トレッドミル運動負荷心電図検査で直ちに負荷を中止しなければならないのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・3番
解説
トレッドミル運動負荷心電図検査において、多源性心室性期外収縮の出現や、心筋虚血を示唆するST部分の有意な変化(特に水平型または下降型の0.1mV以上の低下)は、重篤な心イベントに繋がりうるため、直ちに負荷を中止すべき重要な基準です。QRS幅の0.08秒やPR時間の生理的な短縮、運動による心拍数増加は通常、中止の理由にはなりません。
選択肢ごとの解説
- 1. QRS幅の0.08秒は正常範囲内であり、直ちに負荷を中止する理由にはなりません。通常、QRS幅の延長(例:0.12秒以上)は心室内伝導障害を示唆することがありますが、これ自体が緊急の中止基準とは限りません。正しくは:QRS幅の正常範囲は0.06〜0.10秒であり、0.08秒は問題ない。選びやすい理由:心電図変化であるため、異常と捉えやすいかもしれない。混同注意:広範囲QRS(0.12秒以上)や、運動誘発性の伝導異常(脚ブロックの新規出現など)と混同しやすいが、0.08秒は正常である。
- 2. 正解。多源性心室性期外収縮は、心筋の電気的安定性が低下していることを示唆し、より重篤な不整脈(心室頻拍や心室細動)に移行するリスクがあるため、直ちに負荷を中止すべき緊急中止基準の一つです。
- 3. 正解。運動負荷中に0.2 mV以上の水平型または下降型のST低下がみられた場合は、心筋虚血を示す所見として負荷を中止します。0.5 mVの水平型ST低下は明らかな中止基準に当たります。
- 4. 運動負荷心電図検査では、運動によって心拍数が増加するのは生理的な反応です。130/分は運動時心拍数として通常の範囲であり、目標心拍数に達していない限り、これ自体が負荷中止の理由にはなりません。重篤な徐脈や頻拍、または目標心拍数を著しく超える場合が中止基準となります。正しくは:運動負荷検査の目的の一つは、目標心拍数に達するまで運動を続けることであり、生理的な心拍数増加は異常ではない。選びやすい理由:心拍数の変化を異常と捉えやすい。混同注意:目標心拍数達成、あるいは過剰な頻脈と混同しやすい。目標心拍数に達した場合、あるいは心拍数が異常に速い場合(例:220-年齢を超過)は中止を検討するが、130/分は一般的である。
- 5. PR時間は心房から心室への伝導時間を表し、運動時に心拍数が増加すると自律神経系の影響で伝導が促進され、PR時間が短縮することがありますが、これは生理的な反応であり、直ちに負荷を中止する理由にはなりません。WPW症候群など特殊なケースを除き、PR時間自体の短縮は異常とはされません。正しくは:PR時間の短縮は、運動による生理的な心拍数増加に伴う伝導促進で起こりうる正常な変化である。選びやすい理由:心電図の各波形・間隔の変化は異常に繋がりやすいため、選択肢として目を引きやすい。混同注意:PR時間の異常延長(ブロック)や、QT時間の延長と混同しやすいが、PR時間の短縮は通常問題ない。
国試ポイント
運動負荷試験における緊急中止基準を正確に理解しているかを問う問題です。特に、心筋虚血や重篤な不整脈の前兆となる心電図変化を識別できる知識が求められます。
混同注意
生理的な心電図変化と病的な心電図変化の区別、特に軽度のST変化や不整脈の種類の重症度に関する知識が混同されやすい点です。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が問われた場合、それぞれの選択肢がなぜ中止基準になるのか(あるいはならないのか)を、心電図の生理学的・病理学的意味と照らし合わせて判断します。特に、ST変化の種類(水平型、下降型、上昇型)と程度の違い、不整脈の危険度(単源性期外収縮と多源性/連発性期外収縮の区別)に注目して判断します。
関連知識
運動負荷心電図検査の目的、禁忌、陽性所見の定義、そして主要な緊急中止基準(例:胸痛、血圧低下、著しいST変化、重篤な不整脈、失神など)。