Escherichia coliを対象に実施した薬剤耐性の確認試験(別冊No. 15)を別に示す。検出目的のβ-ラクタマーゼはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
下に示す画像は、大腸菌における基質拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)の検出試験、特にダブルディスクシナジーテスト(DDST)またはその類似法を示唆しています。この試験では、セフォタキシム(CTX)やセフトリアキソン(CTX)といった第3世代セファロスポリン系抗菌薬のディスクと、クラブラン酸(CVA)含有アモキシシリン(AMC)ディスクなどを組み合わせて使用します。ESBL産生菌の場合、セファロスポリン系抗菌薬ディスクとクラブラン酸含有ディスクの間に阻止円の拡大(相乗効果)が認められます。これは、ESBLがクラブラン酸によって阻害され、セファロスポリン系抗菌薬の効果が回復するためです。したがって、この試験の検出目的は基質拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)です。
選択肢ごとの解説
- 1. オキサシリナーゼは主にブドウ球菌が産生し、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の耐性機序として重要です。大腸菌で検出される主要なβ-ラクタマーゼではありません。正しくは:この薬剤耐性確認試験で大腸菌に検出される可能性のあるβ-ラクタマーゼは、選択肢2のような基質拡張型β-ラクタマーゼです。選びやすい理由:ブドウ球菌のβ-ラクタマーゼとして知られているため、一般的な知識として選んでしまう可能性があります。混同注意:ペニシリナーゼの一種ですが、大腸菌でターゲットとなるβ-ラクタマーゼとは異なります。
- 2. 正解。大腸菌における薬剤耐性確認試験で、セフォタキシムやセフトリアキソンなどの第3世代セファロスポリン系薬剤に対する耐性と、クラブラン酸などのβ-ラクタマーゼ阻害剤との相乗効果が確認された場合、基質拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)の産生が強く示唆されます。ESBLは、ペニシリン系や第1~第3世代セファロスポリン系薬剤を加水分解する能力を持ちます。
- 3. セファロスポリナーゼ(AmpC型β-ラクタマーゼなど)は第3世代セファロスポリンに対する耐性を示すことがありますが、一般的にβ-ラクタマーゼ阻害剤(クラブラン酸など)による増強効果は認められません。下図のような試験では、ESBLとの鑑別が重要です。正しくは:ESBLはβ-ラクタマーゼ阻害剤(例:クラブラン酸)との相乗効果が見られますが、AmpC型セファロスポリナーゼは通常見られません。選びやすい理由:第3世代セファロスポリンへの耐性を示すため、選択肢として魅力的ですが、阻害剤との相乗効果の有無でESBLと区別されます。混同注意:ESBLとAmpC型β-ラクタマーゼは、セファロスポリンへの耐性という点で混同しやすいですが、阻害剤感受性で鑑別されます。
- 4. ペニシリナーゼはペニシリン系薬剤を加水分解しますが、第3世代セファロスポリン系薬剤には通常作用しません。ESBLはペニシリン系だけでなく、より広範囲のβ-ラクタム系薬剤を分解します。正しくは:ESBLはペニシリナーゼよりも基質特異性が広いです。選びやすい理由:β-ラクタマーゼの一般的なタイプとして知られているため、知識があいまいな場合に選ばれる可能性があります。混同注意:ESBLもペニシリンを分解しますが、単なるペニシリナーゼよりも広範な薬剤に作用します。
- 5. メタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)はカルバペネム系薬剤に対する耐性に関与し、金属イオン(亜鉛など)を必要とする特徴があります。ESBLとは異なる酵素群であり、このタイプの試験で検出される主要なターゲットではありません。ESBLは主に第3世代セファロスポリン系薬剤の耐性に関与します。正しくは:メタロ-β-ラクタマーゼはカルバペネム系薬剤の耐性に関与します。この試験は主にESBLの検出を目的としています。選びやすい理由:近年注目されている多剤耐性菌の耐性機序であるため、最新の知識として選びたくなるかもしれません。混同注意:カルバペネム耐性菌の耐性機序であり、ESBLとは対象となる薬剤が異なります。
国試ポイント
大腸菌などの腸内細菌科細菌における多剤耐性菌、特にESBL産生菌の検出原理と関連するβ-ラクタマーゼの種類について問う問題です。臨床検査技師国家試験では、薬剤耐性菌の具体的な検査法(DDSTなど)と、それによって検出されるβ-ラクタマーゼの種類を結びつける知識が求められます。各β-ラクタマーゼの基質特異性や阻害剤感受性、代表的な産生菌種を理解しているかがポイントになります。
混同注意
ESBLとAmpC型セファロスポリナーゼ、メタロ-β-ラクタマーゼとの鑑別が混同しやすい点です。ESBLはβ-ラクタマーゼ阻害剤(クラブラン酸など)で活性が阻害されることで阻止円の拡大が見られるのに対し、AmpC型セファロスポリナーゼは阻害剤で阻害されにくく、メタロ-β-ラクタマーゼはカルバペネム系薬剤の耐性に関与し、EDTAなどのキレート剤で阻害される特徴があります。
次に同じ論点が出たら
同様の画像問題が出た場合、まず試験に使用されている薬剤の種類(特にβ-ラクタム系と阻害剤の組み合わせ)を確認し、阻止円の形状(特に相乗効果の有無)から検出されている耐性メカニズムを判断します。特に大腸菌を対象としている場合は、ESBLの可能性を第一に考えます。
関連知識
β-ラクタマーゼの分類(Ambler分類、Bush-Jacoby-Medeiros分類)、薬剤耐性菌の検出法(DDST、E-test ESBL Stripなど)、主要な多剤耐性菌(MRSA, VRE, ESBL産生菌, MBL産生菌)の概要とその耐性機序、各β-ラクタム系抗菌薬の作用機序と世代間の違い。