産業保健における許容濃度の定義で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
許容濃度(Threshold Limit Value: TLV や Permissible Exposure Limit: PEL)は、産業保健分野において、ほとんど全ての労働者が作業中に一生涯にわたりその濃度以下の有害物質に暴露されても、健康上の悪影響を受けないと判断される作業環境中の空気中濃度を指します。これは、労働者の健康保護を目的とした基準値です。
選択肢ごとの解説
- 1. 許容濃度は、有害物質を取り扱う作業環境における労働者の健康保護を目的とした基準であり、一般的な事務所の空気環境基準とは異なります。事務所環境は「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」などで規定されます。正しくは:労働者が有害物質に暴露される作業環境において、健康影響が最小限に抑えられるよう設定される濃度。選びやすい理由:「環境」という言葉から、空気環境全般を指すものと誤解しやすい。混同注意:一般的な室内空気質基準(例:CO2濃度基準)と、作業環境における有害物質の許容濃度。
- 2. これは「生物学的許容濃度(BEI: Biological Exposure Indices)」の定義であり、「許容濃度」は作業環境空気中の有害物質濃度を指します。正しくは:作業環境空気中の有害物質濃度で、労働者が一定期間暴露されても健康に悪影響を及ぼさないと判断される濃度。選びやすい理由:「許容」という言葉と「濃度」が共通しており、生物学的モニタリングも産業保健の重要な要素であるため。混同注意:許容濃度(TLV/PEL)と生物学的許容濃度(BEI)。
- 3. これは毒性試験における「無毒性量(NOAEL: No Observed Adverse Effect Level)」の概念に近く、「許容濃度」とは異なり、直接的にヒトの作業環境における暴露基準を示すものではありません。正しくは:労働者が有害物質に暴露される作業環境において、健康影響が最小限に抑えられるよう設定される空気中濃度。選びやすい理由:「毒性」や「有害な影響」という言葉が産業保健と関連するため。混同注意:無毒性量(NOAEL)や最大無作用量と、作業環境の許容濃度。
- 4. 正解。「許容濃度」とは、ほとんど全ての労働者が一生涯にわたり暴露されても、健康上の悪影響を受けないと考えられる、作業環境中の有害物質の空気中濃度を指します。これは学術団体(日本産業衛生学会など)によって設定される値です。
- 5. これは「管理濃度」の定義であり、「許容濃度」とは異なります。管理濃度は日本の作業環境評価基準に基づいて、管理区分(第一管理区分、第二管理区分など)を決定するために用いられる行政的な基準値です。許容濃度は、より広い概念で健康影響に基づいた曝露限界値です。正しくは:労働者が作業中に暴露されても、健康に悪影響を及ぼさないと判断される空気中の濃度。選びやすい理由:「作業環境管理」という言葉が産業保健と強く関連し、「濃度」を判断基準にすることから、許容濃度と混同しやすい。特に日本の制度では許容濃度と管理濃度が似たような数値になることも多いため。混同注意:許容濃度と管理濃度。
国試ポイント
産業保健分野における基本的な用語の定義、特に「許容濃度」「管理濃度」「生物学的許容濃度(BEI)」「無毒性量(NOAEL)」などの違いを正確に理解しているかが問われる。それぞれの概念が何に基づき、どのような目的で設定されているのかを把握することが重要。
混同注意
許容濃度、管理濃度、生物学的許容濃度(BEI)、無毒性量(NOAEL)。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合は、作業環境測定における「管理濃度」の定義や、生物学的モニタリングの「生物学的許容濃度(BEI)」の定義が問われる可能性が高い。また、各基準値がどのような機関によって定められているか(例:日本産業衛生学会、ACGIH、厚生労働省)も確認しておくべき。
関連知識
日本産業衛生学会の許容濃度勧告、ACGIHのTLV、厚生労働省の作業環境評価基準、生物学的モニタリング、作業環境測定、NOAEL/LOAEL。