メチシリン耐性黄色ブドウ球菌〈MRSA〉で誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
MRSAのメチシリン耐性は、mecA遺伝子によってペニシリン結合タンパク質2'(PBP2')が産生されることが主要なメカニズムである。これにより、従来のβ-ラクタム系抗菌薬がPBPに結合できなくなり、耐性が発現する。一方、基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)は、主に大腸菌や肺炎桿菌などのグラム陰性桿菌が産生する酵素であり、セファロスポリン系抗菌薬を加水分解することで耐性を付与する。MRSAは黄色ブドウ球菌というグラム陽性球菌であり、ESBLを産生しないため、選択肢5が誤りである。
選択肢ごとの解説
- 1. この記述は正しい。MRSAはmecA遺伝子を保有しており、これによりペニシリン結合タンパク質2'(PBP2')を産生し、メチシリンを含む多くのβ-ラクタム系抗菌薬に耐性を示す。
- 2. この記述は正しい。MRSAは病院内で問題となる院内感染型(HA-MRSA)だけでなく、近年では市中で健康な人に感染を起こす市中感染型(CA-MRSA)も存在する。
- 3. この記述は正しい。MRSA感染症の治療には、グリコペプチド系抗菌薬であるバンコマイシンが第一選択薬として広く用いられる。
- 4. この記述は正しい。MRSAのメチシリン耐性スクリーニング検査において、セフォキシチンはmecA遺伝子の発現を誘導する能力が高く、オキサシリンよりも感度・特異度の高い指標として推奨されている。
- 5. 正解。この記述は誤りである。MRSAのメチシリン耐性の主なメカニズムはmecA遺伝子によるPBP2'の産生であり、ESBLの産生ではない。ESBLは主に大腸菌や肺炎桿菌などのグラム陰性桿菌が産生する酵素で、セファロスポリン系抗菌薬への耐性に関与する。正しくは:MRSAはmecA遺伝子によりPBP2'を産生することで、多くのβ-ラクタム系抗菌薬に耐性を示す。選びやすい理由:多剤耐性菌の耐性メカニズムの一種であるため、他の多剤耐性菌(ESBL産生菌など)と混同し、MRSAもESBLを産生すると誤解しやすい。混同注意:グラム陽性菌であるMRSAの耐性機序と、主にグラム陰性桿菌で問題となるESBL産生による耐性機序とを混同しやすい。また、β-ラクタム系抗菌薬への耐性という共通点から、具体的な酵素や遺伝子の違いを理解していないと誤答しやすい。
国試ポイント
MRSAに関する基本的な知識(耐性機序、疫学、診断、治療)を問う問題であり、特に他の主要な多剤耐性菌(ESBL産生菌など)との耐性機序の違いを正確に理解しているかが試される。
混同注意
MRSAとESBL産生菌の耐性機序、およびそれぞれの菌種(グラム陽性球菌とグラム陰性桿菌)の区別。多剤耐性菌全般の知識と、それぞれの菌種に特異的な耐性メカニズムの混同。
次に同じ論点が出たら
次回同様の論点が出題された場合、他の主要な多剤耐性菌(VRE、ESBL産生菌、カルバペネマーゼ産生菌など)の耐性機序、主要な菌種、診断方法、治療薬について、MRSAと比較しながら正確に区別し、理解しているかを問われる可能性がある。特に、グラム陽性菌とグラム陰性菌の耐性機序の違いに注目すること。
関連知識
MRSAの定義、mecA遺伝子、PBP2'の役割、HA-MRSAとCA-MRSA、MRSA治療薬(バンコマイシン、テイコプラニン、リネゾリドなど)、MRSA検出・感受性試験法(セフォキシチンディスク拡散法、オキサシリンMIC法、mecA遺伝子検出)。ESBLの定義、ESBL産生菌の種類(大腸菌、肺炎桿菌など)、ESBLの耐性機序。その他、VRE、PRSPなどの多剤耐性菌の耐性機序についても関連知識として重要である。