末梢血のMay-Giemsa染色標本(別冊No. 10)を別に示す。この疾患で認められる検査所見はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
図1のMay-Giemsa染色標本では、赤血球が球状に濃染しており、中心淡明部が消失している球状赤血球が多数観察される。この所見は遺伝性球状赤血球症を示唆する。遺伝性球状赤血球症では赤血球の膜タンパク質異常により膜が不安定になり、浸透圧脆弱性が亢進するため、赤血球の浸透圧抵抗性は減弱する。
選択肢ごとの解説
- 1. 赤血球におけるCD59の欠損は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に特徴的な検査所見である。PNHでは補体制御タンパク質であるCD55とCD59が欠損し、補体による溶血が起こる。画像所見とは異なる。正しくは:発作性夜間ヘモグロビン尿症の検査所見。選びやすい理由:溶血性貧血の一種であり、鑑別疾患として関連があるため。混同注意:発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)
- 2. ADAMTS13活性の著しい低下は、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)に特徴的な検査所見である。TTPはADAMTS13の機能不全により超高分子量フォン・ヴィルブランド因子(ULVWF)が分解されず、血小板血栓が形成される病態である。画像所見とは異なる。正しくは:血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の検査所見。選びやすい理由:溶血性貧血を伴う疾患であり、末梢血で赤血球破砕を伴うこともあるため。混同注意:血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
- 3. 正解。画像で観察される球状赤血球は、遺伝性球状赤血球症に特徴的な形態異常である。遺伝性球状赤血球症では、赤血球膜の異常により浸透圧に対する脆弱性が増し、浸透圧抵抗性が減弱する。これは診断上重要な所見である。選びやすい理由:正答であるため。
- 4. 血清βリポタンパクの低値は、無βリポタンパク血症に特徴的な検査所見である。これは脂質代謝異常症であり、赤血球形態は有棘赤血球となることが知られている。画像所見の球状赤血球とは異なる。正しくは:無βリポタンパク血症の検査所見。選びやすい理由:遺伝性の疾患であり、血液細胞の形態異常を伴うため。混同注意:無βリポタンパク血症
- 5. ヘモグロビンS(HbS)陽性は、鎌状赤血球症に特徴的な検査所見である。HbSは低酸素状態や脱水などで重合し、赤血球を鎌状に変形させる。画像所見では球状赤血球がみられ、鎌状赤血球ではない。正しくは:鎌状赤血球症の検査所見。選びやすい理由:遺伝性溶血性貧血の一種であり、血液細胞の形態異常を伴うため。混同注意:鎌状赤血球症
国試ポイント
末梢血塗抹標本の所見から遺伝性球状赤血球症を診断し、その病態生理と検査所見を結びつける知識が問われている。特に球状赤血球と浸透圧抵抗性の減弱の関連は重要。
混同注意
他の溶血性貧血(自己免疫性溶血性貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症、G6PD欠損症など)との鑑別。自己免疫性溶血性貧血でも球状赤血球は認められるが、クームス試験陽性で鑑別される。遺伝性球状赤血球症は遺伝性であること、浸透圧抵抗性試験で特徴的な所見を示すことがポイント。
次に同じ論点が出たら
同様の画像問題が出題された場合、球状赤血球の有無をまず確認する。その後、選択肢の中から球状赤血球症の病態生理(浸透圧抵抗性の減弱など)に合致するものを選択する。鑑別すべき疾患の特有な検査所見(例:ADAMTS13活性低下→TTP)も関連付けて覚えておく。
関連知識
遺伝性球状赤血球症は、赤血球膜骨格タンパク質(スペクトリン、アンキリンなど)の異常による常染色体優性遺伝疾患が多い。症状は貧血、黄疸、脾腫の三主徴。合併症として胆石症がある。診断には浸透圧抵抗性試験(MCHC高値も特徴)や、近年ではフローサイトメトリーを用いたエオシン-5-マレイミド(EMA)結合試験が用いられる。