BCR-ABL1融合遺伝子が検出されるのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4・5番
解説
BCR-ABL1融合遺伝子は、t(9;22)(q34;q11)染色体転座によって形成される異常遺伝子で、フィラデルフィア染色体(Ph染色体)として知られています。この遺伝子は、チロシンキナーゼ活性を持ち、細胞の異常な増殖を引き起こします。慢性骨髄性白血病(CML)のほぼ全例で検出され、診断に不可欠なマーカーです。また、急性リンパ性白血病(ALL)の一部(特に成人ALLの約25%)でも検出され、「Ph陽性ALL」として分類されます。この型のALLは予後不良とされ、治療方針の決定に重要な情報となります。一方、原発性骨髄線維症、真性赤血球増加症、本態性血小板血症といったPh陰性骨髄増殖性腫瘍では、主にJAK2、CALR、MPL遺伝子変異が検出され、BCR-ABL1融合遺伝子は通常検出されません。
選択肢ごとの解説
- 1. 原発性骨髄線維症では、JAK2 V617F変異、CALR変異、MPL変異などが検出されることが多いですが、BCR-ABL1融合遺伝子は通常検出されません。正しくは:原発性骨髄線維症ではJAK2 V617F変異などがみられる。選びやすい理由:他の骨髄増殖性腫瘍との鑑別が曖昧な場合に選びやすいかもしれません。混同注意:他の骨髄増殖性腫瘍における遺伝子変異(JAK2、CALR、MPL)とBCR-ABL1融合遺伝子を混同している可能性があります。
- 2. 真性赤血球増加症のほとんどの症例でJAK2 V617F変異が検出されますが、BCR-ABL1融合遺伝子は検出されません。正しくは:真性赤血球増加症ではJAK2 V617F変異がみられる。選びやすい理由:骨髄増殖性腫瘍の一つであるため、遺伝子異常を持つ疾患として連想されるかもしれませんが、特異的な遺伝子変異は異なります。混同注意:JAK2変異とBCR-ABL1融合遺伝子を混同している可能性があります。
- 3. 本態性血小板血症では、JAK2 V617F変異、CALR変異、MPL変異などが検出されますが、BCR-ABL1融合遺伝子は検出されません。正しくは:本態性血小板血症ではJAK2 V617F変異などがみられる。選びやすい理由:血小板数増加を特徴とする骨髄増殖性腫瘍であり、何らかの遺伝子異常が存在するという点で選択肢として浮上するかもしれませんが、BCR-ABL1とは関係ありません。混同注意:他の骨髄増殖性腫瘍における遺伝子変異(JAK2、CALR、MPL)とBCR-ABL1融合遺伝子を混同している可能性があります。
- 4. 正解。慢性骨髄性白血病(CML)は、t(9;22)(q34;q11)転座によって生じるBCR-ABL1融合遺伝子が診断に必須の遺伝子異常であり、フィラデルフィア染色体として知られています。
- 5. 正解。急性リンパ性白血病(ALL)の一部、特に成人ALLの約25%でBCR-ABL1融合遺伝子が検出されることがあります。この型のALLは「Ph陽性ALL」と呼ばれ、予後や治療法選択に重要な因子となります。
国試ポイント
BCR-ABL1融合遺伝子(フィラデルフィア染色体)は、慢性骨髄性白血病の非常に重要な診断マーカーであると同時に、急性リンパ性白血病の一部でも検出されることを正確に理解しているかが問われています。特に、骨髄増殖性腫瘍における主要な遺伝子異常(JAK2 V617F、CALR、MPL変異)とBCR-ABL1融合遺伝子を区別し、それぞれの疾患との関連性を把握しておく必要があります。
混同注意
骨髄増殖性腫瘍(MPN)に共通してみられる遺伝子変異(JAK2 V617F、CALR、MPL)と、BCR-ABL1融合遺伝子を混同しやすいです。また、BCR-ABL1融合遺伝子が「慢性骨髄性白血病に特異的」と強く認識されがちですが、急性リンパ性白血病の一部でも見られることを忘れると、2つ選ぶ問題で迷う可能性があります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、BCR-ABL1融合遺伝子と他の主要な遺伝子変異(JAK2 V617F、CALR、MPLなど)がどの血液疾患に特徴的であるかを正確に答えられるかを確認する必要があります。また、BCR-ABL1融合遺伝子が単にCMLだけでなく、ALLの一部でも検出される点を覚えているかどうかが問われる可能性もあります。
関連知識
・フィラデルフィア染色体(Ph染色体)の由来と意義。・慢性骨髄性白血病(CML)の病態生理と分子標的薬(イマチニブなどのチロシンキナーゼ阻害薬)。・急性リンパ性白血病(ALL)におけるBCR-ABL1融合遺伝子の意義と予後。・他の骨髄増殖性腫瘍(真性赤血球増加症、本態性血小板血症、原発性骨髄線維症)における主要な遺伝子異常(JAK2 V617F、CALR、MPL変異)。・白血病の分類と診断における遺伝子検査の重要性。