発作性夜間ヘモグロビン尿症PNHの診断に用いられる抗体はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、造血幹細胞のPIG-A遺伝子変異によりGPIアンカー型蛋白(CD55、CD59など)が細胞表面から欠損する疾患である。GPIアンカー型蛋白は補体制御因子として機能するため、その欠損は補体による赤血球膜障害への脆弱性を高め、血管内溶血を引き起こす。診断には、フローサイトメトリーを用いて赤血球や顆粒球におけるCD55およびCD59の発現低下を検出する。したがって、CD59に対する抗体を用いるのは正しい。
選択肢ごとの解説
- 1. 抗CD4抗体はヘルパーT細胞の同定に用いられ、PNHの診断には直接関係しない。正しくは:PNHの診断にはGPIアンカー型蛋白であるCD55やCD59に対する抗体を用いる。選びやすい理由:CD4はT細胞の主要なマーカーであり、免疫系の疾患でよく登場するため、関連があるように思えるかもしれない。混同注意:リンパ球サブセットの同定。
- 2. 抗CD19抗体はB細胞の同定に用いられ、PNHの診断には直接関係しない。正しくは:PNHの診断にはGPIアンカー型蛋白であるCD55やCD59に対する抗体を用いる。選びやすい理由:CD19はB細胞の主要なマーカーであり、免疫系の疾患でよく登場するため、関連があるように思えるかもしれない。混同注意:リンパ球サブセットの同定、B細胞リンパ腫の診断。
- 3. 抗CD34抗体は造血幹細胞のマーカーであり、PNHの診断には直接関係しない。PNHは造血幹細胞の異常に起因するが、CD34そのものの発現欠損を診断に用いるわけではない。正しくは:PNHの診断にはGPIアンカー型蛋白であるCD55やCD59に対する抗体を用いる。選びやすい理由:PNHが造血幹細胞の異常に起因する疾患であるため、造血幹細胞のマーカーであるCD34に意識が向かいやすい。混同注意:急性白血病の診断、造血幹細胞移植の際の幹細胞数評価。
- 4. 抗CD45抗体は白血球共通抗原であり、ほとんどの造血細胞に発現しているが、PNHの診断特異的なマーカーではない。リンパ球や骨髄系の分化段階の解析には用いられるが、PNHのGPIアンカー型蛋白欠損を直接検出するものではない。正しくは:PNHの診断にはGPIアンカー型蛋白であるCD55やCD59に対する抗体を用いる。選びやすい理由:CD45はフローサイトメトリーでよく用いられるマーカーであり、造血器疾患の検査で頻繁に登場するため。混同注意:白血球の同定、リンパ球・骨髄球のゲーティング。
- 5. 正解。抗CD59抗体は、PNH診断においてフローサイトメトリーで赤血球や顆粒球表面のCD59の発現低下を検出するために用いられる。CD59はGPIアンカー型蛋白であり、PNHではこの蛋白が補体による細胞障害から細胞を保護する役割を果たすため、その欠損が病態の中心となる。選びやすい理由:正しい選択肢であるため、医学的知識があれば迷わず選択できる。
国試ポイント
PNHの病態生理と診断におけるGPIアンカー型蛋白(特にCD55、CD59)の役割を理解すること。
混同注意
PNHの診断マーカーがGPIアンカー型蛋白であることと、造血器腫瘍や免疫不全の診断に用いられる一般的なCDマーカー(CD4、CD19、CD34など)を混同しないこと。
次に同じ論点が出たら
「発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)」のキーワードが出たら、フローサイトメトリーによる「GPIアンカー型蛋白(CD55, CD59)の欠損」を診断の根拠として判断する。
関連知識
PNHの治療薬であるエクリズマブ(補体C5に対するモノクローナル抗体)も合わせて覚える。また、再生不良性貧血との関連性(PNHクローンが再生不良性貧血患者に認められることがある)も重要。