴ではありません。QT時間延長はトルサード・ド・ポアンツなどの重篤な不整脈リスクを示唆し、QT時間短縮は一部のチャネル病で見られます。正しくは:WPW症候群では、PR時間短縮とデルタ波が特徴的です。QT時間の異常は直接的な関連はありません。選びやすい理由:WPW症候群が心電図に異常を来す疾患であるため、何らかの時間異常があると思い込んでしまうかもしれません。混同注意:PR時間短縮やデルタ波といったWPW症候群の本来の所見、あるいは他の疾患のQT時間異常と混同しやすいです。
- 5. 正解。心房細動は、心房内で無秩序な電気活動が生じることで、規則的なP波が消失し、代わりに細動波(f波)が出現します。この無秩序な活動が房室結節を介して心室に不規則に伝わるため、QRS波の出現間隔(RR間隔)が完全に不規則になることが特徴です。
国試ポイント
心電図所見と疾患の典型的な組み合わせを正確に覚えているかどうかが問われています。特に、各波形や時間間隔の異常がどの疾患と関連するか、その基本を理解している必要があります。誤答選択肢は、一部関連する心電図異常を持つ疾患や、波形・時間に対する誤った知識を狙ったものが多いです。
混同注意
QRS幅延長とPR時間短縮、QT時間延長・短縮など、様々な時間的異常が多くの疾患でみられるため、それぞれの疾患における特徴的な所見を正確に区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
疾患名が与えられたときに、その疾患で最も特徴的な心電図所見を想起できるか。あるいは、心電図所見が提示されたときに、その所見から推測される主要な疾患を複数挙げられるか。心電図の各要素(P波、QRS波、T波、PR時間、QRS幅、QT時間、RR間隔)の異常が何を意味するかを判断する。
関連知識
各心電図波形の生理的意義(P波:心房興奮、QRS波:心室興奮、T波:心室再分極など)、PR時間、QRS幅、QT時間の基準値と、それが延長・短縮する主な原因疾患。心房細動以外の不整脈(心房粗動、心室頻拍、心室細動など)の心電図所見。房室ブロックの各病型(Ⅰ度、Ⅱ度MobitzⅠ型/Ⅱ型、Ⅲ度)の心電図特徴。