Holter心電図が診断に有用でないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
ホルター心電図は、長時間にわたる心電図を記録することで、通常の心電図検査では捉えにくい間欠的な不整脈や虚血性変化、自律神経活動の変化などを検出する検査です。選択肢1〜4は、発作性の症状や間欠的な心電図変化を特徴とする疾患であり、ホルター心電図が診断に極めて有用です。一方、大動脈弁閉鎖不全は心臓の構造的な異常(弁の機能不全)が主たる病態であり、診断には心エコー検査が最も重要です。ホルター心電図は合併する不整脈を検出することはできますが、弁膜症自体の診断には直接的には役立ちません。
選択肢ごとの解説
- 1. 異型狭心症は安静時や早朝に冠攣縮による胸痛発作を起こすことが多いため、24時間記録するホルター心電図でST上昇や不整脈の検出が有用です。正しくは:ホルター心電図は異型狭心症の診断に有用です。選びやすい理由:狭心症の一種なので負荷心電図の方が有効だと誤解するかもしれない。混同注意:労作性狭心症と異型狭心症の病態生理学的違い。
- 2. Brugada症候群は、特徴的な心電図波形(V1-V3誘導のcoved型ST上昇)が間欠的に出現し、致死性不整脈(心室細動)を来すリスクがあるため、ホルター心電図でその波形の出現や不整脈の有無を評価することが診断に役立ちます。正しくは:ホルター心電図はBrugada症候群の診断に有用です。選びやすい理由:遺伝性疾患であるため、心電図の異常は常に存在すると誤解し、ホルター心電図の有用性を低く見積もる可能性がある。混同注意:他の遺伝性不整脈疾患。
- 3. 発作性心房細動は、自覚症状が間欠的に出現し、通常心電図では捉えきれないことが多いため、ホルター心電図で発作の頻度、持続時間、心拍数を評価することが診断と治療方針決定に不可欠です。正しくは:ホルター心電図は発作性心房細動の診断に有用です。選びやすい理由:発作性であるため通常の心電図では捕捉しにくいが、ホルター心電図でも24時間で捉えきれない場合があると思いがち。混同注意:持続性心房細動や慢性心房細動。
- 4. 発作性上室頻拍も、突然始まる動悸などの症状を伴い、発作が非持続性であるため、ホルター心電図で発作時の心拍数や波形を捉えることが診断に極めて重要です。正しくは:ホルター心電図は発作性上室頻拍の診断に有用です。選びやすい理由:上室性であるため、心室性不整脈に比べて危険度が低いと捉え、ホルター心電図の必要性を低く見積もるかもしれない。混同注意:心室頻拍や他の上室性不整脈。
- 5. 正解。大動脈弁閉鎖不全は心臓弁膜症であり、心臓の構造的異常や血行動態の変化が主病態です。ホルター心電図は心電図の異常を検出する検査であり、弁膜症の重症度評価や直接的な診断には心エコー検査が最も有用です。ホルター心電図で不整脈が合併している場合は検出できますが、病態の中心ではありません。正しくは:ホルター心電図は大動脈弁閉鎖不全の診断に直接的に有用ではありません。選びやすい理由:心疾患全般に心電図が関連するため、選択肢から除外しにくい。心拡大による不整脈などを想定して、間接的な関連を考えてしまうかもしれない。混同注意:心筋症や虚血性心疾患など、心電図で異常を捉えやすい他の心疾患。
国試ポイント
ホルター心電図がどのような疾患の診断に有用であるか(特に発作性・間欠性の病態)、また、他の画像診断が優先される構造的疾患との区別を問う問題です。各検査法の適応とその限界を理解しているかが試されます。
混同注意
ホルター心電図が有用な不整脈疾患と、構造的疾患(弁膜症、心筋症など)の区別。特に、弁膜症によって二次的に不整脈が発生する場合があるため、その点と弁膜症の直接診断を混同しない。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の問題が出た場合、まず提示された疾患が「心電図で捉えられる電気的異常や虚血性変化」を主とするものか、「心臓の構造的異常」を主とするものかを判断する。構造的異常が主であれば、心エコーなどの画像診断が優先される可能性が高いと考える。
関連知識
ホルター心電図の適応疾患(不整脈の診断と重症度評価、失神の原因検索、狭心症の診断と治療効果判定、ペースメーカー機能評価など)。心エコー検査の適応疾患(弁膜症、心筋症、心拡大、心機能評価など)。