ヤング率〈縦弾性率〉が最も大きいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
ヤング率は材料の硬さを示す指標であり、値が大きいほど変形しにくいことを意味します。生体組織の中で、腱は骨と筋肉を繋ぎ、力を効率的に伝達するために非常に高い引張強度と低い伸展性(高いヤング率)を持つコラーゲン線維が主成分です。他の選択肢の組織は、それぞれ柔軟性や伸展性が必要な役割を担っており、腱ほど高いヤング率は持ちません。
選択肢ごとの解説
- 1. 筋肉は収縮力を生み出す機能があり、ある程度の伸展性も持ちますが、力を伝達・支持する腱ほど高いヤング率は持ちません。筋肉自体のヤング率は、腱に比べて低いです。正しくは:筋肉は腱よりも低いヤング率を持ちます。選びやすい理由:筋肉は強度が高いイメージがあるため、ヤング率も高いと誤解しやすいですが、ここでいうヤング率は『変形のしにくさ(硬さ)』を示します。混同注意:筋肉の『強度』や『収縮力』と、材料力学的な『ヤング率(硬さ)』を混同しやすいです。
- 2. 正解。腱は骨と筋肉を連結し、力を効率的に伝達・支持する役割を担っています。そのため、主にコラーゲン線維で構成されており、非常に高い引張強度と低い伸展性(すなわち高いヤング率)を持つことで、荷重がかかってもほとんど変形しない特性があります。
- 3. 大腸は消化管の一部であり、内容物の輸送や貯留のために蠕動運動を行い、拡張・収縮を繰り返す必要があります。そのため、ある程度の柔軟性が必要であり、腱のような非常に高いヤング率は持ちません。正しくは:大腸は消化管としての機能上、腱ほど高いヤング率は持ちません。選びやすい理由:特定の方向(円周方向)が指定されているため、何かしらの特殊な特性があるように思わせますが、全体としては腱のヤング率には及びません。混同注意:内臓器官の機能的な弾力性(変形しやすさ)と、腱のような構造的な支持機能におけるヤング率(変形のしにくさ)を混同しやすいです。
- 4. 動脈は心臓の拍動に合わせて拡張・収縮を繰り返すことで血液を全身に送り出す役割があります。特に大動脈は弾性血管であり、高い弾力性(エラスチン線維による変形しやすさ)を持つため、腱のように非常に高いヤング率(変形のしにくさ)は持ちません。正しくは:動脈は血液輸送のために柔軟性が必要であり、腱に比べてヤング率は低いです。選びやすい理由:血管の『弾性』という言葉から、高いヤング率を連想しやすいですが、ここでいう弾性は『しなやかさ』や『変形して元に戻る能力』を指し、高いヤング率は『変形しにくい硬さ』を指すため、混同しやすいです。混同注意:血管の『弾力性』と、材料力学的な『ヤング率(硬さ)』の概念を混同しやすいです。
- 5. 肺胞は呼吸に合わせて容易に拡張・収縮し、ガス交換を行う必要があります。そのため、非常に高い柔軟性を持つ必要があり、ヤング率は極めて低いです。正しくは:肺胞はガス交換のために非常に柔軟性が高く、ヤング率は非常に低いです。
国試ポイント
生体組織の物理的特性、特に材料力学的な指標(ヤング率、粘弾性など)に関する知識が問われます。各組織の機能と構造的特徴を結びつけて理解しているかが重要です。
混同注意
生体組織の『弾性』という言葉が、日常的な意味での『しなやかさ』や『変形のしやすさ』と、材料力学的な『ヤング率(変形のしにくさ、硬さ)』で意味が異なることがあるため注意が必要です。動脈の弾力性は高いですが、ヤング率は腱ほど高くありません。
次に同じ論点が出たら
次にこの論点が出題された場合、ヤング率だけでなく、粘弾性、ポアソン比、引張強度、圧縮強度など、他の生体材料力学的特性についても問われる可能性があります。また、特定の疾患(例:動脈硬化)による組織の物理的特性の変化も関連付けられるかもしれません。各組織の主成分(コラーゲン、エラスチン、筋線維など)と、それらが組織の機械的特性にどう影響するかを理解しておくことが重要です。
関連知識
ヤング率(縦弾性率)は、応力とひずみの関係から算出される材料定数です。生体組織のヤング率は、その組織が担う機械的機能(支持、伝達、衝撃吸収、変形など)と密接に関連しています。コラーゲン線維は高いヤング率を、エラスチン線維は低いヤング率を持ち、それぞれ組織の特性を決定します。この問題では、生体組織におけるコラーゲン線維の機能的特性が強く反映されています。