間接抗グロブリン試験による不規則抗体スクリーニングのカラム凝集像(別冊No. 17)を別に示す。考えられるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
下に示すカラム凝集像は、カラム内で赤血球が凝集している状態を示しています。間接抗グロブリン試験による不規則抗体スクリーニングは、患者血清(血漿)中の不規則抗体と、既知の抗原を持つスクリーニング用赤血球を反応させ、その後に抗ヒトグロブリン試薬を加えて凝集の有無を確認するものです。カラム凝集法では、凝集した赤血球はカラム上部に留まり、凝集しない赤血球はカラム底部に沈降します。したがって、この画像に見られるカラム上部での凝集は、被検者が不規則抗体を保有していることを明確に示しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 連銭形成は赤血球がコインを重ねたように並ぶ現象であり、血液型判定などで偽凝集として観察されることがありますが、カラム凝集試験では通常、凝集顆粒の大きさや分布で判定され、連銭形成は直接的な判断基準ではありません。また、画像は凝集を示唆しており、連銭形成とは異なるパターンです。正しくは:この凝集像は連銭形成ではありません。選びやすい理由:偽凝集の一つとして知られているため、凝集と関連付けて選択しやすいかもしれません。混同注意:真の抗原抗体反応による凝集と、タンパク質濃度が高い場合などに起こる連銭形成を混同しやすいです。
- 2. 寒冷凝集反応は通常、低温で起こる自己抗体による凝集で、温めると解離するのが特徴です。間接抗グロブリン試験の不規則抗体スクリーニングは、主に37℃で反応を促進させ、不規則抗体を検出することを目的としています。カラム凝集試験の一般的な操作温度は37℃であり、寒冷凝集反応がこの条件で検出される可能性は低いと考えられます。正しくは:間接抗グロブリン試験の条件では、寒冷凝集反応は通常検出されません。選びやすい理由:自己抗体の一種であるため、不規則抗体と混同して選択しやすいかもしれません。混同注意:寒冷凝集反応は自己抗体の一種ですが、間接抗グロブリン試験の主な検出対象となる不規則抗体(輸血副作用などに関わる)とは性質が異なります。
- 3. 正解。下に示すカラム凝集像では、カラム内に赤血球の凝集が認められます。間接抗グロブリン試験による不規則抗体スクリーニングにおいて凝集が陽性ということは、被検者の血漿中に、提供されたスクリーニング用赤血球と反応する不規則抗体が存在することを示します。正しくは:選択肢は正しい記述です。
- 4. フィブリンの析出は、血液検体の凝固が不完全な場合や、血漿中に微量のフィブリンが存在する場合に起こりえますが、これは赤血球の凝集反応とは異なります。カラム凝集試験における凝集像は、抗原抗体反応による赤血球の塊を指し、フィブリン析出物とは形態が異なります。フィブリン析出は、カラム内で赤血球凝集と紛らわしい所見となることもありますが、ここでは明確な赤血球凝集と判断されます。正しくは:観察されているのはフィブリンの析出ではなく、赤血球の凝集です。選びやすい理由:検体の処理不良や凝固の問題が原因で偽陽性となるケースがあるため、その可能性を考えて選択しやすいかもしれません。混同注意:赤血球凝集塊と、凝固不良によるフィブリン塊を見間違える可能性があります。
- 5. 間接抗グロブリン試験の不規則抗体スクリーニングは、主に赤血球表面の抗原に対する抗体を検出するものであり、血小板に対する抗体(抗血小板抗体)は検出対象ではありません。抗血小板抗体の検出には、ELISA法やフローサイトメトリーなど、別の検査法が必要です。正しくは:間接抗グロブリン試験では、抗血小板抗体は検出できません。選びやすい理由:不規則抗体という広い概念から、関連する別の抗体を連想して選択しやすいかもしれません。混同注意:赤血球抗体と血小板抗体という、対象細胞の異なる抗体を混同しやすいです。
国試ポイント
間接抗グロブリン試験(不規則抗体スクリーニング)の原理、特にカラム凝集法における陽性反応の解釈を問う問題です。凝集像からどのような病態が考えられるかを正確に理解しているかが重要となります。他の偽陽性や関連するが異なる抗体との区別もポイントです。
混同注意
連銭形成やフィブリン析出などの偽凝集、あるいは寒冷凝集や抗血小板抗体など、検査原理が異なる、または対象が異なる抗体との鑑別が混同しやすい点です。
次に同じ論点が出たら
今後この論点が出題された場合、カラム凝集法の具体的な凝集パターン(1+から4+など)とそれらが示す意味、あるいは他の血球凝集法との比較(試験管法との違い)が問われる可能性があります。
関連知識
間接抗グロブリン試験の目的と原理(不規則抗体スクリーニング、交差適合試験など)、直接抗グロブリン試験との違い、カラム凝集法の判定基準(陽性、陰性、ミックスフィールド)、不規則抗体の臨床的意義(輸血副作用、溶血性疾患など)。