基準範囲に性差を認める血算項目はどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・4番
解説
赤血球数とヘモグロビン濃度は、男性ホルモンによる造血促進作用や女性の月経による出血の影響で、一般的に男性の方が女性よりも高い基準範囲を示します。これに対し、網赤血球比率、平均赤血球容積、平均赤血球ヘモグロビン濃度は、個々の赤血球の形態や機能に関わる指標であり、生理的な性差はほとんど認められません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。男性は女性に比べてアンドロゲン(男性ホルモン)の影響により赤血球産生が促進され、月経による出血もないため、赤血球数は高くなる傾向にあります。
- 2. 網赤血球比率は赤血球の産生速度を示す指標であり、通常の健康状態では男女間で顕著な差は認められません。赤血球数やヘモグロビン濃度とは異なり、産生そのものの割合を見るため性差が出にくいです。正しくは:網赤血球比率に生理的な性差は認められません。選びやすい理由:赤血球数に性差があるため、その前駆細胞である網赤血球にも性差があると思われがちですが、比率として見ると性差は小さいです。混同注意:赤血球数やヘモグロビン濃度などの最終産物の量と混同しやすいです。網赤血球比率は造血能の指標であり、血中の赤血球の絶対量とは直接的な性差を共有しません。
- 3. 平均赤血球容積は個々の赤血球の大きさを示す指標であり、健康な成人において男女間で有意な差は認められません。正しくは:平均赤血球容積に生理的な性差は認められません。選びやすい理由:赤血球数やヘモグロビン濃度に性差があることから、赤血球の形態を示すMCVにも性差があるのではと推測しやすいです。混同注意:赤血球数やヘモグロビン濃度といった「全体量」の性差と、「個々の細胞の大きさ」であるMCVの性差を混同しやすいです。
- 4. 正解。男性は女性に比べてアンドロゲンによる赤血球産生促進や筋肉量の違い、さらに女性には月経による定常的な出血があるため、ヘモグロビン濃度は男性の方が高くなります。
- 5. 平均赤血球ヘモグロビン濃度は、赤血球内のヘモグロビンの割合を示す指標であり、個々の赤血球の飽和度を示します。健康な成人では、この飽和度に男女差は通常認められません。正しくは:平均赤血球ヘモグロビン濃度に生理的な性差は認められません。選びやすい理由:ヘモグロビン濃度に性差があるため、関連するMCHCにも性差があるように思われがちです。混同注意:ヘモグロビン濃度(血液中の総ヘモグロビン量)とMCHC(個々の赤血球中のヘモグロビン濃度)を混同しやすいです。MCHCは赤血球の充填状態を示すため、性差は小さいです。
国試ポイント
血液検査項目の基準範囲における生理的変動(特に性差)に関する知識が問われています。主な血算項目の意味と、性差の有無を正確に理解していることが重要です。
混同注意
赤血球全体の量を示す項目(赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値)と、個々の赤血球の性質を示す項目(MCV, MCH, MCHC, RDWなど)の区別が曖昧だと混乱しやすいです。前者は性差があることが多いですが、後者は少ない傾向にあります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず各項目が「血液中の量」を示すのか「個々の細胞の特性」を示すのかを区別し、性ホルモンの影響や生理的イベント(月経など)が関連するかどうかで判断します。
関連知識
性差以外にも、年齢、人種、生活習慣、測定法など、基準範囲に影響を与える様々な要因について理解しておくことが望ましいです。特に小児期や高齢期における基準範囲の変動も重要です。