血漿鉄消失時間の測定結果(別冊No. 9)を別に示す。考えられるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
再生不良性貧血では、骨髄の造血能が著しく低下しているため、血漿中の鉄が赤芽球へ取り込まれる速度が遅くなります。これにより、血漿鉄の消失が遅延し、血漿鉄消失時間(PIT)は延長します。提示されたグラフは、血漿鉄の消失が著しく遅延している様子を示しており、これは再生不良性貧血に特徴的な所見です。
選択肢ごとの解説
- 1. 鉄欠乏性貧血では、鉄利用が亢進しているため血漿鉄消失時間は短縮します。正しくは:鉄欠乏性貧血では血漿鉄消失時間が短縮します。選びやすい理由:貧血である点から選択肢に入りやすいですが、グラフは延長を示しているため異なります。混同注意:再生不良性貧血と鉄欠乏性貧血の血漿鉄動態の違いを混同しやすいです。
- 2. 巨赤芽球性貧血では、赤芽球への無効造血により鉄利用効率が悪いため、血漿鉄消失時間は短縮または正常を示します。ただし、赤血球への鉄取り込みは不良なので、骨髄での鉄利用そのものは亢進していません。正しくは:巨赤芽球性貧血では血漿鉄消失時間は正常から短縮します。選びやすい理由:これも貧血の一種であるため選びやすいですが、血漿鉄消失時間の延長とは結びつきません。混同注意:再生不良性貧血と同様に骨髄機能低下による貧血と誤解し、鉄利用の遅延と結びつけてしまうかもしれません。
- 3. 正解。再生不良性貧血では、骨髄の造血能が低下しているため、血漿から骨髄への鉄の取り込みが著しく遅延します。このため、血漿鉄消失時間(PIT)は延長します。下図のグラフは血漿鉄がなかなか消失しない、すなわちPITが延長している状態を示しています。選びやすい理由:グラフの延長が造血機能の低下と直接結びつくため、正しい選択肢として判断しやすいです。混同注意:他の貧血における鉄代謝異常と混同しないように注意が必要です。
- 4. 二次性赤血球増加症では、赤血球産生が亢進しているため、骨髄での鉄利用が増加し、血漿鉄消失時間は短縮します。正しくは:二次性赤血球増加症では血漿鉄消失時間が短縮します。選びやすい理由:多血症と貧血は対極の病態であるため、誤って選択することは少ないでしょう。混同注意:再生不良性貧血とは全く異なる病態であり、血漿鉄消失時間の動態も逆方向です。
- 5. 自己免疫性溶血性貧血では、赤血球破壊が亢進する一方で、代償性に骨髄での赤血球産生が亢進します。このため、鉄の利用も促進され、血漿鉄消失時間は短縮します。正しくは:自己免疫性溶血性貧血では血漿鉄消失時間が短縮します。選びやすい理由:溶血性貧血という貧血である点から選びやすいですが、造血機能は亢進しています。混同注意:骨髄の造血能が低下している再生不良性貧血と、亢進している溶血性貧血の鉄動態を混同しやすいです。
国試ポイント
血漿鉄消失時間(PIT)の測定結果から、各種貧血の病態生理を理解しているか問う問題です。特に、骨髄の造血能と鉄利用の関係性を把握していることが重要です。
混同注意
鉄欠乏性貧血や溶血性貧血、巨赤芽球性貧血などの他の貧血におけるPITの動態と混同しやすいです。それぞれの貧血での骨髄の造血状態、鉄利用効率、鉄貯蔵量などを明確に区別して理解する必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まずグラフの縦軸(血漿鉄濃度)と横軸(時間)を確認し、血漿鉄が速やかに消失しているのか、あるいは長時間残存しているのかを判断します。次に、その動態がどの病態(特に骨髄の造血状態)と関連するかを考えます。
関連知識
血漿鉄消失時間(PIT)の測定原理、<sup>59</sup>Feまたは<sup>52</sup>Feを用いた検査。様々な貧血における血漿鉄消失時間の変動(例:鉄欠乏性貧血では短縮、溶血性貧血では短縮、無効造血では短縮または正常、再生不良性貧血では延長)。