3種類の濃度のADPを用いた血小板凝集能検査(透過光法)の結果(別冊No. 14)を別に示す。誤っているのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
プロスタサイクリンは血小板凝集を抑制する物質であり、主に血管内皮細胞から放出されます。血小板凝集反応において血小板自身から放出されるのは、凝集を促進するADP、セロトニン、トロンボキサンA2などです。したがって、カーブAでプロスタサイクリンが血小板から放出されているという記述は誤りです。
選択肢ごとの解説
- 1. 低濃度のADPでは、弱い一次凝集のみが起こり、その後凝集塊が不安定になり解離することが観察されます。これは正常な生理的反応です。選びやすい理由:一見すると凝集が弱く異常に見えるかもしれませんが、低濃度ADPでの一次凝集と解離は正常な反応です。混同注意:病的な血小板機能低下と混同する可能性があります。
- 2. 正解。プロスタサイクリンは血小板凝集を抑制する物質であり、血管内皮細胞から放出されます。血小板自体から凝集を抑制するプロスタサイクリンが放出されるわけではありません。むしろ血小板凝集反応ではトロンボキサンA2などが放出され、凝集を促進します。正しくは:カーブBやCの二次凝集では、ADPやセロトニン、トロンボキサンA2などが血小板から放出され、さらなる凝集を促進します。選びやすい理由:プロスタサイクリンが血小板機能に関与する物質であるため、関連があるように思えるかもしれませんが、放出源と役割が異なります。混同注意:プロスタサイクリンとトロンボキサンA2の役割や産生部位を混同しやすいです。プロスタサイクリンは凝集抑制、トロンボキサンA2は凝集促進です。
- 3. 中濃度以上のADPによる二次凝集では、血小板活性化によりADP、セロトニン、トロンボキサンA2などの血小板活性化物質が顆粒から放出され、これが凝集をさらに促進します。トロンボキサンA2は強力な血小板凝集促進作用と血管収縮作用を持ちます。選びやすい理由:二次凝集のメカニズムを理解していれば正しいと判断できます。混同注意:二次凝集に関わる物質の種類を覚えていないと、判断に迷うかもしれません。
- 4. 中濃度のADPを添加すると、一次凝集に続き、血小板からADPやセロトニン、トロンボキサンA2などが放出され、さらに強い二次凝集が起こります。グラフBの二段階の上昇は二次凝集の特徴です。選びやすい理由:二次凝集の典型的な波形を理解していれば、正しいと判断できます。混同注意:一次凝集と二次凝集の区別がついていないと誤解する可能性があります。
- 5. 血小板凝集の最終段階では、活性化された血小板表面のGPIIb/IIIa受容体にフィブリノゲンが結合し、これが隣接する血小板と橋渡しをすることで強固な凝集塊が形成されます。高濃度ADPではこの機構が強く働くため、迅速で安定した凝集が見られます。選びやすい理由:血小板凝集の生理学的なメカニズムを理解していれば正しいと判断できます。混同注意:フィブリノゲンとフォン・ヴィレブランド因子など、凝集に関わる因子の役割を混同する可能性があります。
国試ポイント
本問題は、血小板凝集能検査(透過光法)のグラフの読み取り能力と、血小板凝集に関わる生理活性物質(特にプロスタサイクリンとトロンボキサンA2)の役割および産生部位に関する知識を問うものです。各濃度のADPによって生じる凝集の特徴(一次凝集、二次凝集、解離の有無)と、それに伴う生化学的変化を理解しているかが重要です。
混同注意
プロスタサイクリンとトロンボキサンA2の役割(抑制か促進か)と産生細胞(血管内皮細胞か血小板か)が混同されやすいです。また、ADP濃度による凝集波形の変化(一次凝集のみ、二次凝集の出現)も誤解しやすい点です。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出た場合、血小板凝集曲線のどの部分にどのような生理活性物質が関与しているか、またそれらの物質がどこで産生されるかを正確に判断することが求められます。特に、プロスタサイクリンとトロンボキサンA2の対比、および血小板から放出される促進物質の具体的な名称と役割に注目して判断します。
関連知識
血小板凝集のメカニズム(ADP、コラーゲン、トロンビンなどの作用)、血小板活性化経路、顆粒(α顆粒、濃染顆粒)からの内容物放出、GPIIb/IIIa受容体とフィブリノゲン、アスピリンなど抗血小板薬の作用機序(COX-1阻害によるトロンボキサンA2産生抑制)。